うちには、天使がいます。 9.ベッドの上で その2

G.W.が終わります。
「11か月前のお話」として書き始めたこの「うちには、天使がいます」
さくさく書いて現在に追いつかなくては、と思っていたのですが、
逆に去年の今日？に追い抜かれてしまいました(^^;
実質まだ3日間の出来事しか書けていないのです。ごめんなさいm(__)m
そんなわけで「1年以上前のお話」になってしまったのですが、
焦らずお話を進めていこうと思います。よろしくおつきあいください。



＜前回までのお話＞
2018年（執筆している時点で去年）4月初め、やまねこのパートナー・ゆかさんは卵巣がんの疑いありと診断されました。
4月24日火曜日、自宅で急に動けなくなり、救急車でZ医大病院に搬送され、
一時は精神的なものと診断されかけましたが、
ゆかさん本人が「わたしぜったい頭おかしいと思う」と訴えた結果、脳梗塞が見つかり、
翌25日から入院することになりました。
（なお、病院関係者のかたがたほかの名前は、すべて仮名です）



ゆかさんが入院して3日め、4月27日。
ほんとうに久しぶりに、朝から出勤です。
いつ以来だろう？
24日だっていちおう時間通りに出勤したけど、
「お休みいただきますっ！」ってひとこと言って出てきちゃったもんなー、
4日ぶりか。でももっともっと長く感じます。
川に沿って歩いて。
季節はもうすぐ初夏。かわせみの姿を見かけることも珍しくない季節になっていました。

が、

やっと出勤したと思ったら、あしたから連休突入です。
連休までにこれとそれとあれを仕上げなくては、
みたいな急ぎのミッションがなかったからいいようなものの、
なんともあわただしいことには違いありません。


終業後、
これからまた長い休みが始まると思うと、なんか変な気分でしたが、
この日も30分に1本のバスをつかまえて、
ゆかさんの入院している病院へ。

途中ドラッグストアの前で途中下車します。
この日の依頼は、水のいらないシャンプー、
そしてサニタリー用のごみ袋と、消臭スプレー、除菌ウェットティッシュ、
そして小さなパックのジュース。
ジュースは「病室に冷蔵庫がなくて、看護ステーションのを貸してもらえるんだけど、
自力でそこまで行けないから、飲み切りサイズのがほしいの」とのことです。
これが意外と見つかりませんでした。
とりあえずほかの買物を済ませて病院へ向かいます。

ゆかさんはベッドの場所が変わり、向かいの部屋の窓側に移動していましたが、
今日も「毎日ありがとうー」と笑顔で迎えてくれました。
「看護師さんがね、『これからずっとベッドの上でお手洗いしなければならないから、
窓側のほうがあまり人も通らないし、窓を開けて匂いを逃がすことも簡単にできるし、
ちょうど空きができたので、そちらのほうがいいかもしれないですよ』って、勧めてくれたの」

つまり、
腫瘍の手術が終わるまでベッドからは降りられない、
ということらしいのです。
昼間、車椅子でトイレまでならOK、とか、やっぱりだめ、とか話が行ったり来たりした挙句、
一切足を降ろしてはだめ、というところに落ち着いたらしいのです。

お手洗いの介助をしてもらうのは、だれだって抵抗があると思います。
ゆかさんだってそうですし、さらに
「心臓の手術で入院してたときね、動けなくて、それがずっと続いて、すごく苦痛だったの」
ゆかさんは高校生のころ先天的な心臓疾患の手術を経験しているのでした。
（そのために身体障害者でもあるのです）

看護師さんが入ってきたとき、ゆかさんはもういちど、
「お手洗いだけでも自分でいきたいー。だめ？だめ？」と掛け合いましたが、
看護師さんの一存でどうなるものでもありません。
ゆかさんは「え〜〜〜〜」と何度も食い下がりましたが、やっぱりだめなものはだめ。

看護師さんが出ていったあと、ゆかさんは言いました。
「ねこさん、思ったことは主張しなくちゃいけないのよ。
こんなふうに、しつこいと思われたって。
だからねこさん、あしたCD持ってくるの。
で、看護ステーションに持ってって、「聴いてください」って渡すの。
いつもすぐ引いちゃうんだから、それくらいしなくちゃだめ」

話飛んだな、と思いました。
「いきなり宣伝するの！？なんのために入院したのかって思われちゃうよ？
イメージ悪くなっちゃうとあれだから、もうちょっとたってから、ね？」
「そんなんだからだめなの！
なんだってそうやって一日延ばしにするんだから。やることはすぐにやるの！」
おっしゃる通りでございますm(__)m
それがやまねこの欠点なのは重々承知しています。
そしてやまねこのためを思って言ってくれてるのも、よーーーくわかるのです。
でも、元気になってくれたのはうれしいけど、ここまでテンション高い人だったっけ。
きっと、元気なのに動かせてもらえないからエネルギーたまってるのかもしれないね。
「じゃ、持ってくるから由香さん渡してよ」
「そういうことはじぶんでやるの！」

神経内科の先生（平良先生、橋口先生）も来て、
入院した日にしたような、ETみたいに指先と指先を合わせたり、ほかにもいろいろ手足を動かしたり、


そんな検査をしていきました。


毎日来てくれて、血液さらさらの薬の量もコントロールしてくれるらしいのです。

面会時間は20時までなので、けっこうあっという間です。
「あしたはおかぁさんといっしょに来るね。
ゆっくりお買い物してから来れるけど、なにか欲しいものある？」
「…パジャマもう一着欲しいかな。
こんな長い入院になると思ってなかったから、一着でいいと思ってたけど、
先週の日曜日かわいいパジャマ買ったとき、色違いのもあったじゃない？
あれまだ売ってたら」
「了解！見てくるね」



翌4月28日土曜日、世の中は連休に入りました。やまねこも。
ゆかさんと「（やまねこの）母のお墓参りに行こうか」なんて話してたんですが、
それもなくなってしまったので、なんの予定もありません。

（ゆかさんの）母は土曜日にデイケアに通っているので、
迎えに行くのはそのあとです。
近所のショッピングモールで、のんびり買物をします。
色違いのパジャマは、まだ残っていました。ラッキー♪
その他、100均で巾着をいくつかと、S字フックなど。
（ベッドの手すりにひっかけるのに便利なのです）

お昼ごろゆかさんからメールが入りました。
「今日は脳波の検査と心電図測定あって、頭にも体にもいろいろつけられちゃった。
点滴のお薬もまた増やされちゃったけど、
でも頭洗ってもらえることになったよ。
お昼も大好きなカレーうどんで、いい風吹いてきたかんじ。
このまま上昇気流に乗れますように！」
ほんとうに、このまま上昇気流に乗れますように…


そのまま母を迎えに行きます。
母は去年夏の心筋梗塞から退院して以来、長い移動は車椅子ですが、
少しなら杖をついて歩けます。
実家のマンションから外に出て、待っていてくれました。
母とふたりで会ったことなどほとんどないので、少し緊張します。
「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」

ふたりで病室へ行くと、ゆかさんは今日も快活に迎えてくれました。
「おかぁさんごめんねー。心配すると思ったから、ほんとのこと言わないで。
悪性でも良性でも、こういうこと（脳梗塞）起こる可能性あるらしくて、
きのうからまた点滴のお薬増えちゃったけど、
でもとりあえず大丈夫よ」
母も実際にゆかさんを見て、安堵したようでした。

忘れないうちに、母といっしょに2回も保留になっている入院手続きを済ませます。
今までの経緯を説明しているうち「最初救急車で来たので」とつい口に出すと、
母は「えぇぇぇ？」とびっくりしていました。
そういえば、それもまだ言ってなかったんだっけ。


病室に戻ってお話していると、主治医の葛西先生が来て、いい知らせをくれました。
「手術、もう一週間早くしましょう。5月15日に」

「よかったね。また早くなったよ」
「先生もがんばってくれてるね」
それでも、まだ半月以上あるのですが、
連休を過ぎてしまえば、あっという間なのかもしれません。

「ねこさん、遠慮しないで、海でも山でも遊びに行ってね
せっかく連休だし、ね。」
「ありがとう。でも遠出はしないつもり。
毎日様子見にくるつもりではあるけど、少しずつ出かけさせてもらうね。
あしたはちょっと山でも歩いてから、夕方ここ来ようかな」


母とファミレスで食事して、送っていきました。
母とふたりきりで食事する日が来るとは、想像もしていませんでしたが、
よくしゃべってくれる人で助かりました。
5月15日まで。
ずっとベッドの上のゆかさんからしたら、とてつもなく長く感じるのかもしれないけれど、
無事に過ぎていってくれますように。
それでもきのう今日のかんじからしたら、なんとかなりそうな気がしていたのでした。





＜うたうやまねこ今後のLIVE予定＞

5/19(Sun.)駒沢大学ファンラン
Open11:00/Start14:00(予定)/Charge お食事代のみ

5/26(Sun.)日吉Nap → http://www.hiyoshinap.com/
Open18:30/Start19:00/Charge \1,500+1D

6/29(Sat.)四谷天窓.comfort → http://otonami.com/com_top
Open12:30/Start13:00/Charge \2,000+1D

次回のワンマン（約1年後？）までやまねこ通常営業モードです。
5/26と6/29の詳細が出て、
5/26は開場/開始時間が多少変わってますので、お気をつけください。
お会いできるとうれしいです。