おかんのはなし

わたしの母は にくそくて可愛い。
自分の母親に対してこんな事を言いたくないが
基本的にはあほだ。なんでこんなに何も知らないのに
生きてこられたの？って思うくらい なあんにも知らない。
わたしも自分で自分の事を 物を知らない馬鹿なやつだと
常々思っているけど そんなわたしが まじか？と思うほどだ。

だけど だからこそなのかなと最近感じるようになった。
汚れてないんだよな。 こんなにイヤな世の中なのに
こんなに苦労しながら生きてきた人生なのに。
貧乏な家の末っ子に生まれて 唯一優しかったお姉さんを
十代で失って よくわからない男の家に嫁がされて
イヤでイヤで逃げて 実家に帰ったら
遠い親戚の男が転がり込んでて夜這いかけられそーになって。
それから逃げるように 幼馴染みだった父と一緒になったら
父のお婆んにいじめられて一回勝手に籍抜かれたりホウキでどつかれたり。笑
長男を連れて死のうとしたこともあったり 後に生まれたわたしに
「兄きだけにしといたら良かったやん何でどんどん産んだんあほなん」と罵られたり。
ラジバンだり。
なのに いっつも鼻歌うたって。
YouTubeで懐かしい動画探して見せてあげたら
心底楽しそうに笑ってるんやよね。
聴こえにくそうやから イヤホン繋いであげたら
すぐ歌いだす。たったそれだけで
めちゃくちゃ幸せそうに楽しそうにしてんの。
いとも簡単に。
擦れてないの。
これ以上ないほどトゲトゲのいまの自分に
優しい気持ちをくれるのはこの人だけ。