初めて土のヴェリアスと気持ちが一致した瞬間。
ゲームの醍醐味って、キャラクターとシンクロ出来た時に快感がある。
黒ちゃんの言葉に反して私は何故か、ヒーローとは愛でるものであり同期同調するものではない、と骨の髄まで染み込んでいる。
それがヴィ=ナロードの真骨頂である「民衆の中へ」とした言葉だろう。
最初から在野していて下野している存在なら、金勘定にも権謀術数にも無縁な筈だ。
父は私に、何を教えたのか。
まだ私は、若く情熱に燃えていた当時の父から授けられた記憶の断片を統合している最中だ。
歳を経ると経験値が貯まり、些末な情報や最新の情報には疎くなるが、データを総合して事物を判断する力に長ける事は知識として知っている。
まだ存命の父からは、既に当時の情報を引き出す事は能わない。
寧ろ、父はそれを望んでいたかも知れない。
大した話じゃないんだ、それが。
今日のニュースの中曽根元総理の存命中の逸話みたいな、立場が違えば貶されもするし誉められもする、私に伝わっていたのはそのようなデータばかりだ。
ただ、父がテレビのニュースを見ながら時折語るそれが、物凄く面白くて仕方がなかった。
寒い冬に夜勤から帰った父が自分でけんちん汁を温めて晩酌ついでのように飯を喰う、一足前に夢の世界に1泊旅行に出てしまう母と弟からいつも寝そびれては現実世界に置き去りにされる私は、仕事から帰った父から振る舞われる温かい味噌汁やけんちん汁で全身を温めてから眠りに就いていた。
暖かい記憶、暖かい温もり、暖かい時間、思い出せばいつも暖かい記憶だ。
父は私の趣味を咎めた事など1度もない。
私の趣味を咎めているのは、いつも私の父と敵対する連中ばかりだっただけの事だ。
母でさえ私に、白土三平や池田理代子の漫画を買い与えていた。
私の母は、長い年月を教育委員会の手下として生きている。
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