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2019年11月25日08:08

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トランプ大統領は米中合意後、再び中国を叩く? 8時00分配信 東洋経済オンライン

主要国の株価は高値圏にはあるが、相変わらず米中通商交渉の「部分合意」の行方を巡って、落ち着きなく上下動している。

 筆者は1週間ほど前まで、ニューヨークとワシントンDCを訪れていた。その際、経済専門テレビのある番組で、キャスターが語っていた言葉が印象に残った。「米中部分合意を巡る諸報道の見出しで、一喜一憂しても仕方がないから、騒ぐのはやめた方がいい」。

 「騒ぐのをやめた方がいい」と言っても、市場は騒ぐのが「商売」なので、今後も騒ぎ続けるのだろうが、投資家としては、市況のぶれに惑わされてもいいことはない。

■トランプ大統領を動かしている最大の動機は何か

 もちろん、当コラムでも何度か述べてきたように、投資は自己責任、つまり自己の投資判断を自分で行ない、失敗しても誰のせいにもしないのであればどういう投資をしても自由だ。なぜなら、責任と自由は表裏一体だから。したがって、部分合意に関した市場のブレに乗じて、短期売買で大いに儲けようと考えるのであれば、お好きになさればいい。ただ、筆者はそうした短期売買に資する情報を提供する能力はない。

 それはともかく、今回のアメリカでの出張でどういった情報を得たかについては「米国出張報告会」を、12月に東京で、2020年1月に大阪で開催する予定だ。これは筆者が見聞きした情報を、筆者自身の見解を差しはさまず、そのままお伝えする、というものだ。また、そのうち主要な部分は、当方の有料メールマガジンでも、一部を先行してご紹介する。詳しくは、それらのセミナーやメールマガジンをご参照いただきたい。

 もちろん、このコラムでもそうした情報の一部をお伝えしたいが、出張時に筆者の関心が最も高かったのは、「今のドナルド・トランプ大統領の経済・通商政策を動かしている、最大の動機は何か」であった。

 というのも、今回の部分合意については、前回のコラムでも書いた通り、
不可解な部分があるからだ。つまり、中国側としては、ある程度アメリカ産農産品の購入を増やすが、数値目標としてはトランプ大統領の要望より遅い増加スピードに設定するか、できれば数値目標自体を示したくないというものだ。

 また農産品購入以外については、ほとんどお題目程度の内容で済ませたい、それでもアメリカ側には関税撤回をできるだけ行なってもらいたいというもので、中国のいいなり、アメリカの大幅譲歩、としか考えられない内容だからだ。つい数か月前まで、政権内の対中強硬派に沿った、関税の対象範囲拡大を続けてきた大統領が、なぜコロッと軟弱姿勢に転じたのか、その背景要因は何かが気になったからだ。

■トランプ大統領は株価と再選を結びつけていない? 

 日本国内では、「2020年の大統領選挙に向けて、トランプ大統領はさまざまな経済対策を打ち出し、景気と株価を押し上げ続けたいはずだ。そうした考えの中で、アメリカの景気に大いに配慮して、今回の部分合意を推し進めている」との声を多く聞く。そこでアメリカでの取材先に、「日本ではそうした意見があるが」と水を向けると、取材先の最初の反応は「お前が何を言っているのかわからない」と、ハトが豆鉄砲をくらったような表情だった。

 「確かにトランプ大統領は、景気がそこそこ好調で、株価がそれなりに堅調な方がいい、とは思っているだろうが、景気と株価を押し上げ続けなければ当選できない、などとは全く考えていないだろう」という意見が圧倒的だった。

 さらにその場で指摘を受けたが、過去、再選に成功した大統領と失敗した大統領について、選挙前の経済成長率がどうだったかをみると、再選の成否と経済成長には明確な関係が見出しにくい。確かに1980年に、ジミー・カーター大統領が再選に失敗した際は、実質経済成長率(前期比年率ベース、以下も同じ)は同年4〜6月、7〜9月はマイナスだった。しかし、1984年のロナルド・レーガン大統領(同年1〜3月8.1%→4〜6月7.1%→7〜9月3.9%)や2012年のバラク・オバマ大統領(同3.2%→1.7%→0.5%)は、景気の減速色が強まるなかで再選されている。

 「今は、確かに製造業の減速色は鮮明だが、有権者が気にする雇用情勢は強いし、株価も最高値圏だ。そのなかで景気や株価への配慮が、今回の部分合意についても、今後の経済政策についても、大統領が考慮する大きな要因とは全く考え難い」と突き放された。

 では、なぜ今は大統領が部分合意にまい進しているかというと、「農家に対していい顔をしたいからだろ」とひとことで済まされた。アメリカの農家数は、5年ごとに行われる農業調査では204万軒(2017年)に過ぎず、大きな票田とは言い難い。しかしすべての州に農家は存在しており、また農業を支えるという姿勢が非農家層にも歓迎される傾向があるため、農家を支援するポーズをとることは、選挙戦略上は重要だとの声を多く聞いた。

 このように、日本でよく聞かれる「トランプ大統領は、来年11月まで株価を上げまくるのだ」という見解が一笑に付されただけでなく(念のため申し上げるが、私が笑っているのではなく、現地の取材先があきれて笑っていた)、「むしろ部分合意の後は、再度大統領は中国叩きを始めるのではないか」という警戒的な指摘を多く受けた。

 というのは、多くの世論調査で、「中国を好ましくないとみる」人の割合は、共和党支持層でも民主党支持層でも、上昇傾向にある。つまり、「中国叩き」が票になる要素が強まっているわけだ。また今回の香港人権法案の上院での全会一致の可決にみられるように、議会でも超党派で中国を制裁しよう(議会の場合は、通商というより人権・安全保障面からであるが)という機運が強まっており、大統領も議会の意向を完全に無視することは難しいだろう。

 このため、今後も大統領は中国に対しては、景気や株価が堅調であれば中国叩きに傾斜し、それで株価が崩れれば中国について柔和な姿勢をとるといった、振り子のような姿勢を繰り返すだろう、という警戒が現地では強いわけだ。

 したがって、残念ながら、今後も「トランポリン(Trumpoline=Trump+Trampoline)相場」が続くだろう。ただ、冒頭で述べたように、そうした株価の上下動に一喜一憂して、高値であわてて買って、安値で狼狽して売る、ということがないように、落ち着いて対応したいところだ。

■長期投資家が日本株を買い始めた背景は? 

 一方、アメリカ出張時は、日本株への投資を行なっている年金、ヘッジファンドなどの投資家と直接、あるいは多くの投資家と接している証券会社などと面談し、足元(株価指数先物ではなく)現物株で買い越し基調となっている背景についても、尋ねてきた。

 これも日本では、「日本株がアメリカ株に比べて出遅れているから、日本株が買われている」「世界景気は早晩底打ちして回復に向かうと期待できるが、景気回復期には日本の企業業績の戻りが大きいので、日本株を買っている」とよく言われている。筆者も、アメリカのすべての投資家と会えるわけでもないから、そうした理由で日本株に買い出動している投資家もいるのかもしれない。

 ただ、筆者が会った範囲では、そうした買いの理由を挙げた投資家は皆無だった。むしろ「日本株が出遅れているのは、企業業績の不振や消極的な企業経営など、株価が出遅れて当然という理由によるものだろう」「日本の株価の全体底上げシナリオには同意しない。上がるものは上がるだろうがそうでない銘柄も多いだろう、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)全体を持ち上げるような幅広い買いは入れたくない」という声ばかりを聞いた。

 ではなぜ買っているかというと、元々の優良企業について、経営が前向きに変化し、増配、自己株の買い戻し、事業再編、親子上場の解消、M&Aなど、動きが積極化しており、そうした企業に選別的に投資してもよいと考えているからだ、との答えが返ってきた。

 なお、彼らに言わせれば、そうした日本企業の経営の変化は、「日本の機関投資家が、投資先企業となれ合って「企業経営との対話」がお題目と化し、経営への圧力を強めないなかで、われわれ海外投資家が、日本の企業経営に耳の痛い提言を行なっているからだ」との自負があるようだ。とすれば、現地で、今回の日本の外為法改正が、すさまじい悪評を浴びていることは、容易に想像できるだろう。

 さて、最後に、今週に限っての日経平均の予想だが、今週は大きな材料を欠く。このため、米中部分合意に関する大統領自身あるいは閣僚などの発言や、合意の先行きについての観測報道で、株価が上下に方向感なく動く展開が、残念ながら続こう。今週の日経平均株価は、2万2600円〜2万3400円を予想する。引き続き、中期的には株価は天井圏にあると考えている。
馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト
https://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20191125-00316183-toyo-column
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