mixiユーザー(id:63872252)

2019年07月12日02:58

81 view

旧友からの手紙

民族の声の手違いからだった

後にアルカトラズ島と名付けられる小島を
17人の旧サカラオとパマ族が包囲して
狼煙で地球を焚いた

旧サカラオとパマ族は共通の概念で結託する
争う相手は人に非ず
人という種族が途絶えることを敗北として
falmanurという象形文字を作り
地球と時間と戦を始めた

狼煙で地球を焚いて
世界はそこから雲を得た


これが旧友から届いた最後の手紙だった
封筒の中にはこの手紙の他
立派なサンコンクシェルが1つ
IEC Type Iのカセットテープが3つ
入っていた

ピアノアニマルの別名を持つジャズピアニスト達が
こぞってブラックアダーコードを引く中
サンコンクシェルに耳をやる

音が聴こえる
俗に言う海の音
自分の身体の反響音
海盆を廻る車輪の音
かつての民族が夢を見た音

氷食症が癖となりつつある頭に
新しい氷を紹介しながら
旧友から送られてきた謎の紐解きを続ける
既に頭は中毒者で氷の質の善し悪しなど
分からずにシャクシャクと
噛むだけで満足する

気になることは山ほどあるが
それはとても不思議なもので
気になることは如何なる時も
海淵を埋め尽くす程には至らない
私はきっと学者気質ではないのだろう

海盆を廻る車輪の音
かつての民族が夢を見た音を耳に

IEC Type Iのカセットテープを取り出す
ツメは折られている
誤消去の防止をしたということは
大事なものだったのだろう

3本のテープには
全て雷管ピストルの画が描かれていて
ネームはそれぞれ
falmanur1/2/3となっている
そしてナンバーの横には
何かを掬っている両手と煙とヤライ(矢来)の絵文字

ダビングの準備を済ませカセットデッキに
ナンバー1をセットした

人差し指がボタンを押せば再生は始まる
この世にある全ての再生は
横△のそれで始まるのではなく
再生したいという意思で始まる

この中に入っているであろう音声は
横△を押すだけでは生き返らない
再び生き返るには
再び生き返らせたいという意思が必要だ

気構えて
身構えて押す
人差し指が再び生き返らせる
再び生き返らせる人差し指で押す


民族の声の手違いからだった

後にアルカトラズ島と名付けられる小島を
17人の旧サカラオとパマ族が包囲して
狼煙で地球を焚いた

旧サカラオとパマ族は共通の概念で結託する
争う相手は人に非ず
人という種族が途絶えることを敗北として
falmanurという象形文字を作り
地球と時間と戦を始めた

狼煙で地球を焚いて
世界はそこから雲を得た


遠路遥遥やってきた音
そこには数人の民族の声
どんな意味があるのかも分からない
鳴き声のような歌声のような声色
懐かしみ愛おしむような声色

海盆を廻る車輪の音
かつての民族の夢を見る音

一点の曇りなく神秘で満ちている

地球から見ることのできる流れ星の光は
必ず何処かの海台に映し出されていたと
海台は星の流れを測る為にあった場所だったのだと

ほとんどそんなレベルに近い神秘だ

再生は続く
再生を止めることができなくなる
その声は
再び生き返ることを自動で始め
私は90分間それに気圧され続けた

紐解くだとかどうとか考えるような代物ではなく
依代などなくとも
それだけで神が宿っているようなものだった

1本聴くだけで十分

1本聴くだけでそれは十分だった

残り2本も勿論聴くが
それは1本目で十分だった

旧友が何を伝えたかったのかは
全くもって分かったものではないが
間違いなく伝わるべきものが伝わった
恐らくそういうことなのだろうと理解した


それは旧友から届いた最後の手紙だった
封筒の中にはその手紙の他
立派なサンコンクシェルが1つ
IEC Type Iのカセットテープが3つ
入っていた

今朝見た天気予報
確かマークは ☂ 後 ☼ 
そのマークが重なった日の
天気のことを私は虹と呼ぶ

最後の手紙を受け取った日と
同じ天気だ

お前は今
何処であの音を聴いているのだろうか
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する