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2019年05月02日19:56

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4月の読書記録

先月は途中数日感ばかり全くと言っていい程本が読めない時期があったけれど、それでも何とか6千頁を超えた。ナイスの数もまあまあかな…ただ、最近小説及び軽めの本に流れがちなので、哲学思想系の本をもっと読みたいかな…

2019年4月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:6112ページ
ナイス数:165ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■世界史の実験 (岩波新書)
概ね興味深く読めたものの、何だかな…感が拭えないというのが正直なところ。話の主幹である柳田国男の論説にどれだけ客観的妥当性があるのかがまず疑問だし、それに対する著者の解説もしかり。これはこういうものだ、と思って受け止めるしかないか?とりわけ、その実在がかなり曖昧な山人を巡る説は、内容が非常にスリリングであるだけに、果たしてそこまで言っていいものか?とつい眉をひそめたくなる。ただ、そういう仮説を立てることによって、見えてくるものが少なからずあるということだろう。また、柳田と藤村との意外な関係が面白く読めた。
読了日:04月29日 著者:柄谷 行人
https://bookmeter.com/books/13524995

■神話学入門 (講談社学術文庫)
個人的にはインド=ヨーロッパ語族の発見とアーリア主義との関係に驚かされたのと同時に納得もいった。人ってどれだけ自分に都合のいいストーリーをいともたやすく信じ込んでしまうのか…と。また、取り上げられている六人の学者それぞれ一長一短があるのは勿論だが、ありうべき神話学のあり方を著者の立場からの示唆があっても良かったのでは?という気がする。それから気になったのが、巻末で述べられている現状における神話学の危うい立場。確かに実学からは程遠い性格ではあるが、しかしある意味人間の普遍学でもある。後続を期待したい。
読了日:04月25日 著者:松村 一男
https://bookmeter.com/books/13355926

■負けない力 (朝日文庫)
今更ながらに亡くなるのが早すぎたことを痛感。例によって、どこか人を巻くような語り口を駆使しながらも、ハっ!と気づかされたり、なるほど!と膝を打ちたくなるような記述が満載。知性を「負けない力」と定義する件には深く唸らされることに。それと同時に突っ込みどころも散見されるが、なぜかそういうことをする人があまりいないというのも今更ながらに疑問。とにかくこれからの教育や道徳のあり方について考えるための必読書。教育に携わる全ての人が読むべき物だと思うが、必要な物が必要な人になかなか届かないという現実がもどかしい…
読了日:04月25日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/12895152

■私が食べた本
馬鹿みたいな感想で恐縮だが、「作家というのは、本の読み方からして違うな…」というのが、第一印象。本についてここまで瑞々しく感受性豊かな文章を紡ぐことができるのか…と一抹の嫉妬心さえ覚えてしまう。そして改めて自分には物書きは無理だなと再認識させられる。後、驚かされたのが、著者の創作意欲がかなり早い段階で芽生えていたこと。そのうえ小学6年生でワープロを使っていたこと。それでいて、現在は手書きで小説を書いているというのも面白い。それから、著者の読書遍歴についてもう少し語って欲しかったというのが正直なところ。
読了日:04月25日 著者:村田沙耶香
https://bookmeter.com/books/13333973

■ああ正妻
決して負け惜しみとか強がりではなく、「こんなんだったら結婚なんかするもんじゃないな」と強く思わされることしきり。とにかく鬼嫁雪穂の言動は理不尽を通り越して、殆どサイコレベル。それをひたすら感受する小早川の姿に終始苛立ちを覚えていたが、最終章のタイトルを見て「お?!これは最後に何かしでかしてくれるか?」と期待するも、とんだ大風呂敷。ここまで虐げられ続け見返りが皆無な小早川って一体…ただ、川田教授の分析が示唆するように小早川自身にも問題があるのは事実。このあたりの男女のすれ違いは、結局永遠のテーマなのか?
読了日:04月24日 著者:姫野 カオルコ
https://bookmeter.com/books/452308

■その先の道に消える
一頃の大作志向が元に戻ったな…というのが第一印象。虚者ならではの筆致で引き込まれるものを感じて読み進めるのだけれど、今一つ新味に欠けるかな?というのが正直なところ。一読して、ある程度筋は掴めるものの、細部に拘泥しだすと「あれ?」となるような仕掛けを忍ばせているのも毎度のことで若干食傷気味。ただ、一部と二部とで主人公が変わるのには、意表を突かれたけど。ただ、一部では謎めいたというより胡散臭さを漂わせていた葉山が、二部では傷を抱えた武骨だが人間味溢れる主人公として描かれているのが驚き。この辺りは著者の真骨頂。
読了日:04月24日 著者:中村文則
https://bookmeter.com/books/13139270

■地球星人
ここまで言葉を失わせるほどの衝撃を与える作品だとは、全くの想定外。恐らく『コンビニ人間』の延長線上にある作品だと予想していたのだけれど、その路線に則りながら、作品の出来は『コンビニ』を遥かに凌駕していた。現実世界を子供を繁殖する「工場」だと認識して、その世界観に組することを拒否する三人の男女。それだけなら、まだありがちな話だが、その世界観を徹底することによって、最終的には常軌を逸した領域まで踏み込んでしまう三人…そして主人公が子供時代のトラウマを克服するのと、破滅が同時だという皮肉…とにかく凄い作品。
読了日:04月23日 著者:村田 沙耶香
https://bookmeter.com/books/13039237

■特急こだま東海道線を走る
著者後書きには短編集とあるが、どれも著者自身を反映させた似たような経歴の女性が主人公ということで連作と言っていいのでは?それにしても、著者の生い立ちを反映させた作品にはいつも何かジリジリとするような感覚を覚えるということを改めて認識。具体的な個々の経験やエピソードが自分のそれと被るというのではない。むしろもっと感覚的なもの…見知らぬ大人に対する説明しがたい恐れ。親に何かを咎められたとき、それを上手く説明できないときに覚えるもどかしさ…後、寂れた田舎特有のザラついた空気感の描写にも強い既視感を覚える。
読了日:04月23日 著者:姫野 カオルコ
https://bookmeter.com/books/409424

■幸田文の箪笥の引き出し
血は争えないというか、さすが、露伴の孫、文の娘というか…とにかく母親譲りの瑞々しい感性と文体が印象的。話の大半が着物についてのものということで、理解しづらい箇所も少なくなかったが、それでも興味深く読めたか。それにしても、かつてあった着物文化が廃れてしまったことの意味を改めて考えさせられることに。着物を着なくなったことによって、我々の身体感覚も確実に変わってきている…そのことによって損なわれる物について考証が必要ではないか?また、露伴と文との関係が、文と玉子との関係で反復されている感があるのが、可笑しい。
読了日:04月17日 著者:青木 玉
https://bookmeter.com/books/418104

■若者よ、マルクスを読もうIII
当然なことではあるけれど、石川氏の書簡の方が読み辛いな(笑)。それはともかくとして、アメリカとの関係というあまり取りざたにされない視点からマルクス、及び共産党について語ったという展開は斬新かつ興味深いもの。意外な程マルクスと関係の深かったという歴史的経緯から、アメリカの新たな様相が垣間見れるか?また、日本共産党が旧ソ連共産党に追随せず独自の路線を歩んだというのは、審議はともかくとして産経あたりが噛みつきそう(苦笑)。そして驚きだったのが、本シリーズが共産国中国で翻訳されているという事実。新たな文化交流が…
読了日:04月15日 著者:内田 樹,石川 康宏
https://bookmeter.com/books/13165189

■ジャッカ・ドフニ 下 海の記憶の物語 (集英社文庫)
あくまで兄妹という関係を維持しつつ、互いに言葉に表せない恋慕を抱くジュリアンとチカ。そしてその思いは一度も交差することなく、二人はその後相見えることはなかった…その二人の姿を軸に描かれる激動の歴史。キリスト者同士、あるいは日本人同士の醜い争い、そしてアイヌやキリシタンへの日本人の酷い迫害…こうした様相は多少なりとも現代の日本にも通じるものがある。そして、本篇終盤の多くを占めるチカのジュリアンへの手紙が何とも言えず切ない。年を取り孫がいる身になっても、ジュリアンに語りかける言葉が一貫しているのが美しい。
読了日:04月14日 著者:津島 佑子
https://bookmeter.com/books/12646510

■ジャッカ・ドフニ 上 海の記憶の物語 (集英社文庫)
虐げられた者、阻害された者への眼差し。アイヌ、隠れキリシタン、朝鮮人…著者自身が人知れず苦悩を抱え、シングルマザーという危うい立場にいたということももちろん影響しているに違いない。ただ、それだけでは捉えきれない何かに駆り立てられながら、著者はこのような作品を紡ぎ続けて来たということに改めて思い当たる。キリシタン禁止令下の日本から抜け出し、マカオへと向かうジュリアンとチカ。色々な方言が入り混じる二人の会話には、まさに著者の複数の声が反映されているのでは?とふと思わされた。プロローグでの謎賭けが意味深…
読了日:04月13日 著者:津島 佑子
https://bookmeter.com/books/12646509

■吉本隆明〈未収録〉講演集第5巻 イメージ論・都市論 (シリーズ・全集)
バブル崩壊から三十年近くを経た今、本書を読むことにどういう意味があるのか?ということを考えさせられる。その意味で、もっと詳細な検証を含んだ解説が必要だと思うのだが。それはともかくとして、とりわけ印象的かつ重要だと思ったのは、都市化にとって第一次産業の衰退はさけられないという何度も繰り返される指摘。その傾向は恐らく今も続いてる筈だが、その傾向の行き着く先はまだ見えてこない。とりあえず、旧左翼が提唱するエコロジーや日本の農業を守ろう的なスローガンは無効ということらしいが。しかし、それに代わるものは何か…
読了日:04月12日 著者:吉本 隆明
https://bookmeter.com/books/9606154

■須賀敦子全集別巻 [対談・鼎談篇] (河出文庫 す)
対談鼎談集ということで、軽い気持ちで手に取ってみたが、予想外に濃い内容。示唆的な箇所、驚かされた箇所が目白押しという感じで、あっちこっちに付箋を貼り付けてしまった。個人的にとりわけ印象的だったのは、イタリア国内でもかなり地域差があるという指摘。イタリア=ラテン系という短絡的な括り方では見えてこない部分が少なくないのだな…と。それと、フランスにどうしても馴染めず、イタリアに行くとその違和感を覚えずに済んだという述懐も示唆的。せめて後十年長く生きていれば、どれだけの仕事を残してくれたか…と思うと非常に残念。
読了日:04月11日 著者:須賀敦子
https://bookmeter.com/books/13007368

■江戸にフランス革命を!
とにかく「江戸はなぜ難解か?」を読むのが辛かった(苦笑)。最初はわりに興味深く読めるのだけれど、終盤になると殆ど苦行。江戸についての細かい分析が延々と述べられると、しまいには食傷気味に。ただ、江戸のなんたるかはこの文章だけでかなりイメージがつかめるけれど。また、一般的なイメージと違って、江戸時代はそれ程遠い昔ではないということが、本書を読めばよく分かる。とりわけ江戸明治を生きた浮世絵師芳年の経歴に顕著である。それにしてもこれだけ画期的と思われる江戸論に対して、アカデミズムはどう反応したのかが気になる…
読了日:04月09日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/551322

■日本の同時代小説 (岩波新書)
少なからず突っ込みどころ、不備が散見されるが、とにかく現代日本文学を包括的にまとめたという点だけでも評価されるべき一冊。また、(こういう言い方も問題あるかもしれないが)女性の視点から文学史を抉り出したということでもかなり画期的。ただ、個人的にはそれまで作家単位で語られていた文学史が、ある時期から作品単位で語られるようになったのが、かなり気になる。それだけ大文字で語られていた文学が細分化し、良くも悪くも何でもありという状態になったという証左なのだろう。これを嚆矢として更に現代日本文学史が出てくることを望む。
読了日:04月05日 著者:斎藤 美奈子
https://bookmeter.com/books/13246179

■カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)
「ええ『カラマーゾフ』の最後ってこんなんだったっけ?」とつい拍子抜けしてしまったというのが正直なところ。だが、その後の解題を読んで、あれは書かれることのなかった「第二部」あってこそのエピローグであったことを深く痛感。とりわけ鼻白む思いさえした「カラマーゾフ万歳」という言葉さえ、一筋縄ではいかない意味がこめられていたのである。エピローグまで読み終えて、何より気がかりだったのはリーザの存在だったが、彼女が秘めた様々な意味がかなり克明に説明されているのには溜飲が下がった。そして再度この大作に挑戦する気になる。
読了日:04月05日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/580322

■大江健三郎 作家自身を語る
インタビュー集ということで、一気に読み終えた…とはいかず、大江氏の文章と同じく晦渋…というか、独特のまどろっこしい口調で、あああの語り口があの文体に反映されているのか、と納得させられることに(笑)。それはともかくとして、この回想記を紐解くことで、氏の経歴と共に戦後文学史も垣間見られる。世代は違えど同じ時代を生きた作家への眼差しや思いは、文壇という言葉が殆ど死語となった今だからこそ一層重みを感じる。そして、今は亡き武満徹や義兄伊丹十三への思慕、光を初めとする家族との関係性への言及は、読む者の心を打つ。
読了日:04月04日 著者:大江 健三郎,尾崎 真理子
https://bookmeter.com/books/16461

■カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)
とりつかれたように貪り読み、読了後一気に疲れが出た感じ…そのヴォリュームと内容の濃さ。収められた3つの編はそれぞれ独立した小説としても読める程の内容を誇る。個人的に驚きだったのは、イワンが父の死に対して潜在的な罪悪感を抱いていたという事実。その罪悪感に鋭く同時にいやらしくつけこもうとするスメルジャコフ、そしてイワンの分身であるのと同時にスメルジャコフも思わせる幻の客人とイワンとのやりとりは、もっと論考の対象になっていいのでは?そして誤審でのどんでん返しの応酬はまさに息をつかせぬ展開。その顛末はまさかの…
読了日:04月02日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/564900


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