mixiユーザー(id:1846031)

2020年05月06日23:16

301 view

広大なネットは悪意でいっぱい/『攻殻機動隊 SAC_2045』1〜12話

■新たな「攻殻機動隊」シリーズ始動!Netflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』制作過程を追ったインタビュー&メイキング映像解禁!
(リスアニ! - 05月06日 15:40)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=251&from=diary&id=6072798

 Netflixで第1シーズン全12話を一気鑑賞。
 ここんとこ、ニュースがコロナ関係の陰鬱な話題ばっかりでクサクサしてたから、気晴らしになるかと思って観たんだが、もうともかく全編陰鬱な話で、全然気晴らしにはならないのだった。いや、『攻殻』に「癒やし」を求めるのがそもそもの大間違いなんだが。

 ストーリーのキモになってる「シンクポル」ってのが昨今の「正義中毒」を具現化したみたいなプログラムで、まるで現実とシンクロしてるみたいだったのよ。ターゲットの電脳に誰でも自由にアクセスして攻撃をしかけられるというもので、「こいつは許せない」と「裁定」した人間が100万人いれば、100万の攻撃を受けるのである。
 それでセクハラ教師とか、ヤクザや汚職政治家が、「正義」に目覚めた一般人から一斉にボコられちゃうのね。攻撃されるのはあくまで被害者の「電脳」だから、傍目には加害者の姿は全く見えない。まるで透明人間にタコ殴りされているようなものである。
 けれども、そのプログラムを作った天才少年(ポスト・ヒューマンと呼ばれる)は、シンクポルを利用する大衆が、極めて恣意的な「感情」で被害者を死に至らしめている様子を見て――好意を抱いていた少女がいじめの対象になっていて、もしもシンクポルが利用されていたら、彼女がクラスメートたちによって殺されていたかもしれないことに気づいて――シンクポルを放置して失踪してしまうのである。

 神山・荒牧両監督は、このシンクポルのアイデアをどこから得たのだろうか。いかにも最近の「自粛警察」による魔女狩りを彷彿とさせるが、別にコロナ騒動に当て込んでストーリーを考えたわけではないだろう。そもそもネットでは、何らかの「落ち度」がある人間に対して、攻撃しても構わないと誹謗中傷を浴びせて炎上させることなど日常茶飯事である。「不謹慎狩り」などはその最たるものだ。
 そして自身の「正義」に溺れてしまっている人間は、自分がどれだけ「悪意」をもって被害者を叩いているか、認識することが出来ない。弱者を苛む快感に酔い痴れていて、自我肥大を起こしてしまっているのだ。
 そんな悪意が物語中に蔓延しているものだから、観ていて気分が悪くなる。例えて言うなら、腐った生肉を食わされて、「食あたり」を起こしてしまったのである。

 そのシンクポルを開発した天才少年、名前は「シマムラタカシ」って言うんだけれど、キャラクターデザインが石ノ森章太郎の「ジュン」にそっくりなんだよね。あの髪の毛で右目を隠したスタイル。
 そう言えば、神山・荒牧監督の前作はもちろん『サイボーグ009』で、009の本名は「島村ジョー」だよなあと気づくと、何やらそこに監督たちの石森オマージュがあるような気がしてならないのである。
 実際に、シマムラタカシはジュンのような繊細で壊れやすいガラスのような心の持ち主だ。彼がしょっちゅう自身の妄想の中に入り込んでしまっていたように、シマムラタカシにも、現実と妄想の区別が曖昧な描写が目立つのである。
 と言うことで、ポスト・ヒューマンの謎を追う公安9課のメンバーたちも、その現実とも夢とも分からない世界に足を踏み出していくことになるのだが――何だか今後の展開は石ノ森を通り越して、押井守版『攻殻機動隊』というか、完全に「夢」の世界を舞台にした『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』みたいになっちゃうんじゃないかという予感もして、多少の心配を期待を感じずにはいられないのである。

 また、シマムラタカシくんの声を、林原めぐみさんがアヤナミ以上に消え入りそうなか細い声で演じてるものだからね、世界そのものが危うくなっちゃいそうな雰囲気が漂っていて、ちょっとホラー風味すらあるのだった。
 いや、なんだかんだで、ストーリーは面白いよ。幕切れがまた実に意味深でねえ。そこで話は途中のままだから、第2シーズンが今から待ち遠しいのだ。
 でもなあ、一抹の不安というか、ポスト・ヒューマンの正体が、『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』の「ブレスド」みたいな虚仮威しだったらどうしようって不安はあるのよ。なんたって、風呂敷たたむのが下手くそな両監督なだけに、その点は気になっているのである。

 そうそう、いつも評判の悪い両監督のCGだけれどね、イリヤ・クブシノブ デザインによる草薙素子、これがどう見ても愛人形なんだよ(笑)。昔風に言うならオランダ人の奥さん。唇が肉厚なところが特にそんな感じ。って、現物はよく知らないから、ただの印象だけど。
 一応、モーションアクターがいるんだろうし、スムーズに動いてはいるけれども、どうしても人形的な印象は拭い去れない。そのまんまフィギュアなのである。
 だからあえてそういう目で見れば、可愛いなあ、等身大フィギュア出さねえかなあ、絶対売れるよなあ、と思えなくもない。ただそのおかげで、これまで適役でピッタリだと思っていた田中敦子さんの声に違和感が出てきちゃったのは失敗だったんじゃないか。少女時代の坂本真綾さんの声の方が合いそうだ、って感じなのね。やっぱり手描きアニメで作ってもらった方がいいよ。それじゃあ海外に売りにくいって事情があるんだろうとは思うけれど。
 あと、新キャラの江崎プリンがともかくうぜえ。今回のシリーズのみの参加ならいいけど、これからもっと出てくるとなると、何かと9課の足手まといになりそうな。「足引っ張りタイプ」のヒロインはトグサだけで充分だ(トグサファンの人、ごめんね)。死亡フラグ立たないかな(笑)。


0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年05月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31