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2020年01月17日01:38

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心残り (#423)

side A
1. Down by the Seaside / Led Zeppelin
2. Ten Years Gone / Led Zeppelin
3. Third Wind (live) / Pat Metheny Group

side B
1. 千のナイフ (live) / Y.M.O.
2. Led Boots / Hiromi's Sonicbloom
3. The Song Remains the Same / Led Zeppelin
4. Sick Again / Led Zeppelin

bonus
1. Leagal Fiction / Char
2. Stairway to Heaven / Led Zeppelin
3. Kashmir / Led Zeppelin

大学時代の音楽サークル(ジャズ・フュージョン系の曲を多く演奏するビッグバンド系のオーケストラ)でギターを弾いていた先輩が
「久しぶりにバンドをやりたいんだ」
と声を掛けてきたのは、ちょうど1年近く前のことでした。
間もなく昔のサークル仲間が4名揃い、令和に改まったころからスタジオでのリハを開始。
昨年終わり頃にはレパートリーも10曲ほどを数え、そろそろライブのブッキングに掛かりましょう、というところまで来ていたのですが――

その先輩が、先日急逝してしまいました。

たくさんある心残りのひとつは、リハの録音というものをしていなかったこと。自分自身あまりに色々な演奏機会があり、都度録音することが面倒になっていたのと、そもそも録音機材としてのHi-MDが完全にアウトオブデイトとなり、およそ使い物にならない、それに生録をしてもベースの音がリアルに聴こえているのと同じように録れるということはまずない、といったことが重なり、自分ではここ10年ほど演奏を録音することがなくなっていたのです。

ですから、彼の生前の演奏を偲びたくても、ずいぶん昔(16〜7年前頃)にやっていたバンドまで遡らないといけませんし、それはまだMDの頃で。
今日は、彼にまつわる曲たちと歩くことにしたのでした。

食べ物の好き嫌いも多い人でしたが、音楽に関してもかなりの偏食家で、
とにかくツェッペリンに関しては半端ないフリーク。話を聞いた限りでは、ブートを2千枚は持っていたのではないでしょうか。
もちろん愛器はギブソン・レス・ポール。昔、結果的に私と入れ替わりに去ることになったバンドでは「ペイジー」というステージネームを名乗っておられました。
でも、Paggyって書いてもバギーとしか読めないんけど…というツッコミを入れる機会も、もう来なくなってしまいました…。

ツェッペリンとともに偏愛されていたのが日本のフュージョン史に輝くバンドで、大学時代は(ビッグバンドなのに)先輩はほぼその4ピースバンドの曲ばかりを提案されていました。
私は近年そのバンドのリーダー師とバンプシティーで一緒に演奏させていただく栄誉にたびたび与っていまして、その話をすると先輩は本当に羨ましそうにしていました。一度お引き合わせする機会が持てなかったのが、本当に心残りです。

そのバンドの比較的最近の曲をカバーさせて頂いておりましたが、
ある時先輩が急に言い出したのが、
「The Song Remains the Sameのイントロをこの曲のイントロとして演ってみたい」
というもの。それまで我々のバンドではツェッペリンを演ろうという話はこれっぽっちも出なかっただけに唐突感はありましたが、
彼の言う「何でもありなバンド」というコンセプトから言っても、チャレンジしてみるのも悪くない。16ビートと言えば16ビートだし。

そんな先輩をフォローする意味もあってワタシがこれまた急に言い出したのが、
「ツェッペリンでフルにやれる曲としたら、Down By The Seasideなんかどうでしょう?」
だったわけです。
冗談半分のつもりが、年明けのリハでは本当に練習することになっていたわけなんですが…
そのリハの日に、先輩に捧げる曲として演奏してみようと考えています。

アルバムPhysical Graffitiでも同曲の次に出てくるTen Years Gone。先輩は最後のスタジオで、合間にこの曲を何気に弾いておられました。こっちのほうがお好みだったのでしょう。
僕もこの曲は昨年別バンドで演奏していますが、それを話すこともあえてしていませんでした。また、心残りが…。

Third Windは16〜17年前に一緒にやっていたバンドのレパートリーでした。
先輩はギター・ソロのイメージが強い人で、1コード2コードのソロならそれこそ何時まででも弾き倒しておられたものですが、このパット・メセニーの最難曲のひとつを弾きこなすのですから、実はパッキングにおいても非凡なセンスを発揮されていたこと、ワタシは気づいていたつもりですよ。十分お伝えできなかったのがこれまた心残り。

千のナイフは最後のスタジオでも演奏したレパートリーのひとつです。香津美さんのギターがフィーチャーされたライブテイク。改めて今日歩きながら聴いたら「こんなに速かったこれ?」って感じ。

Led Bootsはもう、最難曲もいいとこで、スタジオでは毎度ストップ&ゴーの繰り返し。しかしこれ、どっちかと言えば僕のほうが「ちゃんとできてなかった」。せっかくあそこまで持ってったんですから、1回ひと前で、演りたかったですね!

件の永遠の詩に続いて本編最後に出てきたSick Again。先輩はこのタイトルを16〜17年前のバンドの名前として考えておられました。それはどうかなと思いましたが、最終的にはやはりツェッペリンのツアーコピーだったか何かのFor Badgeholders Onlyという逆説的な命名に私がピンときまして、しばらくその名前で活動しました。

Leagal Fictionは新しいバンドで私がぜひ演りたいと思って持ってきた曲です。リラックスしたジャム調の曲は最初からほぼイメージどおりに運びました。こういうノリの題材が世の中になかなか出てこなくなったように感じるのは私だけでしょうか?

あまりにも急な報せを受けたその夜、私はひとり寝室で久々にギターを手に取り「天国への階段」を弾き語ってみたのでした。それが相応しいことなのかわかりませんが、いかんせん他に弾き語れるようなツェッペリン曲があるわけではなく、それは先輩に苦笑されそうなひどい出来ではありましたが…届いてくれたでしょうか。

先輩とはカラオケボックスで徹夜したこともありました。社会人になってずいぶん経った時期です。
その時の選曲リストがいま思い出しても笑えますが、きわめつけが先輩の入れたカシミール。唄えてた…っけかなあ??

お気に入りのペイジ/プラントのシンボルマーク入りセーターを着せてもらっていた棺の中の先輩。「天国でボンゾとのセッションを楽しんで…」と呟いてその場を辞しましたが、
冥福を祈る、というような気持ちにはまだなれません。
この辺りにnachleben=残存している彼の魂を近くに感じつつ、しばらく時を送りたいと思います。
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