もうひとつ、かってきました

（艦これ）
今日は、写真の本を買ってきて読みました。
「艦これ」に出てくる艦娘たちを主人公にして、鎮守府内にバーを造ってバーテンダーになって、ほかの艦娘たちにカクテルを振舞おう、って作品です。
題名になっている「サルーテ」は、イタリア語だかで「乾杯」って意味だとか。

お酒を題材にしたマンガというと、偉大な先例というか代表的な作品として「レモン・ハート」があります。
「ダメおやじ」でも有名な古谷三敏先生の作品であり、毎回とても素敵な物語と良いお酒のお話が描かれ、読んでいて楽しくなれました。
およそ三〇年前から連載されているというのもすごいですが、ネタが尽きることがないというのも重ねてすごいです。
まあ人類は、水の次にお酒を造ったって言われていますからね、その種類たるや一万や二万じゃないでしょう。

ともあれ、そうした数々のお酒を扱って、かつ押し付けにもならず無理なく読めるというのも素晴らしいです。
まあ問題は、私がお酒てんでダメでほとんど飲めないことですが。

でも、そんなやつでも楽しく読ませてくれるあたり、まずマンガとして楽しいと言える作品です。

話がそれました、「サルーテ」の場合だとお酒の中でも上記したようにカクテルを多く扱っていて、さらにキリンビールとか本家本元に取材して協力してもらっているだけに綿密な解説も載っていて、こちらも読んでいて楽しくなれます。
また物語の中心になっている艦娘たちが、それぞれ個性的でおもしろく、笑いの場面も多くて飽きさせません。
作者である森永ミキ先生の確かな画力によって、それぞれ魅力的かつ適度にポンコツなところもあって、ほんとに読んでいて楽しいです。

ただ、この方の絵ってこの画像を見てもお気づきの通りすごく上手で素敵なんですけど、時おり「目安箱」と別種のなんかコワいものを感じたりもします。
まあ隠し味になにかパンチの効いたところをいれるのは、お酒だけでなく料理でもあるから良いですね、きっと（と、いうことにしておきます）。

ガンビア・ベイ、コマンダン・テスト、タシュケントという、「艦これ」の中でも少数派の海外艦、しかもそれぞれ国籍が違うという取り合わせだけに、これから先も楽しみです。
とくにガンビア・ベイは、艦娘になる前の記憶があるのか第一遊撃隊に対して強烈な苦手意識があって（そりゃそうですね、戦艦四隻、巡洋艦八隻、駆逐艦十一隻に追いまわれたんじゃ、怖いに決まってます）、あの手この手で会話をしようとする姿がいじらしいです。
だいたいガンビアさんは、分類上でいうと航空母艦ですけど「ＣＶＥ」って分類の護衛空母で、申し訳程度の武装こそついてますが、敵艦と殴り合うことを考えて造られたフネじゃありません。
本来の任務は、陸上基地に艦載機を送り出す輸送任務や、上陸作戦で援護のため艦載機を発艦させるくらいで、速度も遅いし装甲も貨物船や輸送船より少し上くらいです。
それが、ハルゼー提督の「猛牛の疾走」によって各艦隊がバラバラになってしまい、いきなり主力艦隊とぶち当たったんですから、なんとも不運なことです。

そんな事態にもめげずに懸命にバーテンダーとして成長しようとしているところが、また応援したくなる内容になっています。
それに今じゃアメリカとか日本とか洋上だとお酒って厳禁でしたが、近代海軍の祖である英海軍だとお酒もＯＫでした。

まあ大航海時代とか、その少し後の頃だから真水の確保が大変で、むしろお酒の方が安かったからっていう理由もあるらしいですけど。
ともあれ、かつて海軍とお酒も深い係わりがありました。
現在の英海軍も、お酒の支給までしてないにしても飲酒に関しては、度を越さない限り黙認みたいな感じだそうです。
ここら辺の太っ腹さは、やはり過去に七つの海を制した海軍の栄光と矜持というところでしょうか。

ゲーム中の話になりますけど、英海軍の艦娘であるネルソンさんは、なにかとラム酒を飲みたがりますしね。
ちなみに軍艦じゃなくて客船とか貨物船が港に接舷した時に荷役をする「ポーター」と言われる人たちが好んで飲んだと言われるビールもあったりします。
そのものズバリ、「ポーター」といって、ロンドン港あたりでよく飲まれたんだそうです。

また産業革命の頃に作りだされ、いまも英国の代表的なお酒のひとつであるジンも、「サルーテ」内で出てきました。
飲めないくせに、こういったお酒にまつわる話を読んだり見たりするのが楽しい私にとって、いろいろ勉強になるマンガなんですね。

お茶でもすすりながら、艦これして艦隊を指揮しつつ、のんびり楽しんでいます。