何本もあるのでここにまとめます。
※ 奈良時代、「百済救援」白村江に敗北を喫する日本は、大唐帝国の上陸を許してしまう。
これを受けて「壬申の乱」が起こり、大海人・天武天皇が登場する。打ち続く朝鮮半島の混乱。また大唐にても執権が、高宗より則天武后の時代となる。
ここに小康を得て平時代、「聖武天皇」の治世。中国との関係改善を遣唐使が行う。
しかし、打ち続く天災と疫病と飢饉の中、宗教には「現世利益」としての救いが求められていたた。
聖武天皇は「毘盧遮那仏・大仏」を国際都市のシンボルとし、国家建設の礎とする計画を行基等と練り上げる。
これは「東大寺」を拠点とし「国分寺」を地方拠点とする中央集権化の天皇の試みである。
通信手段の萌芽も持たぬこの時代。統一言語・標準語を持たぬ日本に於いて聖武天皇は「東大寺」の建立を成しつつ「都を基準」とし国家統一を図ろうと言うのだ
そのために日本中より若者を呼び寄せ、大仏建立の学習効果より打ち続く天災と疫病への闘うための勇気として、この一大事業を位置づける。
当時、行基は池を堀り橋を掛け布施屋を営み民衆救済に努め、民衆宗教の機軸を勝ち得ていた。
百済敬福は蝦夷との繰り返す戦闘より和解・邂逅の道を見出し、後に蝦夷との協働により陸奥国の涌谷に金を発見する。
大仏建立は「日本国ここにあり」として広く世界に視野を広げ、西域とも交流・貿易を開始する一大偉業である。それはナショナル・シンボルでもある。
阿倍仲麻呂は外交官として玄宗皇帝や則天武后に仕え、その間口を広げようと努力する
吉備真備は学際的な先端科学を日本に持ち帰り後進の指導に当たる。
上等の「絹」を持ち、尚新しい産業振興を見据えながら「シルクロードの東の終着駅」として西域と交易することが若き天皇の夢である。
幼き日に母親の愛情に恵まれなかった天皇は「慈母愛」の尊さを知り「仏法の下の平等」を説き、毘盧遮那佛の造顕に参加により、新たな社会秩序の創造を国民に呼びかけ、「放賤」(奴隷解放)を何度も試みる。
しかし、出費の増大や「安価な労働力」の喪失をを警戒する一部豪族の反発を招き、天皇の暗殺も計画され、それは実行される。
また一方では、市原王・佐伯今毛人等が大仏建立を開始するが、灼熱の鋳造と有毒ガスを発生する塗金作業の中で、若く優秀な若者達も多く死に追いやる。
「大仏建立の何の報恩ありや？！」大仏建立の本質は空洞化し、ただ建立・建造のみが追求される。
身命を賭し天皇の呼びかけに応えた人たちが朝廷を恨みつつ、しかし宗教に救いを求める人々は疑心暗鬼に落ち入る。
大仏のほぼ完成の頃、天皇の存命中に開眼供養会が催される。聖武天皇の念願の日が来た。大仏殿は『山のようである』と云われ、五色の幡が周囲にはためく。
毘盧遮那仏を形どる二丁の幡には「法の光の無き日」と「法の光の満ちる日」が描かれている。一万人の僧尼が開眼供養に立ち会う。
菩提遷那は大仏の目を大きな筆で描く。その筆には「五色の褸」が垂れ下がりそれは大仏殿の外へと伸び、人々は我先にそれに縋り就こうとする。
佛哲は法会に民衆の為に舞踊を披露し、若草山より多くの外京の者たちがその法会を見守る。それらは結集・結縁を意味する。
人々は「皆の力の結集により、何を作り上げたのか」を皆の眼で確認する。
しかし世界よりの来客は、新たな病原菌の蔓延を加速し、また銅鉱の精錬や水銀の残滓が川に流れだし都に奇病が発生し病死者が発生横行する。
目的と手段の転倒現象がここに起きる。「大仏建立の何の報恩ありや？！」奇病に走り回るもの、飢えた人の横たわる。餓死者の死体の散乱するさま。
都は歓喜と苦痛とが同居し、鬩(せめ)ぎ合う。
大仏建立の、目的と手段が入れ替わり、奈良の都は仲麻呂・道鏡・称徳天皇らの騒乱の舞台と成り果て、未来創造の本質が欠落してゆく。
そして西域との交易は、天皇の思うようには現実のものとはならなかった。「絹」だけでは西域よりの続きの船が来なかった。天皇が意図した信楽京での新たな産業は見劣りがしたのだ。
称徳天皇は女に目覚め、修行僧・銅鏡を愛し始める。仲麻呂は大仏建立の為に手段を選べなくなっている。
尚、都に日本に蔓延し始めたインフレに対応できないでいる。そして「鋳銭」を繰り返しては資材の調達を図ろうとする。
「一草の枝・一握の土」の呼びかけは、時機を得た天皇だけの掛け声だったのだ。
「法王」となった銅鏡は自身の政治的位置がどのようなものなのか理解できない。それを良い事に近在の者たちが銅鏡を利用し始める。
「大仏建立の何の報恩ありや？！」尚もつづく「大仏建立」事業に豪族たちの出費も大きな負担となっている。
しかし、それが各国分寺の負担ともなる。東大寺より各国分寺に下った僧達の初仕事は地方には「収奪」としか見えなくなる。
奈良の都は「宗教と政治」が混交する魔都と成り下がった。聖武天皇が大仏建立に賭けた情熱が、天皇の死と共に葬り去られた。
「大仏建立」と共にある「勇気の意味」が喪失してゆく。
出費を嫌い、「天よりの平等」よりも、身分制度社会に貴族も豪族もその身を保守したかったのだ。
桓武帝は京都に都を遷都する。主要人物の死滅の中、しかし大仏建立の熱はその後も続く。
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