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2019年03月31日20:03

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うちには、天使がいます。 3.少しだけ遡って その2

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<前回までのお話>
2018年(執筆している時点で去年)4月24日火曜日、
やまねこのパートナー・ゆかさんは自宅で急に動けなくなり、救急車で搬送されます。
前回は少し過去に遡って、その一週間前。卵巣がんの疑いが大きくなり、
Z医大付属病院での検査が決まったところまでです。



さくらが散り、入れ替わりに近所の果樹園では梨の花が開きました。

ゆかさんは、気丈に言いました。
「もし余命宣告とかされたら、伝えてね」
「大丈夫だから。だってあの母親の娘よ」
腰の骨折のリハビリがなかなか進まず、外出はいまだに車椅子の母もまた、
実家で由香さんの介護を受けてはいますが、とても気丈な女性です。

2018年4月17に火曜日、Z医大付属病院へ。
ゆかさんは実家からひとりで出かけて行き、やまねこは仕事に行きました。
夕方「検査すごく長引いて、ほとんど一日がかりになっちゃった」とメールが来ました。
「『Dダイマー』っていう腫瘍マーカーがあって、
卵巣がんって血栓ができる可能性が高くって、その指標になるマーカーらしいの。
その数値がすごく高くてね、肺と足のCTも撮ったんだけど」
足の血栓が肺に飛んで(エコノミー症候群のように)肺塞栓になる危険があるらしいのです。
「そしたら足に血栓が見つかっちゃって、あやうく緊急入院になるとこだったけど、
なんとか今日は帰してもらえたの」

卵巣については、すんなり手術が決まりました。
卵巣の腫瘍というのは、実際に開腹して見てみないと、
悪性か良性か正確にはわからないものなのだそうです。
日取りも5月29日と具体的に決まり、手術の内容の説明まで、手際よく進んでました。
「悪性の場合、子宮および両側付属器全摘出、大網(腹膜の一部)切除、虫垂切除、
リンパ節郭清、および腸に転移している場合はその切除」

「来月末かー、けっこう先なんだね」
「でも、そんな緊急でもないみたいだし、
順番待ちもあるし、みんなそんなものなんだって。
それまでも何度か病院に通うことにはなるし、
ゆっくり入院準備を進めてくださいって」

翌4月18日水曜日、
ゆかさんは派遣会社に連絡しました。そして仕事を辞めることが決まりました。
派遣会社の担当者さんはいい人で、
身体が第一だから、4月末か5月末で契約終了ということにして、
それまでは有給を使いながら療養にあてましょう、と言ってくれたそうです。

病院からも連絡があり、
「足の血栓の精密な追加検査が必要だから、25日(水)に来てって。エコー撮るって」
「それからね、手術も一週間早めてくれたよ。5月22日だって」


仕事を辞めることが決まったたゆかさんは、気もちは少し楽になったようでしたが、
体調のほうはその日からさらに悪化してしまいました。
頭痛も出てきてしまったようです。
実家の母もしばらくならなんとかひとりでやっていけそうなので、
ゆかさんは数日間うちで静養しながら入院の準備をすることになりました。
きっかけは病気の発覚という、良いことではありませんでしたが、
半年ぶりに毎日いっしょにいられる、というのは素直にうれしくもあったのです。

19日木曜日は、さらに良くありませんでした。
昼間、「朝から頭痛と嘔吐がひどくって、
脱水起こしたらいけないと思ってりんごジュース飲もうとしたんだけど、
目まいがして何度もグラスを倒してしまったの」とメールが来ました。
不安をかかえてうちに帰ると、ゆかさんは横になっていました。
ダイニングのテーブルは(りんごジュースで)べたべたになっていましたが、
ゆかさんいわく「おととい検査でたくさん採血したし、
生理も始まっちゃったから、貧血かも」
もともと生理(「おなかイタタタ」と表現することが多かったです)のきつい体質だったので、
やまねこもなんとなく納得してしまいました。
「最近ごはんもあんまり食べられてなかったものね。ふらふらしちゃうよね」

金曜日は少しだけ持ち直したかんじで過ぎていきました。
体調悪いなりにメイさん(ねこ)といっしょに過ごす日々も悪くないようでした。
メイさんは16歳。
ずっとやまねことふたりで過ごしてきたので、基本的にほかの人にはなつきません。
ゆかさんが触ろうとするといまだに「しゃー」と言って身構えますが、
それでもいつからともなく、親近感みたいなものは芽生えてきてたように思います。

ゆかさんは入院の荷物を用意するかたわら、
卵巣がんについてたくさん検索していたようです。
なんとか食べたり飲んだりできるように、スポーツドリンクやゼリーをたくさん買ってきて、
土曜日にはやまねこもいっしょに検索しました。

「卵巣がんは4段階のステージに分けられ、
ステージが進むごとに5年生存率は下がっていくが、
初期は自覚症状がほとんど出ないため、発見されたときはかなり進行していることが多い」
これはネガティブな要素ではありましたが、
老先生の経験のおかげで、早期に発見できたと信じたいと思いました。

もちろんまだはっきり悪性と決まったわけではないのですが、
「手術と抗がん剤。抗がん剤は3週間の間隔で約1週間ずつ、6セットの点滴」
それが一般的な治療とのことで、「比較的抗がん剤は効きやすい」
これはポジティブな要素だったかもしれません。
少しずつ少しずつ、これから訪れることへの準備と覚悟を進めていきました。


22日の日曜日。
ゆかさんは静養の甲斐あってか、かなり元気を取り戻したようでした。
「久しぶりにいっしょにお買い物行く?」
「入院用のものもいくつか買いたいし。行くっ!」と言って、
歩いて15分くらいのショッピングモールに出かけました。
「新しいパジャマがほしいの。気持ちが楽しくなるようなパジャマ」
何軒かお店を回って、かわいいねこの柄のパジャマを見つけました。
ほかにも100均で、カップなどの小物をいくつか選んで、
「なんかテンション上がるわ☆入院きっと楽しい♪」
こんなに風にはしゃいでいるゆかさんを見るのはほんとに久しぶりで、
やまねこもおだやかな気分で一日を過ごしました。
きっと良くなるよ。
こんな楽しい日が続いて、
ゆかさんが前みたいにたくさん食べられるようになってくれたらいいな。


23日月曜日。
やまねこは職場の送別会があって帰りが遅くなったのですが、
ゆかさんは
「お昼も少し食べられたし、
おなかイタタタが長引いちゃって少しふらつくんだけど、そろそろ終わるはずだから、
あしたはもっと元気になれると思うよ♪」と言いました。
できれば入院と手術まで、このまま時間が流れていきますように。


そして4月24日火曜日の朝を迎えます。

第1話の冒頭に戻ります。うちに救急車が来た朝です。





うたうやまねこ、4月13日に下北沢でLIVEがあります。
4.13(Sat.)下北沢ラグーナ → http://s-laguna.jp/
Open12:00/Start12:30/Charge \2,000+1D(adv.)\2,500(door)(予定)
下北沢の明るくすてきなライブハウス、2度めの出演です。

そして4月28日はワンマンLIVE。
「うたうやまねこワンマンLIVE2019〜脈動〜」
4.28(Sun.)at御茶ノ水KAKADO → http://www.kakado.jp/
OPEN12:00/START12:30/CHARGE\2,000+1D

お会いできるとうれしいです。
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