mixiユーザー(id:2940502)

2019年05月08日21:07

86 view

水曜クビクビ日記559:ある少年の告白

アーカンソー州。パプティスト教会の牧師を父に持つ大学生ジャレッド・イーモンズは、ゲイである。厳格に教えを説く父、その父に従属的な母に育てられ、「ノーマル」なフリをして生きてきたジャレッドだが、寄宿生活中に起きたある事件をきっかけに、勇気を出して両親にカミングアウトした。衝撃を受けた父は教会の長老に相談し、彼を〈矯正施設〉に入れることを決める。己のセクシャリティを恥じ、素直に施設に入ったジャレッドだが、そこで出会った〈治療師〉サイクスが主催するプログラムに疑問を持つことに…


「ある少年の告白」。実話の映画化。

以下、あるネタバレの告白。

引き算引き算引き算
フォト


色んな側面から語りたくなる一本。

・LGBT映画として…
私個人は、同性愛にピンとこない派というか、どちらかと言えば無理解派だったりします。だから「ブロークバックマウンテン」も「君の名前で僕を呼んで」も、取り立てて美しいとか良作とか思うこともなく、ましてや心に響くこともなかったんですが、だからといって禁煙学会がタバコを目の敵にするように問答無用で否定して嫌悪するわけでもありません。本作のような「矯正」という捉え方やその中身については、やはり憤りを感じますよ。声高なLGBT権利主張映画じゃ決してないし、まるでカルト教団が出家信者を洗脳するかのような行為を受けたゲイの人々の苦痛は、私みたいなスタンスの人間にもしっかり届きます。矯正は、過去の話ではなく現在進行系であるというのも重いですよね。ゲイ映画で色々と考えさせられるのは「チョコレートドーナツ」以来。

・ティーン映画として…
アベンジャーズが映画館を席巻しているこの4-5月、実はティーン映画がやたら公開されています。評判なのは「荒野にて」のチャーリー・プラマー、「ビューティフルボーイ」のティモシー・シャラメ、そして本作のルーカス・ヘッジスの3人。ルーカスくんはこの中で最も地味な外見ですが、月末には「ベン・イズ・バック」の公開も控えていて、いま旬のスタアと言えるでしょうな。本作では、前半と後半のキャラ変化が見どころ。

・エドガートン映画として…
割とメジャーなエンタメ映画にフツーに登場する俳優ジョエル・エドガートン。いきなり監督デビューした「ザ・ギフト」の演出が素晴らしく、俳優出身監督としてはベンアフと同等あるいは上、と思いましたが、本作でも腕があるとこを証明しましたね。矯正施設の不穏な感じ、自ら演じたサイクスというキャラの不気味さ、寄宿生活でジャレッドを襲うあの事件のイヤーな感じ、素晴らしいですよ。白眉は、窓から腕を出す仕草ね。自由の象徴として、あれ以上の描写はないでしょう。エクセレントです。クロウの哀しさ、キッドマンの強さも見事に見せていました。次も楽しみな監督です。

個人的には「荒野にて」の方が好きですが、人に勧めるならこちらですね。必見!
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する