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2019年07月18日17:38

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マッドマックス3

マッドマックス:サンダードームを楽しもう。

 マッドマックスシーズの三作目となるサンダードーム。
1作目が1979年、2作目が1981年、3作目が4年後の1985年。
2作目が空前のヒットとなりアメリカのワーナー・ブラザーズ・エンターティメントの出資で制作され、ハリウッドメソッドが取り入れられて、歌手であるティナ・ターナがバータータウンの女ボス、アウンティ・エンティティの役として参加している。
 ティナ・ターナの演技としては、サンダードームのシーンで、笑顔で観客を鼓舞する演技がとても印象的で、いい芝居をするなと思いましたが、ラストのカーチェイスでは車のスピードで顔が引きつっていて、ちょっと見物です。

 今までの作品は監督のジョージ・ミュラーが主導して制作していましたが、プロデューサーのバイロンがヘリの事故で亡くなり、気落ちした事もあり、いくつかの班に分かれて撮影されいています。そのせいか脚本にチグハグな部分が多いと評されています。

 この作品はハリウッド資本で制作されていて、以前に評価された作品のいい部分を最新作にコミットする手法が行われていて、今までのシリーズない殴り合いのシーンや、決闘のシーン、裁判のシーン、等の時間が長く取られていて、肝心のカーアクションがほとんどない構成になってしまっています。

 しかも複数の班で撮影した為に、所々、前作のマッドマックスと整合性が取れていない事態に陥っていて、ジョージ・ミュラー監督が担当したのはラストのカーチェイスだけと言われています。
 
 ところどころ違和感がある作品ですが、そこも含めて楽しんでしまいましょう。

 まず気になったのが、バーダータウンの街で流れるBGMが「オネアミスの翼」や「オーガス02」のBGMに酷似しているのが気になります、当然、その2作品よりも、マッドマックスの方かが先に発表されているので影響されたのだとしたら、後者の2作品と言う事になります。
ちなみに「オネアミスの翼」の音楽担当は「ラストエンペラー」の坂本龍一さんです。 
実はこのBGM、鍋でも叩いてるんじゃないだろうかと言う原始的な音なのに、とっても好きです。坂本龍一さんがインスパイアしたかどうかは分かりませんが、ありがとう、と言いたい!

 ああ、そうそう、オープニングでティナ・ターナが歌っているのも、今までのシリーズにない演出でした。80年代のハリウッド映画で良く見られる、音楽を流しながら世界絵を紹介する演出で、ナレーションで「荒野〜」とか「世界は〜」みたいに説明をしなくていいので、観客は見てるだけで映画の舞台が頭に入ってきます。
そして、その世界は前作の2からイメージを引き継いでいるので、分かりやすくて没入しやすい。
おまけに冒頭で空からと言うトンデモな盗賊によって荷物をすべて奪われてしまう、見ている者は、いったいこれからどうなるんだろう、と作品に興味を掻き立てられます。

 バーダータウンに入ると、少しクスリとするシーンがある、「レイダース失われたアーク」でナイフ使いを銃で撃ってあっさり勝つシーンがあるが、それを意識したのかパロディか、似たようにマックスがナイフ使いの頭飾りをショットガンでふっとばすシーンがあり、誰しもがレイダースを思い出さずにはいられなかったろう。
それとマックスが検問で武装解除するシーンがありますが、そのシーンを「キノの旅」の「人を喰った話」ででインスパイアされていて、主人公のキノが武装解除を求められた時に、どこにしまっていたんだ? と言うくらいの量の銃ががちゃがちゃと出てきます。これは完全にマッドマックス3のパロディと思われます。

 街は豚の排泄物、メタンガスでエネルギーが供給されていて、ガソリンがない設定になっています。
車あるやん! と思いましたが、それもメタンガスで動いているそうです。

 前半のクライマックスとしてサンダードームでの巨漢ブラスターとの決闘がありますが、なぜか両者がゴムで宙吊りになっていて、腰の入ったパンチやキックは打てません。
空中でからまってクルクル回転して、迫力激減!
養豚場での糞にまみれて殴り合いのシーンの方が激しいくらいです。
尻すぼみな感じのアクションで、これは後々の伏線だなと思いつつ見ますが、この後サンダードームが出てくる事はありません!
つまり、この作品が叩かれる原因にもなっている、監督が複数人いる事でちぐはぐな部分が出てきてしまっている、と言うことでしょう。

 後半はもっとびっくりです。
バーダータウンから追放されたマックスが、文明を失った街で「最後の部族」に会うが、彼らは原始的な生活をしていて、電気もガスもなく、槍で得物を取って食料を確保していて、世界から忘れ去られた部族であり、彼らは先祖から語り継がれている伝説を信奉していて、その伝説では遠方から来た勇者ウォーカーが部族を文明のある伝説のトゥモローランドに導いてくれると信じている。
 と言う事らしいのだが。
マッドマックス1の時点でまだ世界は崩壊しておらず、マックスの外見から考えてもそれらか20年も経っていないだろうと推測される、この3の世界で、先祖代々受け継がれる伝説って言われてもなあ……
この部族はいつから孤立していたんだと。
しかも、この部族、飛行機もわからない癖にバトル・ライフル持ってるじゃないかと。もちろんバトル・ライフルが何かは分かっていなくて槍として使っているわけだが、弾もちゃんと出るし。
いろいろおかしいやろ!
銃口詰まってへんのかーい!

まあ、そこが3の見どころでもある訳ですよ。
文明を失った部族を連れてバーダータウンに戻り、初めて見る建物や機械にカルチャーショックを受ける様は、アフリカの部族を日本に連れてくるテレビ番組の様で、彼らから見ればマックスは未来人の様に見える事でしょう。
まるでチチカカ湖に顕現したビラコチャ神。杖の一振りで離れた場所にある物を燃やしてしまう神通力を持っているのですよ。

 この人についていけばきっと伝説の地、トゥモローランドに辿り着ける、そう思ったに違いありません。まあシドニーの事なんですけどね。
2では「太陽の楽園」サンシャイン・コーストを目指し、3では「トゥモローランド」シドニーを目指す訳です。
2ではジャイロ・キャプテンやフェラル・キッドがサンシャイン・コーストに辿り着けたという描写はありませんが、3のラストではシドニーに到着する事に成功しています。
4でも「緑の地」に到着しますが、こっちはちょっとアイデアにひとひねりあって楽しませてくれます。

そうそう、ラストの列車のアクションシーンも、世界が崩壊した後でも列車が走れるようにレールを点検してくれてる人がいるんだなあ、と感心させられます。
ジョットエンジンの車も登場しますが、ガソリンのない世界ですので、当然メタンガスを噴射して推進力を得ている事になります。人間って無ければ無いで有る物だけで創意工夫してしまうバーダータウンの科学力も見どころのひとつと言えるでしょう。



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