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2019年09月22日23:58

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魔法少女の系譜、その103

 今回の日記は、断続的に連載している『魔法少女の系譜』シリーズの一つです。前回までのシリーズを読んでいないと、話が通じません。

 前回までのシリーズを読んでいない方や、読んだけれど忘れてしまった方は、以下のシリーズ目録から、先にお読み下さい。

魔法少女の系譜、シリーズ目録その1(2014年01月22日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=25849368&id=1920320548
魔法少女の系譜、シリーズ目録その2(2018年12月24日)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969682470&owner_id=25849368

 今回は、「魔法少女もの」ではない作品を取り上げます。前回までの『ヤッターマン』から、少し時間が戻って、昭和四十年代の作品になります。
 その作品とは、『ウルトラマンA【エース】』です。日本の誇る特撮番組、ウルトラシリーズの一つですね。
 前回の「魔法少女の系譜、その102」で、マイミクの中嶋俊樹さんに御指摘をいただきました。ちょうどいい機会なので、今回、取り上げることにしました。

 『ウルトラマンA』は、昭和四十七年(一九七二年)から昭和四十八年(一九七三年)にかけて、放映されました。ウルトラシリーズの中では、『ウルトラQ』、『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』、『帰ってきたウルトラマン』に次ぐ、第五作です。

 ウルトラシリーズでは、最初の『ウルトラQ』を除いて、ウルトラマンなどの「超人で、正義の味方」が、主役として登場します。『ウルトラマン』の主役はウルトラマン、『ウルトラセブン』の主役はウルトラセブン、『帰ってきたウルトラマン』の主役は、ウルトラマンジャック―これは、後年に設定された名前で、放映当時は、初代ウルトラマンと同じく、ウルトラマンと呼ばれました―です。

 ウルトラマンをはじめとする正義の超人たちは、みな、地球をはるかに離れたM78星雲からやってきた宇宙人です。『ウルトラマンA』の主役のウルトラマンAも、M78星雲が故郷です。
 ウルトラマンAは、初代ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャックの兄弟だとされています。いわゆる、ウルトラ兄弟の一員です。ウルトラ兄弟の設定が強調され始めたのは、『ウルトラマンA』からだといわれます。

 初代ウルトラマン以来、「M78星雲から地球にやってきた正義の超人が、善良な地球人の死に直面し、その地球人になりかわって(あるいは、姿だけを借りて別人として)、地球に住む。怪獣が現われると、本来の超人の姿に変身して、怪獣と戦う」というテンプレートが形成されました。
 ウルトラマンAも、このテンプレートを、そのままなぞっています。

 ただし、画期的だったのは、正義の超人に変身するのが、一人ではなく、二人だったことです。しかも、男女のペアでした。北斗星司【ほくと せいじ】と南夕子【みなみ ゆうこ】の二人です。南夕子は成人ですが、宇宙人の力を宿した「魔法少女」の一種と言えます。

 なぜ、このような画期的な設定が現われたのでしょうか? それは、『ウルトラマンA』が、ウルトラシリーズ第五作だったからでしょう。
 『ウルトラマン』は、放映以来、爆発的な人気を呼びました。続く『ウルトラセブン』も、『帰ってきたウルトラマン』も、とても好評でした。
 とはいえ、さすがに、似たような設定の作品が何年も続くと、「視聴者に飽きられるのでは?」という恐れが出てきます。『ウルトラマンA』では、思い切った新機軸を、いくつか打ち出しています。

 一つは、先に書いたとおり、「男女二人が、一人の超人に変身すること」です。
 もう一つは、攻めてくるのが、「怪獣」ではなくて、「超獣」であることです。超獣は、怪獣より強いと設定されています。異次元に住むヤプール人が、地球を侵略するために、超獣を作って攻めてきます。

 ヤプール人という、決まった悪役が登場したことも、新機軸です。
 ウルトラシリーズでは、それまでも、バルタン星人のように、繰り返し攻めてくる敵役はいました。けれども、毎回、そうだったわけではありません。
 地底に隠れ棲んでいた怪獣が、何かの拍子に現われたり、深海に棲んでいた怪獣が現われたり、ある日、空から間違って怪獣が落ちてきたり、子供のいたずら描きが生命を得て怪獣になってしまったりしました。初代『仮面ライダー』におけるショッカーのような敵役は、いませんでした。

 『ウルトラマンA』では、ウルトラシリーズでは初めて、ヤプール人という恒常的な敵役が現われました。実際の戦闘は、ヤプール人ではなく、ヤプール人が作った超獣が、ウルトラマンAと行ないます。

 ウルトラマンAに変身する北斗と南とは、もとは、普通の地球人でした。むろん、正義の心を持つ人たちです。二人は、超獣第一号のベロクロンが攻めてきた時に、他の人たちを助けようとして、死んでしまいます。
 ウルトラマンAは、二人の優しい心と果敢な行動を見込んで、地球で活動する自分の命と能力を、二人に託します。二人は、新たな命を得て、よみがえります。
 それから、二人は、超獣が現われるたびにウルトラマンAに変身して、人々を守るために戦うのでした。

 これは、北斗と南に、ウルトラマンAが、「憑依した」と言っても良い状態ですね。
 憑依型の魔法少女と言えば、『明日への追跡』の浦川礼子がいます。悪役の魔法少女でしたね。悪い宇宙人に憑依されて、宇宙人の超能力を使い、主役たちを襲います。
 『明日への追跡』は、昭和五十一年(一九七六年)に放映されました。『ウルトラマンA』の三年後です。『明日への追跡』が放映された頃には、すでに、何作ものウルトラシリーズが放映されていて、「地球人に憑依するウルトラ兄弟」が、視聴者に馴染まれていました。

 これで、『明日への追跡』の「憑依する宇宙人」の謎が解けましたね。二〇一九年現在に見ると、突っ込みどころとしか思えませんが、一九七〇年代の日本では、お馴染みの設定だったわけです。

 今回は、ここまでとします。
 次回も、『ウルトラマンA』を取り上げます。

2019年10月06日追記:
 この続きの日記を書きました。
 よろしければ、以下の日記もお読み下さい。

魔法少女の系譜、その104(2019年10月06日)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1973224751&owner_id=25849368

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