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2019年09月20日07:09

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日産・西川社長「電撃辞任」の理由、新リーダーが直面する3つの課題

ポストゴーンの
西川社長の電撃「辞任」
 先の3連休最終日の16日、日産自動車の西川廣人社長兼最高経営責任者(CEO)が退任した。当面は山内康裕最高執行責任者(COO)が暫定CEOに就き、10月末までに後任が選ばれることになった。
 ポストゴーンの日産のリーダーとなったばかりの西川社長が電撃「辞任」した格好だが、事実上「解任」の事態となった。西川社長は、まさしくカルロス・ゴーン元会長の不正を告発した立役者であり、皮肉な結果となった。
 足元の状況をみれば、日産は一気に業績不振が表面化し、仏ルノーとの連携も微妙な軋轢(あつれき)が生じている。その中で、次の日産トップに求められるのは、混乱している日産陣営を一つにまとめる求心力、それにルノーとのタフな交渉にも負けない強いリーダーシップだ。
“新生日産丸”が次のリーダーが決まって船出するのは、おりしもゴーン元会長逮捕(昨年11月)からちょうど1年後となる。果たして新生日産はよみがえるのだろうか。
 西川社長退任の翌日(17日)に筆者はニューヨークタイムズからこの日産の西川社長退任と今後の日産の方向について取材を受けた。海外も含め、世間の関心はやはり「西川社長が退任した日産はこれからどうなるの」ということであろう。
 いずれにしても、新リーダーによる日産の課題は3つ挙げられる。
 まずは、真のガバナンス(企業統治)改革でゴーン長期政権の「負の部分」を一掃すること。次に、一気に業績不振に陥った経営立て直しのメドをつけること。そして、仏ルノーとの関係を再構築(日産・ルノー・三菱自動車連合)できるかということである。
 現状の日産を取り巻く経営環境は大変厳しいものだが、“モビリティ大変革時代”は待ったなしである。新経営体制で求心力を持ったリーダーの登場が期待される。
 昨年11月のカルロス・ゴーン元会長の突然の逮捕以降、大激震に揺れる日産だが、ポストゴーンの西川社長までが退任した。
 実際は9月9日の同社取締役会で後継が決まっていない中での事実上の解任ということであり、西川氏の本音は「忸怩(じくじ)たる思い」であったであろう。
 ゴーン元会長の不正行為を強く非難し、ゴーン氏逮捕直後に会長と代表取締役を解任した西川社長が、皮肉にも「自身の報酬かさ上げ問題」で辞任に追い込まれたのだ。
 今年4月の日産臨時株主総会でゴーン元会長を取締役から解任し、ゴーン体制と決別した西川氏は「経営者としての私の責任は2つ。過去に起こったことへの責任と、将来に向けて果たすべき責務」と語った。
「2〜3年で日産をもとの軌道に戻す」ことを大前提として、いずれ日産を後継に託すことにしていた西川氏がこのタイミングで「解任」されたのは、本人にとってまったく予期していなかったことであろう。
逮捕された
グレッグ・ケリー元代表取締役の告発
「かさ上げ報酬問題」とは、自社の株価があらかじめ決めた金額を上回る場合にその差額分を金銭で受け取れる権利「ストックアプリエーション・ライト(SAR)」を巡る不正のことだ。
 これはゴーン被告とともに逮捕されたグレッグ・ケリー元代表取締役が、月刊『文藝春秋』7月号で「西川に日産社長の資格はない」とのインタビューで、西川氏の株価連動型報酬不正受け取りを告発したのがきっかけだった。
 それは6年前の2013年にケリー被告が当時代表取締役副社長となった西川氏から役員報酬の増額を求められ、SARの権利行使日を1週間ずらすことで約4700万円上乗せされた金額を西川氏に支払ったというもので、日産は社内調査の結果、これを認定した。
 日産は、この西川氏の報酬不正受領が明るみに出たことで、3年ぶりとなる社債市場復帰を断念せざるを得ない状況になるなど波紋が広がってしまった。
 西川氏は、自らが指示したものではないが受け取ったことを認め、この上乗せ分を返済するとしていた。日産社内調査では、西川氏のほかに2人の元取締役、4人の現職・元職の執行役員に同様の不正支払いがあったことも確認された。
 その中にはゴーン会長がヘッドハンティングし現在、副社長にまで昇進した星野朝子氏やハリ・ナダ専務執行役員の名前が挙げられているが、全員の名前までは公表されていない。
 結局、これが直接的な解任に結びついたが、そもそも西川社長本人も認めていたように「ゴーン政権時代の取締役責任」という意味では、まさしく西川氏は「ゴーンチルドレン」と称された人物。ゴーン元会長に引き立てられた幹部の1人であった。
 日産では購買調達畑を歩み、切れ者で知られていた。2016年に代表取締役共同最高経営責任者、副会長、2017年に社長兼CEO就任。自工会会長や三菱自動車との資本提携交渉、ルノー取締役も10年以上務めるなど、「ポストゴーンは西川しかいない」と呼ばれ、自らもやる気十分だった。
 ただし、西川氏自身の性格はドライで孤高のタイプ。人望が薄く、求心力に欠けていたのが最大の弱点であった。6月の定時株主総会を乗り切って「業績の回復、企業連合の安定化と山積する課題に取り組んでいく」と宣言したばかりだったが、9日の取締役会でも取締役陣の信頼を集めきれず、解任という事態を招いたのだ。
 西川氏の退任により、「ゴーンチルドレン」と呼ばれる幹部らが「これから一掃されるのか」ということも注目されている。すでにその何人かは退社し、西川氏のライバルともいわれた志賀俊之氏も6月の定時株主総会で取締役を退任している。
最有力とされる次のトップは
関潤専務執行役員だが…
 それでは、次の日産のリーダーには誰が選ばれるのか。
 次のトップを決める日産指名委員会の豊田正和委員長によると、すでに社内外から10人程度に絞り込んでいるという。日産社内からであれば、日産のEC(エグゼクティブ・コミッティ)メンバーからが最有力と言われる。
 この中で、関潤専務執行役員(58歳)が候補として急浮上している。関専務は、防衛大学校出身であり、大手民間企業役員としては異色の存在。
 前任は中国を統括し、現在は「傷んだ業績のリカバリー担当」であるが、次の日産のリーダー役として求心力はあるのか、ルノーとの交渉役の大任を果たせるか、本当に適任の人材なのか、その能力は未知数である。
 その指名委員会に、ルノーのジャンドミニク・スナール会長が名を連ねていることも気になる。ルノーから再び日産のトップを送り込む可能性は低いが、「スナール会長が了承する人材」でなければならないということである。
 そして、誰が次の日産トップになっても、業績の立て直しが急務だ。本業のもうけを示す営業利益は、この4〜6月業績で16億円(前年同期比99%減)と赤字スレスレの状況に陥った。今期の売上高営業利益率はわずか2%にとどまる。
 ゴーン体制下でのグローバル拡大路線は、過剰投資の反動で新型車の開発が遅れるという悪循環となった。国内での新車投入は、ここ3年間で2車種しかない。その一方で、ルノーの今上期業績も日産連動で50%減となっている。
 すでに、第1四半期決算発表直後に西川社長から1万2500人の人員削減、世界の工場閉鎖を含む生産1割減の大リストラ策が発表されている。
 これは、90年代末の旧日産の経営破綻寸前から、ルノーとの資本提携によって断行したゴーンリストラと似通ったものがある。
ルノーとの関係は
今後どうなるか
 日産にとって、ルノーとの関係再構築も大命題だ。
 日産の筆頭株主であるルノー(43%)は、西川体制に移行してから日産取締役にスナール会長とティエリー・ボロレCEOの両トップを送り込み、先述のとおり、ガバナンス改善の指名委員会にはスナール会長が、監査委員会にはボロレCEOが入り、影響力を高めている。
 だが、日産としてはルノーの出資比率を引き下げることで、「日産の独立性を高める」という意向を西川社長が主張してきた。
 ゴーンの解任で日産とルノーの関係はやや冷えた状況にあったが、ここへきて日仏両政府が9月2日に「両社が同盟の競争力を強化することを指示する」(ルメール仏経済・財務大臣・世耕経済産業大臣)という声明を出すなど、連合維持への動きが出ている。
 ルノーも出資比率引き下げの意向(その代わりに日産への電池調達をルノー主導に)が報道される一方、最終的にフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との統合再開も狙っているとの見方もあり、先行きは不透明だ。
 FCAとの統合がくすぶる中で、日産の次のリーダーが日産の独立性を主張しつつ、三菱自動車を含めた国際連合のリーダーシップをとれる関係を再構築できるかは、日産の方向性を占う上で重要なものとなる。
 いずれにせよ、次の日産トップが歩む道は険しい。
「いっそトヨタから送り込んでもらえば」(日産OB)という声もあるほどだ。20年間にわたったゴーン長期政権の負の部分が一気に噴出している中で、次の日産トップには求心力と信頼性の強いリーダーを選ぶことが求められている。
(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)

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