井の頭公園沿いの名店、芙蓉亭の閉店

ショックで口も利けなかった。
他を圧する高貴で典雅な気品を有しながら、驕った雰囲気はついぞなく、家庭的な親しみやすさを与えてくれる店だった。

何年目の結婚記念日であったか。
このお店の一席をお借りして、ささやかな祝杯をあげたことがあった。
給仕の方が当方の不躾な要望に応えて、嫌な顔一つせず何度もシャッター押しに付き合ってくださったのも良き思い出。
その一枚を、後日、お店にお送りさせていただいたもの。

以来。
小生ごときしがないリーマンがそうそう足繁く通えるような店ではないが、小生の胸の中では大切な馴染みのお店であり続けた。

思い出をありがとう。
こんな陳腐な言葉を贈るだけだが、思いは万感である。


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