アルコール(エタノールとメタノール)には殺菌、ウイルス破壊効果があります。 どのように行われているかと云うと、
� 々眷仕�(80％以上)では”脱水”作用や、”脱脂”作用が働いて、細菌の細胞膜やウイルスの殻蛋白(カプシドまたはエンベロープ)が”変性”することで、細菌の死や、ウイルスの不活性化または破壊に至ります。
脱水と脱脂は、皮膚を濃度の高いアルコールで拭くと白くなることで観察できます。 またはスピリタスのようなオサケを口に長く含むと、口内が白くただれることでも分かります。
”変性”はちと難しい概念で、熱、酸、強い放射線、物理的刺激などによって蛋白質の性質が変わることを云います（多くの場合、蛋白質の不活性化を伴います）。 例えば、タマゴを茹でたり、焼いたりすると、ゆで卵や玉子焼きができるのが、”熱変性”です。 また牛乳にヤクルトのような乳酸菌飲料を加えると、”酸変性”が起きて、牛乳の蛋白が沈殿します。 メレンゲを作るときにかき混ぜるのは”物理的変性”です。
細菌・ウイルスの中には脱水・脱脂されても平気なヤツがいて、まるでインスタントラーメンみたいに、水を加えると復活してしまいます。 そういうものにアルコールの殺菌効果はありません。
（昆虫にも乾燥に強いのがいて、ＴＶで紹介されていましたね）
ただし、殺菌(メンドイので、以下ではウイルス破壊も含むことにします)は瞬間的に起きるわけではなく、ある程度の”時間”が必要です。 ところが、アルコールはとても蒸発しやすいので、皮膚の殺菌に100％アルコールを使うと、あっと言う間に消えてしまって、殺菌効果が薄れてしまいます。
�� 水で薄めて中濃度(50％くらい？)にしたアルコールの場合、アルコールが菌の内部に入ることで菌を膨張させ、菌が破裂して死んでしまうことがあります（”溶菌”という）。
ウイルスの場合、多くは高濃度アルコールのほうが破壊効果が高いのですが、中濃度に弱いものもあるらしく、よく分かりません。
アルコールは水よりも蒸発しやすいので、80％アルコール(消毒用アルコール)を皮膚にぬると、塗った瞬間はアルコール濃度80％ですが、次第に薄まって行きます。 つまり�，鉢△領省�の効果が期待できます。 また水分があると、アルコールの蒸発速度が遅くなりますので、殺菌効果が高くなります。
�� 低濃度(30％以下？)の場合。 消毒効果がありません。
焼酎の場合、最低が25％くらい、最高ので45％近くらしい(深くは知りません^^)ので、濃度が高いものならば消毒に使えますが、薄い焼酎は？？ってことになります（甲類、乙類とはあまり関係が無い）。 日本酒(15〜20％)、ビール(日本製は約５％)は全然効果なし。
「火が付くか付かないか」で区別できるという話を聞いた覚えがありますが、真偽不明です。
「消毒だ！」と言ってオサケを飲むことがありますが、あれはノンベの言い訳(笑)。 多量に飲んでも消毒はできませんからご注意（オサケ飲んでぐっすり眠る−例えば玉子酒−のは、病気を治す効果はあると思いますけど）。
高濃度、中濃度、のどちらにも強い細菌・ウイルスの場合、アルコールは効きません。 そのような性質を持つものには、炭疽菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、納豆菌、ノロウイルス、Ａ型肝炎ウイルスなどがあります。
アルコールの種類とお値段について
”税金”というのは複雑に作られているので、簡単に説明するのは難しいのですが、極めて大雑把に云うと、”飲めるアルコール”にはエタノール１リットルにつき約1000円の”酒税”が掛けられます。（ただしビール類の酒税は、その約３倍！）
例１）
「獺祭 39度 720ml ￥4,570」の場合、エタノール280mLを含みますから、酒税は約280円。 酒税より有名税？のほうが遙かに高い＾＾；
例２）
「宝焼酎 エコペット 25度 4000ml ￥2,518」なら、エタノールがちょうど１リットル含まれ、酒税が約1000円。 この場合には価格の40％が税金ということになります。 税金の逆進性がよく分かりますね……。
アルコールは飲むだけが目的ではないので、わざと「飲めないアルコール」を作ると、酒税が掛からず、安価に販売することが出来ます。
「飲めないアルコール」には、2-プロパノール(イソプロパノール)やユーカリ油、ベンザルコニウム塩化物(逆性石鹸)などの添加物を加えたもの（以上すべて消毒用）、メタノールを加えるか精製過程でわざと残したもの、ベンゼンやトルエン、ビトレックスなどを加えた工業用アルコールがあります。
話の順序が逆になりましたが、エタノールの製造法には現在主に２通りあり、一つがオサケを作るのと同じ醸造法です。 もう一つも原理は醸造ですが、材料として、サトウキビやトウモロコシといったバイオマス(ゴミ)を使います（バイオマスエタノール）。
この方法で作ったエタノールは純度が25％程度しかありません（それ以上になると酵母菌が死んでしまうため）が、 一番手間が掛からない、一番安いエタノール(オサケ)です。
より純度の高いアルコールは、醸造アルコールを”蒸留”して蒸留アルコールを作ります。
蒸留しても原理的に水をゼロには出来ませんので、最高濃度は96％です。（スピリタスがちょうどそれ） 蒸留の手間が掛かりますから、価格は高くなります（あくまでも原理的な話）。
さらに特殊な蒸留方法を使って水分を減らし、純度99％以上にしたものを「無水エタノール」と呼びます。 下に値段を書きましたが、かなり高価です。 ”試薬”として購入すると１ビン500mLで2000円くらい。
市販のものとしてはこれが最高濃度になります。 純度ほぼ100％を作ることは可能（小生も昔作っていました）ですが、すぐ空気中の水分を吸収してしまうので、作り置きができません。
メタノールは、天然ガス、石炭あるいは酸素製鉄排ガスからも低コストで大量に工業的に生産することが可能ですので、”試薬”として購入すれば、１ビン500mLで500円くらいで買えます。
その他のアルコール類の価格もアマゾンで調べてみました。
Ａ）無水エタノール 6300〜5700円／500ｍL
Ｂ）植物性発酵エタノール(無水) 1900円／100mL
Ｃ）第3類医薬品】消毒用エタノール 500mL 80％ 13500円
Ｄ）食品添加物 業務用エタノール 純度70％ 乳酸Na含む ５Ｌ 19800円
Ｅ）アルコール除菌スプレー詰め替え用 400ｍL 1800円 ユズ種子エキス、柿抽出物 純度不明
Ｆ） 同 400ｍL 1100円 グレープフルーツ、緑茶エキス含む 純度不明
Ｇ）燃料用アルコール 500ｍL 1370円 エタノール５％、メタノール95％
普段はどれももっと安いらしいのですが、ウイルス騒動で値上がりし、ボッタクリ価格になっているようです。
この中でオススメはもちろんＣ）の消毒用アルコールなんですが……高いですねぇ＾＾；
もしも理系または医系の研究機関にコネがありましたら、「試薬用」を入手して、80％に薄めて使うのが一番安上がり、かつ安全ということになります。
それが出来なければ、ちと消毒効果は落ちますが、「業務用エタノール」ですね。 ただアマゾンのは販売単位が大きすぎて困るでしょう。 小分けして転売するという手はありますが(爆)
いま一番流行ってる「アルコール除菌スプレー」は純度が不明−おそらく40〜50％かと−なので、じつはとても怪しい製品なんです。
でも80％の消毒用エタノールは、引火性！があって、スプレーは危険！！なので、わざと水を多くしているのかも知れません。 その辺は小生も知らないので、ドラッグストアなどで買うときに聞いてみてください。
最後に、メタノールはどうか？
メタノールはやはり万一口や目に入った場合の毒性が問題ですし、少量でもホルムアルデヒドに変化して、それがアレルギーの元になると言われていますから、いくら安くても使うべきではないですね。
「マスクは気休め程度」という話はかなり有名になってきましたが、アルコール消毒も決して万能ではありません。 石鹸による手洗いも同等以上の効果がありますから、無理してアルコールを買うのではなく、手洗いを励行しましょう。
※ 「ml」と「mL」は同じ意味で、小文字が本来の表記、大文字は現在推奨されている表記です。
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