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2019年12月01日21:25

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読書レビューあれこれ

なんか最近リア充してるなー。
管理人です、こんにちは。
いやね、最近、不思議なくらいに毎日が楽しいのですよ。
仕事は、まぁ、全部とはいいませんが大半が楽しめています。
私生活も、家事に運動に、そして何より読書が楽くてですね。
あれこれと張り切りすぎて体に疲れを感じる辺りは、さすがにもう若くないなーと思うわけですが、それでも心の充足感はなかなか良いものです。
ああ、ないとは思いますが、「彼女できました」とかいうくだりを期待している人・・・
ありえねーから!!

そんなこんなで、先日に予告していた読書レビューの一部を公開しておきます。

『笑う警官』佐々木 譲

北海道を舞台にした警察小説。
あるアパートから住人が死んでいるとの通報があって所轄の警官が捜査に出向く。
結果、被害者は道警本部に勤める婦人警官だった。
さらに、その事実が明らかになった途端、本部が下した結論が「所轄は完全に手を引け」「捜査はすべて本部が引き継ぐ」。
連携して捜査に当たるのが通例なのに・・・
という、何ともきな臭い”事件”を発端に描かれる、所轄警官達のある意味青春小説といった一冊。
本部が結論づけた容疑者は警官であり、さらに「容疑者に対する発砲を許可する」なんてお達しが事件の直後に降りてくる。
ドンパチ専門の特殊部隊まで出動させ、明らかに容疑者を殺しにかかっている本部の思惑とは・・・
なかなかスケールのでかいサスペンスやなーと思って読んでいたのですが、この作品、実際に北海道警察が起こした不祥事や、それに伴って明らかになった組織体質を土台に描かれているそうでして。
後書きでそれを読んだときが、多分いちばんゾッとした瞬間でした。
この作品、発表が15年前とたいそう古い小説なのですが、何の違和感もなく読めます。

『名探偵の掟』東野 圭吾
『名探偵の呪縛』東野 圭吾

東野圭吾は、自分の中では正統派ミステリー作家の位置づけなのですが、大阪人なのですよね。
短編作品集の「歪笑小説」や「黒笑小説」等の作品では、そうした読者を笑わせにくる筆者の遊び心に大いに触れることができますが、この「名探偵の掟」も全力で笑える一作です。
表面的には本格推理小説を全力で茶化しているというスタイルで進行します。
何せ冒頭で一人語りをするのが警部で、「ミステリーにおける我々警察の役割をとは、絶対に犯人を暴くことなく的外れな言動を重ねるピエロのような役割なのだ」と述懐し、さらに「だが、当てずっぽうに行動すれば万が一にも犯人を当ててしまう可能性がある。だからこそ、誰よりもいち早く犯人を特定し、その上でその人物をあえて外して行動するのだ」というトンデモ発言が飛び出す。
まぁ、確かに探偵役の主人公がいる小説で、警察が通り一遍の捜査で犯人を正しく挙げてしまっては読者が「???」となるのは必至。
要するにこうした、ミステリーにおける「お約束」のようなものを笑いを交えて大いに考察している一冊なのですよ。
でも、ただの評論ではなくきちんとオリジナルのストーリーがあり、ミステリー小説としても楽しめる質を確保した上で、「確かにミステリーって、そうだよなー」と納得させられる内容。
「名探偵の呪縛」はその続編、ではなく対をなす作品だそうで、こちらは「ミステリーって何?」という人々が暮らす不思議な街を舞台にした物語。
密室やトリックという概念がないから、鍵のかかった部屋で人が死んでいたら自殺で決まり、と警察は即断です。
「いやいや、ちょっと待って!」
唯一、ミステリーの概念を持つ主人公は、そんな街で起こる不可思議な事件に立ち向かっていくが・・・
こちらもテーマが明確で、その点は楽しめるのですが、小説としてはかなり早々に終着点が見えてしまい、ワクワク感がふくらまなかったのがちょいと残念でした。

『マスカレード・ホテル』東野 圭吾
『マスカレード・イブ』東野 圭吾

あるホテルで近いうちに殺人事件が起こると予告された。
警察はこれを未然に防ぐため、複数人数の刑事をホテルスタッフとして潜入させて捜査を進める方針を打ち出す。
犯人は誰なのか、狙われるのは誰なのか、事件はいつ起こるのか。
不確定要素が多すぎる条件下での捜査・・・というシチュエーションが新鮮で、500ページくらいある長編ながらほぼ一気読みしてしまいました。
主人公は、予告を受けたホテルのフロントクラークとして勤務する女性ホテルスタッフと、そのフロントスタッフとして潜入捜査を行うことになった刑事。
いくつかの小編に分かれた展開で、それぞれの章で個性的なお客が登場するのですが、これに対する両主人公の対比が面白くてですね。
サービスのプロであるホテルマンとして、お客を疑わない、お客のわがままを受け止め、柔軟に対応することで満足させるという行動原理に対して、怪しげな客はすべて疑い、ルール違反は厳しく罰するべしという警察の目線。
当然ながらこの2人、真っ向から衝突する訳ですが、そこは小説としての展開の妙。
うまくお互いの良さが光るような事態を一つずつ乗り越えながら、良きパートナーへと進展していく訳です。
小説として面白いのはもちろんですが、個人的にはホテルマンシップのすごさが印象的です。
自分みたいな狭量な人間には絶対できないような対応の数々に感服でした。
「マスカレード・イブ」は上作品の後に描かれた作品ですが時系列でいうと過去にさかのぼった内容。
刑事として、ホテルスタッフとして、前作の主人公をそれぞれ主人公とする短編が3本と、表題作が読めます。
2人が出会う前の物語、なので直接的な接点はないのですが、表題作の最後が「マスカレードホテル」につながる内容なので、その後を知っている読者としてはニヤリとして読み終わることができます。

さて、今日のところはこの辺で。
続きはまたの機会に紹介できれば、と思います。

それでは、また。
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