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2020年04月09日21:25

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オリーヴ山上のキリスト

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
オラトリオ「オリーヴ山上のキリスト」作品85
アン・ペーターセン(ソプラノ)
アダム・ズドゥニコウスキ(テノール)
オレ・ストーフリンク(バス)
ソラヌス合唱団
クンド・ヴァド指揮
トルン室内管弦楽団


かんち自身の解説

以前は「橄欖山上のキリスト」と呼ばれていたこの作品、かんらんというのは日本語訳で与えられたもので、原語でもまた英訳でも「オリーヴ」が正式です。

いずれにしても、これはキリストがゴルゴタの丘で処刑された事件を題材にしていますが、最後はキリストの磔刑ではなく、そのために捕縛されるところで終わります。むしろ聖書に題材をとったオペラという意味合いが強く、聖書をテクストとして使わず聖書から題材を得て台本を別に作り作曲されています。

これが生前大当たりで、何度も演奏されたと言われています。ところが現在ではほとんど演奏されることがないのが実情です。

そんな作品を、同時鑑賞会の流れをくむ当鑑賞会がほおっておくわけがありません!ですが、じつは合唱団はぶら下がり気味なので、どうしようかと迷っているうちに、世の中は新型コロナウイルスによりコンサートはことごとく中止。ついには、GWに開催予定だった今年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンまで中止に至りました。

となれば、珍曲を紹介してきた同時鑑賞会の流れを汲む当鑑賞会が、これ以上放置することは適切ではないと判断しました。この第47回以降、年末まで当鑑賞会はラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの代替えをすると勝手に宣言します。その第1回として、今回いろいろ興味深いプログラムを予定していたLFJに負けないプログラムとして、この「オリーヴ山上のキリスト」を、合唱コーナーとしてメインに持ってきました。

そののち、メンデルスゾーンの「エリア」へとおそらく通じていく、ロマン派の香りたっぷりの作品をぜひご賞味ください。

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『オリーヴ山上のキリスト』(Christus am Ölberge)作品85は、ベートーヴェンが1803年に作曲したオラトリオ。『かんらん山上のキリスト』、『橄欖山のキリスト』とも訳される。

オリーヴ山上でのキリストのエホバへの祈りとその受難(彼が捕縛される場面)を描いたものである。

このオラトリオの成立に関する詳しい過程については知られていないが、作曲時期は1803年の3月頃に着手したとされ、かなりの速筆で完成させたといわれる。これにはベートーヴェンがウィーン楽友協会に宛てて書いた手紙(1824年付)の中で、わずか2週間で(あるいは14日間とも)書き上げていると言及している。またこれ以外にベートーヴェンが「わずか数週間を要した」という言葉も残している。

ベートーヴェンはこのオラトリオのテキストを聖書から引用せず、当時オペラの台本作家としてウィーンで広く知られていた詩人のフランツ・クサヴァー・フーバー(Franz Xaver Huber, 1760年 - 1810年)と共同で作成している。

初演は同年の4月5日、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で、ベートーヴェンの自作の演奏会の一環として行われた。この演奏会では交響曲第1番と第2番、ピアノ協奏曲第3番が初演されている。しかし大きな成功を収め、好評を博した作品は『オリーヴ山上のキリスト』であった。

だがその一部では、作品の形式が極端に技巧を凝らし過ぎていること、歌唱パートの表現性が部分的に欠けているなどといった批判も見られている。初演時の批評が以下の通りである。

「確かにオラトリオには美しい1節が幾分か見られた。しかし作品全体としてはあまりに長く、構成は作為的である。歌唱声部は特に表現力に欠ける」(フライミューティゲ誌より)

秘書のシンドラーによれば、ベートーヴェン自身「キリストの声部を新しい声楽様式で処理することは誤りであった」と考えていたようであった。実際このオラトリオは1811年10月にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されているが、出版される前の1804年に改訂を施している。

この初演以降、オラトリオは3回に亘って再演されており、1825年に行われた際に、ベートーヴェンの会話帳の中で「再演の度に満員の盛況」と記述されており、初演時がかなり反響が大きかったことが窺える。しかしこのオラトリオが現在演奏される機会は極端に少ない。
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