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2020年04月13日10:27

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81-2終 詩・短編を書いてみた(第1908回)

短編・詩を書いてみました(^_^)
素人が書いたので
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました
だいたい1000字以内なので暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)b


「あの日を繋ぐ糸」

■■■■■■■■■
【あらすじ】
とある私の夢の中…。

洋風な館にありそうな大きな窓の下で
どこかの学校の制服を着た女の子が腰を降ろしていた。
虚ろな雰囲気で外を眺めている彼女。

何故
そんな雰囲気をしているのかは分からない。
でも
僕は不安とは違う想いで
声を掛けたくて仕方なかった。

―――――――


「こんにちは…」

彼女はゆっくりと顔をこちらに向ける。
彼女の目は純度の高いエメラルドのよう。

「あの…。ここはどこなのか知っていますか?」
「ここは『───』よ」

彼女は答えてくれた。
しかし
肝心なところがよく聞き取れない。

「ゴメン。もう一回教えてくれない?」
「……。ここは『───』よ」

やっぱり聞こえない。
いや
聞こえないというよりも
その言語が理解出来ないかのような感じ。

僕はもう一度聞こうとしたが
その彼女の目を見てしまい
その聞きたいことは飲み込んでしまった。
僕は話を変える。

「あ、あの…。君はここのことを知っているの?」
「知っているわ」
「教えてくれないかな?」
「いいわよ」

そう言って
彼女は立ち上がり僕に近づいてくる。

な、なんだ…?

僕は身構えた。

彼女はその僕の前に立ってこう言う。

「ここはアナタの夢の中よ」と…。

「夢の中…?」

あり得なさそうであり得そうな状況だ。

僕は自分の頬を捻る。
痛くはなかった。

本当に夢の中なのかもしれない。
でも…。
でも…。
何かが違う。
その違いを説明しろと言われると困るのだけど何かが…。

僕は自分の違和感を解消したくて
彼女の名前を尋ねた。
しかし…。

「私の名前は『───』よ」

まただ…。
今度は名前が分からない。

どうしたら…。

そう思った時
彼女が不敵な笑みを浮かべる。

「私の名前、分からないんでしょ?」

……!?

「分かっていたの…?」

彼女は頷く。

「どうしてそれが分かるの…?」

しかし
彼女は話してはくれなかった。
時間がないのと
ここで話しても理解できないからという。

バカにされているようで少し腹が立ったが
その気持ちを押し込む

「そうか…」

するとその時
彼女が座っていた窓の外から
空の青が混じるような陽射しが差し込んだ。
それを見た彼女は「時間がきたみたい。」と言って
僕の胸に人差し指で指し
こう言う。

「アンタが死んだら私も死ぬの。だから生きなさいよ」

その言葉の後
僕はあの陽射しの光に包まれ
そして
散乱した部屋の真ん中で横たわりながら目を覚ました。

何、だったの…?

気だるいような身体の重みを感じながら上体を起こす。

ぼんやりとした視界が少しずつ整い
周りが見えていく。
そして
手元に何かが当たった

何だ…?

視線を下げると
輪っかの付いた切れた縄が手元に落ちていた………。

―――
続き


あ、そうだ…。

僕は思い出した。
ここで何をしたのかを…。

僕は死のうとしていたんだ…。

高校でのイジメが原因で
引きこもりになり
どうにかして変わろうと足掻いたけど
この部屋のドアが何故か重くて…。
固くて…。
開けることが出来なかった。

そんな毎日に嫌気がさして
僕は首を吊って死のうとしていたんだ…。

僕はゆっくり頭を左に動かす。
その先にはあのドアがあった。

その時
最後に言った彼女の言葉を思い出した。

「生きなさいよ」と…。

僕は歯を食いしばりながら
立ち上がりドアの前に立ち
ゆっくりと腕を伸ばして
ドアの取っ手に手をかけた。

息を整える。
心臓の鼓動を感じる。

僕は再び息を整えてドアノブを動かした。

すると
あんなに重かった取っ手が
意図も簡単に開いた。

あまりに簡単なことに笑みがこぼれる。

何だ…。
何だったんだよ…。
僕は部屋から抜け出し
僅かに感じた風の匂いを数年ぶりに感じる事が出来たのだった…。


それからは早かった。
部屋から出た僕を見た親には泣かれたり
部屋が綺麗にしたり
夜の間だけど外に出たり

少しずつ日常を取り戻した。
そして
新しい学校に通学して
歳が離れた人と学び卒業。

少し苦労もしたが
就職も出来て
そこで出会った女性と結婚。
娘も産まれた。
名前は「ユウナ」だ。
漢字は「優」しいに「菜」と書く。

娘は本当に可愛くて「目に入れても痛くない」という意味がよく分かる。

僕はあらためてあの時に
死ななくて良かったと思った。

あの夢であの女の子に出会わなければ
こんな人生を歩むことすら出来なかっただろう。

自分で作った存在とはいえ、
あの夢と彼女には感謝しないとな…。

ここまで頑張れたのは
あの女の子の存在なのだから…。


それから月日が経ち
その娘が中学生になった頃
思春期を迎えたユウナが珍しく
テレビを見ていた僕の隣に座り話しかけてきた。

「ねぇ、お父さん」

僕はユウナを見る。

ん…?

僕は違和感を感じた。
珍しく話しかけてきた事ではなく。
そこにいたのはユウナなのに
何かが違うことだ…。

「君は…」

彼女は自分の口に人差し指で「静かに」のポーズを作り
僕の口を閉じさせた。
そして立ち上がり
その人差し指を僕の胸を指した後こう言った。

「ねっ。生きていて良かったでしょ?」
……!?

その言葉に聞き覚えがあった。

僕はユウナの肩を掴む

「き、君は…!?」

しかし…

『お、お父さん…。何しているの…?』

そこにいたのは
あの彼女ではなくユウナだった。

ユウナを問い詰めようとは出来た。
でも出来なかった。
理由は分からないけど…。
今は問い詰めたらいけない気がして…。

後日
僕は時間をあらためてユウナに
その事を聞いてみた
しかし
娘は全く覚えてはいなかった。
誤魔化しているのか。
それとも本当に覚えていないのか。
どちらかは分からないけど。

ただ
今は「ありがとう」と伝えたいと思う。
君のおかげでここまで来れたのだから………。



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