(ニュースの転載です)
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00058/031000042/?P=1
東京都は3月4日、新型コロナウイルス感染症対策サイトをリリースした。このサイトが画期的なのは、Code for Japanというプログラマーたちの非営利団体が発起人となって、さまざまな立場のプログラマーたちがオンライン上で協力して開発された点だ。制作の音頭を取ったCode for Japanの関治之さんのツイートを見ると、3月1日ごろに開発を始めたようだ。
同サイトは十分に分かりやすい。短期間で作られたものなので、「Facebook」や「Google」のように大勢の開発者が長い時間をかけて作り込んできた大システムと比べられるようなものではないが、社会の役に立つすばらしいサービスだ。
公式情報を見やすく、ほぼリアルタイムの更新で提供する、東京都の新型コロナウイルス対策サイト
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このサイトのプログラムは「GitHub」上で公開されている。GitHubはプログラムの置き場で、エンジニアたちが共同作業をするために使うサービスだ。共同作業という点では「ウィキペディア」などとちょっと似ている。
GitHubは1つのシステムをみんなで協力して作るために「誰がどの部分を開発しているか」や「残っている問題が何か」などを分かりやすく自動で表示してくれる。それにより、
「僕が英語版への変換機能をつけてみた。変換は機械翻訳だ」
「俺はそれを改良して、もう少し自然な翻訳をいくつかのページに追加した。自分の翻訳が間に合っていないところに、Aの機械翻訳が出るようにしている」
「スペルミスをなおしたよ」
といった形で共同作業が可能になる。
GitHubは上記のような画面で、「新しい要望と残っている要望、誰が問題解決したか」などを自動でまとめてくれる
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こうした共同作業を実現するには以下の条件が欠かせない。
どのようにプログラムができているかがすべて公開されている(そうでないと問題の原因の発見も修正もできない)
成果や成果物を独占しない(そうでなければ、見返りの分配や貢献のカウント方法、責任の所在などについて先に決めないと問題解決に取りかかれない)
このような仕組みをオープンソースという。東京都の新型コロナウイルス対策サイトはオープンソース(複数のオープンソースライセンスのうちMITライセンス)で作られている。どうやって要望がまとめられ、修正がなされたかも、すべて公開されており、誰でも(プログラマーではない人でも、例えば誤字脱字を直すといった形で)参加できる。
また未経験でも参加できるように、貢献の仕方やサイト構築にあたっての行動原則なども分かりやすくまとめられている。
前述のGitHubで公開されている、このプロジェクトについての「サイト構築にあたっての行動原則」
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こうしたルール作りや文章はプログラムそのものと同じぐらい大事だ。今回のプロジェクトのルールや文章の洗練度合いには、Code for Japanというプログラマーたちの非営利団体がこれまで活動してきた経験が反映されている。
Code for Japanはこれまでも市民とエンジニアの連携、つまり「シビックテック」の活動を多く手がけてきている。上記のようなルールとコミュニティーがあるから、直接会ったことがない人同士が、いきなりオンラインで仕事を始められるし、新人がコミュニティーに参加して貢献を続けることで成長することができる。オープンソースの最も正確な語義は「ソースコードが公開されていること」だが、このように見ず知らずの人たちが共同作業することは、オープンソースがその語義を超えて育んだ文化と言えよう。
開発は今も続いている。3月7日に行われたオンラインハッカソンの様子 (Code for Japan提供)
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東京都の新型コロナウイルス対策サイトは上記のような仕組みで作られているため、誰でも協力できる。新型コロナウイルス対策でも話題になった台湾の38歳のIT大臣、オードリー・タン氏もその1人で、ソースコードを修正している。
台湾のオードリー・タン氏も東京都の新型コロナウイルス対策サイトを作る作業に参加した。システムで「体」という文字が使われている部分を、台湾で使われる繁体字に変更してくれた
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タン氏の参加はメディアにも取りあげられ、プロジェクトに参加しているエンジニアたちも大きく盛り上がった。現在の開発コミュニティーはほとんどが日本語でやりとりされているので、海外からの参加者を増やすのは実質的には難しいだろうが、タン氏が実際にコードを修正できるのはオープンソースならではだ。他のシステムでは考えづらい。
東京都の新型コロナウイルス対策サイトは今もアップデートを続けている。冒頭のサイトの写真は、3月4日に公開された直後のもので、その後もさまざまな機能の追加や整理が行われている。
またコミュニティーとしてエンジニアたちが集まることで、新しいシステムも続々とリリースされている。たとえば同サイトのコードは、他の自治体向けに提供が始まっている。東京都と同じフォーマットでデータを公開する自治体であれば、同様のサイトをプログラマーなしで作ることができる。すでに有志の手による北海道版、神奈川県版のシステムが公開された(神奈川県版はその後、自治体側が東京都のコードを使った公式版を公開したことにより、現在はクローズ)。もちろん東京都と違って「⾃治体の公式」ではなくても、機能は変わらない。
改変版のプログラムを書く人もいれば、「インストールのやり方」のようなマニュアルを書く人もいる。今回の件で参加者が増えたので、「最初に始めるには」といったガイドをブログで書く人も出てきた。
3月9日には、総務省、経済産業省とCode for Japanとの連携で、一般企業が公開している新型コロナウイルス問題への支援策(例えば、自宅学習のために通常は有料で販売している教材ビデオを無償公開するなど)をまとめたサイト「民間支援情報ナビ」が公開された。
民間支援情報ナビ
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この民間支援情報ナビの開発をリードしたのは、福井県鯖江市のCode for Sabaeの中心人物である福野泰介さんだ。「Code for ×(地域名)」という形で、テクノロジーを使った社会貢献をする団体は現在、国内に79ある。こうしたコミュニティーの広がりをCode for Japanでは「ブリゲード(消防団)」と呼んでいる。フランチャイズなどではなく、Code for Japanを含めて各組織は対等だ。
オープンソースの面白い仕組みは世界のどこにでもある。難しいのは、既存のビジネスや社会の仕組みと「違う」ことだ。「ハッカーは正しいことを雑にやる。スーツどもは間違ったことを綿密にやる」というハッカー界に古くから伝わる金言がある。
役所は何よりも「綿密さ」が要求される組織だ。Code for Japanのような組織(かどうかも定義しづらいもの)と一緒に何かをやることは難しい。仕様書の通りに言われたものを言われた通り作るわけではなく、入札のような仕組みもなじまない。
まずは正しいことを雑にやってみる
ほとんどの社会の仕組みは、関わる人であれ期間であれ、「何かを区切る」「何かを限定する」「でき上がる前に計画で判断する」ことで成立している。だから、情報が少ないのに権限はある人が判断して失敗するといったことがよく起こる。オープンソースは真逆だ。
東京都はCode for Japanと長くコラボレーションをして信頼関係を築いてきた。今回、オープンソースから生まれた成果物を迅速に「公式」としたことが、東京都最大の功績だ。「公式」としたことで皆が注目し、医療関係者や報道関係者などからも信頼できる情報として認識される。
現在、東京都の副知事には元ヤフー社長の宮坂学氏が就いている。宮坂氏は、今回のオープンソースシステムを各自治体が使えるように無償公開したことについて、後押しするツイートをしている。Code for Japanのボランティアエンジニアたちが、これまでも行政を巻き込んだ活動をしてきたこと、そして宮坂氏のように、自治体の中にエンジニアとの付き合い方をよく知る人がいたことが、今回のコラボレーションを助けた。
Code for Japanの関さんをはじめ、関係者に何人か旧知の人たちはいるが、筆者自身は今回のプロジェクトに関わっていない。しかし、東京都のサイトと作られた過程を見たときに、自分もこの流れに貢献したくなった。
筆者は、今回のようなオープンソースのやり方がそれまでの社会の仕組みと「違う」ことが、非常に大事だと思っている。オープンソースのやり方(課題があったらそれを自分で解決する、課題をオープンにして誰でもコミットできるようにする)に、既存の社会が合わせるほうが、世の中は良くなると思っている。世の中にはまだまだ伸びしろがある。そして、ものを作る人や、どうやって作っているかに興味を持つ人が増えれば増えるほど、社会は良くなると考えている。まず正しいことを雑にやってみること。それが世界を良くしていくと信じている。
(転載は以上です)
この高校生に言ってあげたいです…
君は一人ぼっちではない
君と同じ志を持った 無数の人たちの 手弁当での善意とスキルが
今この緊急事態において 確実に芽吹き始めていて
世の中を 少しづつでも良い方向に変えていこうとしている
ファイト!!
家族救えなかった高校生の研究
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=6006143
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