18950902 NO3842-6 東学党事件についての会審の顛末具報 6
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008_0030_0060_06 駐韓日本公使館記録 8巻 三 各領事館其他往復 一 (6) 東学党事件についての会審の顛末具報 6
[別紙 第二号] [別紙 第二号 (��-��)]
文書題目 明治二十七年十一月四日法務衙門において李秉輝（イスンヒ）取調筆記抜抄
明治二十七年十一月四日法務衙門において李秉輝取調筆記抜抄
前略
領事 その方は東学党中の一人だということだがどうなのか。
李 そうではない。
領事 しかしながら、京城の或る人より書翰を東学党のところに持って行ったとのことだが、それは相違ないか。
李 それに相違ない。
領事 書状を取り次いだのは何回であったか。
李 二回であったが、一度は自分が持って行きその返事参通を受け取ったが、一度は持って行かず警務使にそのまま渡したのである。
領事 最初書状を受け取ったのは何日ごろであったか。
李 朝暦八月十三日に手紙を頼まれ十六日に先方へ伝えたのである。
領事 誰に頼まれ何人のところに渡したのか。
李 鄭寅徳と言う者から頼まれ朴東鎮というものに渡したのである。
領事 鄭寅徳というものは東学党の一人なのか。
李 東学党であるかどうかは知らないが京城に参っており「ソンビ（＊学識が優れて礼節があって義理と原則を守って権力と富裕栄華を貪らない高潔な人柄を持った人に対する呼称）」を行なっているものである。
領事 書状を頼むときどう言ったのか。
李 それは鄭より直接頼まれたのではない。自分が山訟のことについて許��に依頼し、鄭寅徳の書状を貰いにいったのである。
領事 朴東鎮というものは東学党であるのか。
李 東学党で、すでに捕盜庁に捕らえられたものである。
領事 その書状中にどのようなことをしたためてあったか。
李 その文中には山訟のことが少し書いてあり、なお「こちらから申し遣わしたことはどうなったか。速やかに上京せよ」とだけ書いてあった。
領事 その書状中の事をその方はどうやって見たのか。
李 朴東鎮が私に示したので知り得たのである。
領事 一昨日法務大臣の取調べの当時、「東学党数十万を引き連れ京城に来い」と書状中に記してあったとの事であるが、それに相違ないか。
李 相違ない。
領事 「東徒数十万を引き連れて来い」と申し送ったのは誰から命じたことなのか。
李 鄭寅徳の書状であったが李�沛亜淵ぁΕ献絅縫腑鵝忙家修量仁瓩鯏舛┐襪發里任△襦�
領事 鄭寅徳の記した書状は「東徒を引き連れて来い」との李・参判の命令を伝えるものなのか確かめておきたい。
李 それらの事をしたためた書面は、私が持って行った書状の中にはなく、すでに朴東鎮の方へ送った書状中にしたためてあったものを、朴東鎮から私に示したのである。この書状は李�沛阿凌読�であって、朴東鎮の弟が上京して貰いに行ったものである。
領事 私が聞きたいのはその方が鄭より受け取り、朴東鎮方に持って行った書状のことを聞きたいのである。
李 私が持って行った手紙は、先の方は卷いてあってその片端に書いってあるところを朴東鎮が示したところを見ると「所営のことはどうなったか。すぐに上京せよ。」と記してあったので「所営とは何事か」と尋ねたところ先に李�沛阿�ら送った書状を見せた。
領事 その方が第二に見たものは李�沛阿亮�筆に相違ないか。
李 相違ない。親筆である。
領事 その方はかつて李�沛阿良�跡を承知しているのか。
李 それは平素李�沛阿僚颪鮓�ておりますので承知しています。
領事 その書状の中にはどのようなことが書いてあったか、詳しく話せ。
李 「東徒数十万名がまもなく団束して上京するだろう」との文意である。
領事 この書状は誰に送ったものなのか。
李 朴東鎮に送ったものだ。このものは大院君より役を言いつけられたものである。即ち本朝暦七月中に役を命ぜられ、東学党鎮撫のために行ったとは名義上だけのことで、その実は東学党を集めて上京させる手段である (「役」は「主事」のことだが、どこの官衙であるかはわからなかった)。
領事 朴東鎮が主事として宣撫使に随行したのもその実は東徒を扇動するために行ったのだとは、その方は何によって知ったのか。
李 それは「東徒を数十万連れてこい」と命じられ、また「行く」という答を返したというところから、宣撫（＊人心を安定させること）のために行ったのではない、扇動とためであったことを知ったのである。
領事 それよりその方は朴東鎮から返事を受け取って帰京したのか。
李 手紙三通、即ち返事を持って帰りました。
領事 その手紙は誰に送るものだったのか。
李 一は李�沛亜�一は鄭寅徳、一は許��に送るものであった。
領事 その手紙の中にはなにが書かれていたか。
李 李・参判に宛てた手紙を見たところ、「弟の便に下さった書状は確かに拝見致しました。先日御下命のことは三十余万名を引き連れ二十五・六日中に上京するので、その前に日本兵が動くことがあっては容易ではないので、詳細その事情を御通知頂きたい」との文意であった。その日付は八月十七日である。
領事 他の書状中にはどのようなことが書かれてあったか。
李 鄭寅徳への返事には李�沛阿悗僚饐�と大同小異で、その上に京城のことは李台・朴令と相談して石庭（＊李�沛亜砲瞭盪�を細かに知らせよ、とのことであった。
李台・朴令とは後で聞いたところでは李泰容・朴準陽のことだと言う。許��に宛てた書状は細かには見なかったが「鄭寅徳への手紙は確かに送る事」とのこと、及び石庭 (すなわち李�沛�)に送る手紙は鄭寅徳の書状中に封じてあった。その上書きには「石庭大人の台鑑」とあり、「竹溪生敬函」とあった。「竹溪生」とは朴東鎮のことである。
領事 一昨日取調べ時「一通の書状は松亭に送るものなり」とのことであったが、「石庭」とは同一人物でやはり李�沛阿里海箸覆里�。
李 同じく李�沛阿里海箸任△襦�
領事 李�沛阿�ら朴東鎮に送った手紙の日付を承知しているか。
李 覚えておりません。
領事 今まで取調べたのはその方が最初に依頼された手紙のことなのか。
第二回目に頼まれた手紙にはどのようなことが認めてあったか。
李 二度目の手紙は鄭寅徳より朴東鎮に送る手紙である。
領事 その手紙にはどのようなことが書かれていたのか。
李 その手紙は警務使に提出したので見ておりません。しかしその事柄を聞き及んだことはあります。
領事 その聞き及んでいる事柄を申し述べよ。
李 鄭寅徳より書状を受け取るとき同人より聞いたところによれば、この手紙は「東徒の上京するもの十余万名だけでは不足であるので、速やかに沢山のものを上京させること。日本兵の出撃の事は大院君がしきりに止めるよう尽力中であるが、もし日本兵がその地に行くことになったならば、東徒は速やかに解散し、十一月十二月頃にはれば河（＊大同江、か）の結氷を待って支那兵が来ることになるから協力して日本兵を撃ち払い政府を掃除して新主を立て (この時「新主」とは何かと問われたのだが、「これは諱（い）むべきことであるので」と明らかに申し立てることは出来なかった) ようとの文意であると聞いた。
領事 李�沛阿函�東学党とその他にも往復した書状などの事を聞き及んだことはないか。
李 その他に八月二十四日に李�沛阿亮蟷罎氾�寅徳の手紙とを林璡珠に朴東鎮へ送らせている。その手紙を自分が見たわけではないが鄭寅徳と許��から聞いたところでは「日本兵が京兵とともに下るときは事が困難であるので速やかに晦日（八月三十日）以前に上京させること」との意味であった。
領事 その他に東徒と書状の往復の事は承知しているのか。
李 最初に朴東鎮が自分の弟に託して李�沛阿暴饐�を送ったとのことであったが、その事については見も聞きも致しませんでしたが、その後になって朴東鎮から聞いたのですが、最初朴東鎮が宣撫使とともに公州（コンジュ）地方に出張する前、李�沛阿�命じたのだが、「公州地方に行き東学党はどのくらい集まることができるかを調べて来い」とのことであったので、公州地方に行った後「命じられた事は大体可能だ」とのことを申し送ったものだと言う。
領事 その他には李・参判（李�沛亜砲覆匹氾貪未箸留�復はなかったか。
李 その他には存じません。
領事 朴東鎮が自分の弟を使って李・参判に送らせたという書状の日付は存じていないか。
李 それは私は存じておりませんが、七月 (朝暦) 末のことだと鄭寅徳より聞き及んでいる。
領事 その方がここに捕われたのは大院君の命令だとのことだが、相違ないか。
李 大院君の命令である。
領事 どんな罪を犯して捕らわれたのか。
李 それは私にはわかりません。
領事 その方がここに捕われてから、大院君から「審問を受けるに当っては何にも知らないと申し立てておれ。そうすればお前に何か役職を与える」などと申し越したとのことであるがそのようなことがあるのか。
李 初め「私がこの獄に入れられたのは大院君の命令であるが何か罪があるのか」と思い伺いを出したのだが、その返事はなかったが、九月四日の日にこの役所の主事が私を招き「お前には何の罪があるのか」と問われたので、「自分は知らない」と答えたところ、「許��（ホヨプ）とは関係があるのであろう」との問いがあったので、「私は許��とは山訟のことについてあれこれと往復したことがあり、また許��から貰い受けた書状を警務使に疑われた廉があったものを差出したこともあった」と申し立てた。
その時主事が言うには、「大院君がお前を愛しておられるとのことであるから、捕庁にも送らず、この法務衙門に留置させておかれた次第であるので、口から出まかせに、真実の申し立てをしないで、京城にある人の関係のことはひとつも申し立てず、田舍の人だけの関係を申し立てるようにしているのだろう」と。また書記が申すには「李駿弼が総ての主謀者だ、と申し立てをせよ。そうすればお前の自分の身か助かるだけでなく、相当の役にもり取立てられるだろう」との事だった。
領事 その主事とは誰のことが。
李 その姓名は存じません。顏は覚えております。その時主事は大院君の命令とのことを申しましたので、私はその名を聞き取らなかったのである。その時主事に向って私は総て関係の人名を申し立てたのだが、李泰容（イテヨン）・朴準陽（イジュニャン）の事に話が及んだときは、主事は紙と筆を打ち捨て「このようなことは認めることは出来ない」と申された。
そこで「私が書こう」と打ち捨てた筆を拾い書き認めた次第である。その場には書記も立ち合っていたので、この両人の怒りが甚だしく、その夜中にも害せられるか、といった様子であったので、自分はそのまま獄中に入った。しかしながら彼等の怒りが甚しいので、彼らの様子を伺おうと考え再び獄から出て主事に面会し、「先刻李泰容・朴準陽の事を申し立てたが自分の見たことではない。ただ鄭寅徳から聞いたことなので筆記中より削らせてはいかがか」と申し入れた。この時両名の主事・書記は大いに喜び、そのため「先刻我々が書いた事柄を早速筆記中より削ろう」と申した。
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