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2020年05月03日22:45

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もう自粛警察は要らない

■実は感染知っていた 帰省先の山梨から東京に戻った女性
(朝日新聞デジタル - 05月03日 16:04)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6070230

■配信ライブも標的に 「自粛しなければ通報」の貼り紙に衝撃…表現者の場を模索する高円寺のバー店主に聞く
(まいどなニュース - 05月03日 11:30)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=262&from=diary&id=6069936

■太田光、自粛警察への公的メッセージも必要と訴える
(日刊スポーツ - 2020年05月03日 11:50)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=6069964

■茂木氏「不自由な世の中に」“自粛警察”に警鐘
(日刊スポーツ - 2020年04月28日 12:38)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=6064151

 「自粛警察」がTwitterでトレンド入りして以来、少しは感染者(および感染源になりかねない職業)への差別が緩和するかと思っていたのだが。
 陽性反応が出たことを知りながら、山梨県から東京に戻った20歳代女性がいたことが判明するやいなや、途端にコメント欄が「自粛警察」で埋め尽くされる事態になった。彼らはみな当該女性について「自分が何をやっているのか自覚しているのか」と憤りを隠さないが、それは自粛警察のみなさんも同様である。感染者が「被害者」であるという認識、これが完全に欠けているのだ。
 誰かに感染させる危険があるのに、高速バスに乗って東京に戻ってきたことは、確かに批判の対象にはなるだろう。けれども自粛警察のみなさんは、名前を晒せだの傷害罪で逮捕しろだの、激昂のあまり、自分の方が差別に加担しようとしていることには一切無頓着である。これが「正義中毒」と言われる所以だ。

 女性が当初、感染を知らずに東京に戻ってきたように虚偽の発言をしていたことも、非難を受ける原因にはなっていたとは思う。
 しかし、山梨で自宅待機と言われても、家族に感染させる危険があった。そういう立場に置かれて、しかも病院や施設に隔離されるわけでもなく、実質「放置」されてしまった場合、この女性と同様に実家から「避難」する人間が出てくるのは可能性としてあり得ることなのではないか?
 以前も、感染を知った後に、自宅を出てホテルに避難した男性が叩かれたことがあった。しかし、病院にも行けず、家族の方をホテルに預けて自分は一人で自宅にいても食事をすることもままならない。そんな身の置き所がない環境に置かれてしまえば、ともかく「どこかへ」逃げようとしか考えられなくなる。件の女性もそういう心理状態に追い込まれてしまったのではないか。

 その女性も、他人に感染させる危険は承知の上での行動だったのだろう。感染を知らずに帰宅したとウソをついていたことからも、自分の行動の意味は理解していたと思われる。しかし、それでも「実家にはいられない」という選択をせざるを得なかったのだ。だとすれば、そんな立場に彼女を追い込んだのは、彼女を隔離する施設を用意できなかった山梨県にあると言わざるを得ないのではないか。
 この3ヶ月あまり、新型コロナの感染拡大が判明しても、行政の対応は常に後手後手だった。もちろん最初に下手を打ったのは感染を抑止できなかった中国政府だが、WHOの「甘い観測」に基づいて、渡航制限をし損なった日本政府に大きな責任がある。ダイヤモンド・プリンセス号で感染爆発が起きたとき、「病床が足りない」ことは既に言われていた。けれども、その時点でも、患者を収容するための態勢は殆ど取られなかったのだ。
 それどころか、政府は専門家会議の指針を基に、PCR検査をできるだけ絞るための基準を打ち出して、市中感染を拡大させるというとんでもない方向に舵を切ってしまった。「感染者差別」が顕在化し始めたのもこの頃からである。

 現代の「魔女狩り」が始まってしまうと警鐘を鳴らしていた人も決して少なくはなかったのだが、行政はやはりろくな対応はしなかった。むしろ「自粛に応じないパチンコ店」を公表して、感染リスクと差別を拡大させる始末だ。
 差別を公認するような風潮がここまで蔓延していたら、感染を秘匿して逃げ出す人間だって出てくるのは当たり前だよ。被害者が加害者であるように錯覚させられて迫害されるのは、ナチスによるユダヤ人差別と何ら変わりがない。自粛警察のみなさんは、当該女性をそんな心理に追い込んだ責任の一端が自分たちにあるという自覚がないのだ。それは感染よりもはるかに恐ろしい。

 女性の発言がウソであると告発した知人に対して、賞賛の声も寄せられているようであるが、これ、ただのチクリ屋じゃん? この人もおそらくは「正義中毒」に陥っていて、女性を追い詰めることに何の罪悪感も覚えなくなってしまっているのだ。
 楚の葉公が「俺の国には、父親が羊を盗んだのを告発した息子がいるんだよ。なんて正直者だとは思わないか?」と孔子に言ったところ、孔子は「親は子を、子は親をかばうものですよ」と答えた。犯罪を秘匿すべきなのかという議論は当然生じるだろうが、ウソをついた女性は、別に何の犯罪も犯してはいない。傷害罪だあ、とヒステリックに叫んでいる人はいるが、刑事罰に問われる可能性は殆どないだろう。それを不満に感じて、名前や住所を特定して、私的制裁を煽ろうとする人間も出てくる可能性は高い。
 これまでにもそんな暴露行為が悲惨な事件を誘発した事例はいくらでもあるのに、自粛警察の皆さんはまたそんな惨劇を繰り返したいのか?

 差別を助長するようなチクリ屋が、あたかも正義であるかのように錯覚してしまう風潮がどれだけ危険であるか、自粛警察さんたちは、自分もまたいつ何時、取り締まられる対象になるかもしれないということに全く想像が至っていない。
 咳を一つしただけで、「コロナじゃないか」と忌避されたり、レジで釣り銭を手渡したら「コロナを移す気か」と暴力を振るわれたり、家族が感染したことで無関係な子どもがいじめられたりしてるんだよ? 今や必要至急の外出だって、感染源であるかのように非難されている実態もある。
 感染者かどうかすら、もう関係はない。そんなウワサを立てられたが最後、世間の迫害から逃れるすべがなくなっているのだ。「あなた」にとって嫌いな人間がいたとしたら、今はその人を社会的に抹殺することは至極簡単だ。「あいつ、コロナだ」と言えばいいのだから。ウワサひとつで人ひとり消してしまえる、そんな恐ろしい世の中になってるんだよ。

 この三か月、寝たきりだったり入院でもしていない限り、全く外出しなかったなんて人間はいないだろう。無症状のままの感染者もいるのだから、「あなた」が感染源になっていなかった証拠など、どこにもない。感染者への罵詈雑言を投げかけている人たちは、自分に同じ言葉を投げかけられても、言われて当然と受け入れるのだろうか?
 自粛警察になって誰かを責めたところで、状況は何一つ改善しない。いい加減、正義に酔い痴れる自己満足な行為を控えられないものかね?

【追記】件の女性、東京に帰った理由を「飼ってた犬が心配だったから」と答えたそうな。動物飼った経験のない人間には絶対分かんないと思うが、これは帰っちゃうな。
 誰かに預けられなかったのかとか、犬に感染する可能性もあるじゃんとか、それは後から言えることで、陽性の事実を知っただけでいっぱいいっぱいになったんだろう。ますます責める気になれなくなったよ。
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