「白銀の墟 玄の月」の第三巻を読み終わり、第四巻の最初の方…ギョウソウが穴の中で…辺りまで読んだ感じで、ひとまずここまでの感想を書き始めていますが…昼に途中まで書いたものを非公開保存したはずが消えとる…保存時に通信でも途絶えたか…(´;ω;`)
ということで書き直し、さよなら消えた4000文字…
前回の第二巻までの感想同様、カタカナ表記やネタバレがあるのでご注意を。察してください。
■全体について
今回は起承転結の「転」…にしてはちょっと物足らない感じがしました。
何ていうかこう…「転20%OFF」みたいな感じで、大事なピースがまだ動き出していない感じ。
そうです、ギョウソウがまだ動き出していないんです。
タイキもリサイもアセンも動いている。新キャラもどんどん回転している。新しい動きが始まっている。
でもギョウソウは、ようやく最後にちょこっとあれなだけ。言い換えれば次巻ではギョウソウにおける「転」が描かれるであろう、と思われます。
んでもって状況はタイキ、リサイ側には望ましい方向に動いている…ように見える。
アセンの圧政に従うだけに見えた民も、実はそれぞれ自分の出来る範囲で動いていた。
当初はわずかしかいなかった仲間が、様々な陣営の助けもあってどんどん増えていっている。
でも私はとても不安を覚えています。
それはタイキと天、それに関することです。
■タイキ
今巻にてタイキがアセンの前にひざまずき頭を垂れ誓約をしてしまいました。
このことについて、他の人はどう思ったでしょうか?
私は「タイキが嘘をついている」とこの誓約時に思っていました。
それどころか、タイキは王以外にも誓約できるであろうと、今作が出る前から考えていました。
だって角がないんだもの。
ただどっちなのかが分からなかった。
もう全く天との繋がりがなくって誰が相手でも余裕でひざまずき頭を垂れてしまうのか?
それともまだ繋がりが残っていて容易くは誓約など出来ないのか?
答えは後者でタイキはアセンとの誓約後に血涙を流すわけですが、事態はそこで終わるのでしょうか?
このタイキの偽りの誓約、タイキはあくまで嘘として、「王はギョウソウでアセンは王ではない」として言ったはずです。
でもそれは天においても同じなのでしょうか?
この世界の王は麒麟が選ぶ。
麒麟はただ唯一、王にのみひれ伏すことができる。
仮に他国の王の前であっても、麒麟は自国の王位外には頭を垂れることはできないし、当然王位外には誓約出来ない。
でもタイキは角を失ったことと己の強い意志でアセンと誓約を結んでしまった。
このことに対する天罰はおそらく存在しないのだろう。それがあるならばすでにギョウソウかタイキか、あるいはアセンに即座に天罰が下り、通常では考えられない形で命を奪われているはずだ。たしかそのような王の話があったと記憶している。
つまり通常は麒麟が王を一人しか選べないという理しか存在せず、そうでない異常事態に際しての対応などは天には存在しないということ。
では天は、ダイキの偽りの誓約を無効と見なすでしょうか?
…私はそうは思えません。
天はあくまで理に沿って淡々と進みます。
とするならば、タイキが言った「アセンが新王ですが、ギョウソウが今も王なので禅譲させなければアセンが王になることはない」という嘘、それが天においても結果的に同じ流れとなる、つまりは「嘘から出た真」になつまているのではないかと思われるのです。
ただその辺りが作中で語られるとしたら…ギョウソウがアセンより先に命を失った時のみ、なのかもしれません。
前巻までに既にロウサンが語っていますし、そこをあえて語る場面はそこぐらいしか考えづらいと言いますか、その状況にならねばワザワザ語るのには至らないでしょうし…もしかしてあり得る?
いや、もしかしたらアセンが先でもそうなるんか…?
あとはタイキがこの先、本当に角が回復しないのかどうかが気になります。
万が一、ギョウソウの命になにかありタイキが生き残れば新たな王を、となりますが、その際に角なしでは探せずにその度に誓約の状態が出来るかをためさねばなりませんからね…あるいはもう血涙や抵抗感を覚えないのやもしれませんし…そうなると王探しの旅はいつまでも…
なんにしてもアセンが再び凶行に走らぬ限りは、時間は掛かれどもタイキは王城内で味方を増やしていくのかなと、そう思える第三巻のタイキでした。
■ギョウソウはやっぱり…
穴に落ちていましたね。
私に限らず「ギョウソウ絶対穴の中!!」って思っていた人は少なく無いと思うんですが…何故かリサイはそう思わなかったのは不思議ですが…
さて、ギョウソウが最後にチョロっと出てきたのは嬉しい限りなんですが、問題はまたギョウソウに限って言えば起承転結の「起」でしかないということです。
『タイキもリサイもアセンもみんな転だよ(゚Д゚)!!』
って言ってあげたくなってきます。
このあとどのようにギョウソウが見つけられるのか、あるいは違う方法で…ってアレを見つけたのまで読んじゃったのが悔やまれる…orz
それ以外でも、ギョウソウのことが本人自身から語られていないのよね。
なぜワザワザ怪しい状況について行ったのか…たしかについて行かねばと思う事象はあったにしても、あまりにも無茶にも思えるし…
またアセンについてどう思うかも親しい人からの伝聞のみで、実際のところ本人がどう思っているかとかね…やっぱり「起」ですね、まだ。
■アセンさん
タイキの度重なる不法侵入(?)で自身もタイキのお家に不法侵入からの誓約ドーン、とようやく動き出したアセンさん。
でも本当にタイキを信じているの?
自分が麒麟の誓約を受けた王だと思っているの?
…それはないべ。
もう超ひねくれてて実は性能良いはずなのにそれも使わずふてくされてたアセンさん、動き出したとしてもタイキやギョウソウにとっては良くないことするんでないの?
としか思えないよね。
でもさ…私はわりとアセンさんを否定できないのよね…おいらもわりと自らの地獄に使っていろんな人を拒否し続けているからね…2008年に食らった事故以来ね…
私にもそんな立場があり力があり、ってなったら、やはり似たようなことをしてたと思う。
ただ私は出来なかったし、アセンさんは出来てしまった。それだけではないのかな…
と私はアセンさんを通して、私を含めて実は未遂に終わっているだけであろう人のことを思い浮かべてしまったわけです。
まぁタイキが喜ぶことだけはしないべさ。きっとたぶん必ずね。
■やっぱり誓約のこと
やっぱり気になるんですよ、誓約のことが。
もし天がタイキの偽りの誓約を想定外のこととして認めたならばいい…どんなPatternがあるでしょうか?
例えば順番通りに処理するならばいい…
ギョウソウが討たれたとして、「崩御」からの即「即位」とハクチが鳴くとか?
アセンが討たれれば其の場では鳴かずギョウソウが亡くなった時に「崩御」「即位」「崩御」かな。まぁ丹東の官がビビるだけよね。
こういうハクチの鳴き方だけならどうでも良いのですがテ
もし異例の二人との誓約を一緒に処理するとしたらどうでしょうか?
アセンが討たれてもギョウソウが撃たれてもどちらも王としてしんたと処理されることになり…どちらかが残っても余命は数日となる…残されたタイキは角もなく王気も探れずしかし王を探して旅に出る………あれ? ありえそうな気がしてきたぞこれ?
やっぱり鍵になるのは『誓約』ではないかと思うわけです。はい。
■次巻について
起承転結の「転」にはもの足らないというのが私の第三巻の感想ですが、まぁ何らかの形でギョウソウはどちらかとは出会うのでしょう。リサイ側かアセン側かは分かりませんが、そうでなくては話は進まない。
ただ、もし今巻の流れのままにリサイ側が万々歳でアセン斃せました、にはならないと思う。
そんな単純な英雄談では十二国記はないし(っていうか英雄談では無いからね、おいらに言わせれば)、また作者はそんな誰もがハッピーな話なんてこれまでも描いてはこなかった。
陽子の話ではどのエピソードでも悲しい出来事があり苦悩しながらなんとかそれを乗り越えてきた。
エンの話では多くの知が何度も流されてきた。
短編では血が流されないエピソードもあったけど、そこでも十二国世界の独特な習慣風習や制度の中での人々の苦悩が描かれてきた。
タイキがレン国に行った話だって、その裏ではギョウソウによる官吏の整理が存在していた。
そんな作者が三流のハッピーエンドを描くだろうか?との疑問を私は拭い去ることができないのです。
もしかしたら今巻以上の「転」が待ち受けているのだはないかと予感せざるを得ません。
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