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2019年04月01日14:06

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3月の読書記録

先月は7千頁を超えるという快挙を本当に久しぶりに成し遂げた。しかも、その大半がドストエフスキーと『ドン・キホーテ』が占めるというのがなんとも(笑)。

ナイスも173だし、今月もこの調子で読んでいこう。

2019年3月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:7143ページ
ナイス数:173ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)
命ある者は必ず死ぬ。ごく当たり前の事実なのに、時としてそれが到底受け入れがたい理不尽なものとなる…ゾシマ長老の死を巡るエピソードはその理不尽さと、人の死を巡って露わになる人間性を如実に物語っている。一方、本巻の大半を占めるミーチャのエピソードは、父親譲りのその過剰な言動と、人間臭さ、粗暴さに加えて、時折覗かせる純粋さにある種の悪めなさを覚える。また、終盤での予審における弁明でみせる冷静さは、意外と理知的な面があったことを窺わせる。後どんでん返し的なグルージェシカとの関係の顛末には、唖然とさせられたけど…
読了日:03月30日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/564899

■カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)
一巻に引き続き、「あれ?こんなエピソードあったっけ?」の連続(笑)。それと同時に、キリスト教の知識を得た今だから分かるというか、その知識が無い人って、この小説をどう読んで理解したんだろう?という気にさせられる。とにかく圧巻なのは、例の大審問官のエピソードと終盤のゾシマ長老の一代記。双方共一キリスト者として繰り返し読んで考察すべきもとであることを強く痛感。また前者に至る前のアリョーシャとの会話で見せるイワンの人間臭い一面に好感を抱かされる。それと記憶から抜け落ちてたアリョーシャとリーズのロマンスにびっくり。
読了日:03月29日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/572105

■カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
約三十年振りの再読。大まかな筋は覚えているけれど、そこから零れ落ちる細部に色々と気づかされるのが驚き。何よりキリスト教の知識が皆無だった当時とは違った味わい方ができるのが大きい。それと、最初読んだ時は、俗悪という印象しかなかった父フョードルが思いの外良い意味で人間臭く、憎めない所があり、意外に教養があるというのにかなり驚かされた。また、自分でもある程度自覚しているのにも拘らず、どうしても過剰な道化を演じずにはおられない所にある種の根源的な悲しさを感じる。後、終盤でのカテリーナとグルージェシカが強烈。
読了日:03月27日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/578786

■吉本隆明〈未収録〉講演集第4巻 日本経済を考える (シリーズ・全集)
内容的に先に読んだ『農業の〜』とかなり被っているな…というのが第一印象。それからタイトルからして、マルクスへの言及が多いかと思ったのだけれど、それ程多くなかった。何せその大半が三十年程前の講演なので、昨今の事情と合わなかったり、氏の予想が大きく外れている意見も散見されるが、それでも氏がどれだけその時の情況に真摯に対峙していたかが窺い知れる。また、前巻と同じく、社共の旧左翼に対して強く駄目出ししているのが印象的。とりわけ消費税反対をあっさり切り捨てているのが痛快。共産党が未だにこれを掲げているのは何だかな…
読了日:03月23日 著者:吉本 隆明
https://bookmeter.com/books/9524228

■ドン・キホーテ〈後篇3〉 (岩波文庫)
前篇の特徴であったスラップスティックコメディ的要素はますます減退。キホーテの荒唐無稽な言動も影を潜め、解説にもある通り、キホーテの意図とは彼と出会う人々がその荒唐無稽な展開を演出するというのが本巻の妙か。というより、作中人物がその前篇を読んでいるという設定がある意味何よりも荒唐無稽なわけで、このあたりの斬新さは何世紀をも経た今でも十分新鮮であり、その先見性に驚かされる。後篇の冒頭において、独特の存在感を放ったサンソンが本巻で再登場したのはいいものの、その特異性が薄れているのが、個人的に残念だったか。
読了日:03月22日 著者:セルバンテス
https://bookmeter.com/books/446304

■悪霊 別巻―「スタヴローギンの告白」異稿 (光文社古典新訳文庫)
同じエピソードをどうして三つのヴァージョンで読まねばならないのか?正直言って、半ば毒を食らわば皿までという気持ちで手に取ったのだけれど、予想以上に楽しめた。というか、ほぼ同じ話なのにもかかわらず、殆ど一気に読ませるくらい、このエピソードには異様なエネルギーが満ち満ちているということだと思う。研究者ではないので、細部の違いに拘泥するわけではないけれど、それでも微妙な、いや場合によってはかなりの違いを見せるテキストに少なからず驚き。解説にもあるように、複雑な背景によって生じた異同は読者の想像を刺戟するだろう。
読了日:03月22日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/4639053

■悪霊〈3〉 (光文社古典新訳文庫)
「これは繰り返し読むべき作品」ということを改めて痛感。こんな濃厚で複雑怪奇な作品、一回読んだくらいでその全貌を組み尽くすなんて到底不可能。それは巻末の読書ノートでも度々示唆されている。何より印象的なのは、本作品全体の鍵を握る筈のスタヴローギンの登場場面を極端に少なくすることによって、逆にその存在の不気味さ不可解さを際立たせているところ。そして、殆ど救いのないひたすらにカタストロフへと向かう過程にある種のマゾ的な快感さえ覚えるのは僕だけか?シャートフの子供の誕生に仄かな希望が見出させるのが唯一の救いか?
読了日:03月21日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/4513929

■マニエリスム談義: 驚異の大陸をめぐる超英米文学史 (フィギュール彩)
その半分以上が未知の夥しいまでの人名と書名。更に本書を一通り読んでも、結局マニエリスムのなんたるか、は未だあやふや。それでも読んでいて何とも言えない知的興奮を覚える。単純に「世の中には、これだけ面白そうな本、全然知らなかった本があるんだ!!」という驚きの連続。それを味わえるだけでも本書を読む価値があると思う。とにかく古希を超えても挑発的な発言を繰り返す高山宏氏が痛快。こういう人がうちの英文科にもいたらな…と思うことしきり。また、高山氏と由良君美氏との愛憎入り混じる微妙な関係が垣間見られたのも、興味深い。
読了日:03月18日 著者:高山 宏,巽 孝之
https://bookmeter.com/books/12639806

■常識的で何か問題でも? 反文学的時代のマインドセット (朝日新書)
いみじくも著者が述べているとおり、政治に関するトピックを収めた後半はかなり退屈で読み通すのが辛かった。実際、前半では「おや!」と思ってかなり付箋を貼ったが、後半はゼロ。それは著者にも問題があるのかもしれないが、それより実際に昨今の政治事情が、人をうんざりさせるようなことばかりだということに尽きるのではないか?実際にはそれ程の支持を集めているわけではない筈の現政権が長期に渡っているという異常事態。それを明確に分析しようとする識者は少数で支持派と反対派で不毛な揚げ足取りを繰り広げるだけ。この事態を打破せねば。
読了日:03月15日 著者:内田 樹
https://bookmeter.com/books/13165359

■悪霊〈2〉 (光文社古典新訳文庫)
山場の連続で、本書には谷間といえる場面がないのではないか?そんなことさえ思わせる圧倒的な物語世界。その緊迫した場面の連続に加えて、夥しいまでの濃厚な性格の登場人物が跋扈するため、物語の流れを追うのがやや困難かもしれないが、そこは細部に拘らず、まずは大まかなストーリーを追うことに専念したほうがいいだろう。本書での最大の鍵とも言えるのは、解説でも述べられているように、小悪党ともいうべきピュートル。彼の道化的であるのと同時にどうしようもなく悪辣な生態は、読む者に憎悪を感じさせるとともに、強烈な印象を残す。
読了日:03月14日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/3060386

■悪霊〈1〉 (光文社古典新訳文庫)
二十数年ぶりの再読。他の四大長編とは異なって、物語の語り手が、登場人物であるという異彩な設定になっているのに驚き。そしてその語り手Gが重要な物語の中で重要な役であるのにもかかわらず、どこか無色透明な存在であるというのが、何とも不思議な余韻を残す。後、強烈な印象を与えるのが、レビャートキン兄妹。俗悪であると同時に、どうしようもなく滑稽で道化的な役割を演ずる兄大尉とその大尉から虐待を受けながらも、兄を小ばかにする妹マリアの対照は悲喜劇的。知能に障害がありながらも、時に理知的な発言をするマリアが神がかり的。
読了日:03月12日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/644009

■吉本隆明〈未収録〉講演集第3巻 農業のゆくえ (シリーズ・全集)
テーマが農業ということで、かなりとっつきにくいかな?とつい身構えてしまったが、思いの外平易でわかりやすい内容。収められたテキストがほぼ30年前ということで、今日の事情に合わないところもあるが、本書を日本の農業が抱えている根本的な問題は殆ど変わらない、寧ろ更に深刻化しているのでは?と思えてくる。また、そうした問題に対して、既存の左翼の紋切り型の意見に対してはっきりと「否」をつきづける吉本のスタンスが小気味良い。この辺りの硬直化した左翼のスタンスもここ30年を経ても、あまり変わらないのでは?という気がする…
読了日:03月08日 著者:吉本 隆明
https://bookmeter.com/books/9276981

■ドン・キホーテ〈後篇2〉 (岩波文庫)
冒頭の驢馬の鳴き真似のエピソードに絶句…また、人形劇を滅茶苦茶にするエピソードは本巻唯一と言っていいドタバタ的展開で、キホーテの狂気が炸裂すると数少ない場面。そこにキホーテがかつて自由にしてやったヒネスを絡ませるというのも、ちょっと驚き。作者がまぶしたスパイスという感じか?それはともかくとして、本巻の読み所は、前編の愛読者だったという公爵夫妻による主従二人への悪ふざけ。お金と人と時間を使って、ここまで悪ふざけに興じることができるというのは、ある意味究極の贅沢かも?サンチョの統治の手腕も読み応えがある。
読了日:03月04日 著者:セルバンテス
https://bookmeter.com/books/446303

■ドン・キホーテ〈後篇1〉 (岩波文庫)
前編でその萌芽が認められたメタフィクション的要素が全面に出ている。そのことととは裏腹に前編のドタバタコメディー的な要素が著しく後退し、キホーテは一層理知的に、またサンチョもある程度愚鈍さを残しながらも、やたら口達者になっているのが印象的。自分の狂気が騎士道物を読んだことによるものと理性的に分析してみせる狂者って一体なんなのだろう…個人的には狡猾でありながら、最後には滑稽な格好で表舞台から去った学士サンソンにもっと活躍してもらいたかった…それから終盤のモンテシーノスの洞窟のエピソードが不思議な余韻を残す…
読了日:03月04日 著者:セルバンテス
https://bookmeter.com/books/446302

■ドン・キホーテ〈前篇3〉 (岩波文庫)
前2巻にあったドタバタコメディ的要素はかなり薄れ、本筋とはあまり関係がない脇役のエピソードや小説内創作が挿入されているため、やや退屈というのが正直なところ。特に捕虜とソライダの物語は当時の歴史的背景の知識がないと今一つ理解しづらい代物。試練を乗り越えて結ばれた四組のカップルは、いわば幻の王女への愛をもちろんのこと成就できなかったキホーテとの対比を際立たせる道具なのか?とも思わされた。後、やはり気になったのが、キホーテの狂気とは裏腹の明敏で理知的な頭脳。何せ自分の狂気の原因を客観的に認識してるのが驚き。
読了日:03月02日 著者:セルバンテス
https://bookmeter.com/books/446301

■『君たちはどう生きるか』に異論あり!
『君たち〜』を読む前に本書を読んでしまったというのは何だかな(笑)。実際『君たち〜』を読む際にはかなりバイアスがかかった状態になるのは恐らくさけられないのでは?それはともかくとして、読み始めは「そこまで揚げ足をとるような読み方をしないでも」と突っ込みたくなったが、読み進めていくうちに『君たち〜』がかなりトンデモ本に思えてきたのだから、とりあえず著者の意図は成功しているだろう。それにしても、社会主義者が書いた物でありながら、同時に国家主義や戦争肯定論にも通じる内容になっているというのは、何とも皮肉ではある。
読了日:03月01日 著者:村瀬 学
https://bookmeter.com/books/12787859

■草薙の剣
著者は本書の執筆時点で自分の死期を悟っていたのだろうな…戦前戦中戦後を生きる市井の、しかもどちらかというとパッとしない世代の違う6人の男性。それぞれに優柔不断だったり、生活能力に欠けたり、運がなかったり…それでも、目の前に過ぎていく日々があり、生活があり、家族がある。そうしたそれぞれの生活と当時の世相と政治状況を絡めながら物語が紡ぎ出されていく。その過程が著者なりの人生と昭和平成史の総括なのでは?そんな風に思えてくる。そう考えると、平成の終わりを目前にして、著者がなくなったというののも非常に示唆的。
読了日:03月01日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/12701252


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