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2019年03月17日05:28

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小説 紅蓮 68

小説 紅蓮 68
 俺は、佳代子に、商売が簡単なものでは無いことを見せるためにも、冒険的な店舗を作った。町はずれの農道に沿った畑地を買い取り、古民家風の店舗を建てた。メニューはコーヒーとトーストだけ。しかも一般的に1杯350円の時代に450円から500円と高めの設定。店名は「こーひーのみ・コッコ」オープン時に建設業者などが宣伝を兼ねて入り口に」並べる開店花輪を辞退し、それでも贈られた花輪は3日で撤去した。新しく店が出来たと宣伝するのでなく、気がついたらコーヒー屋があったっって風にしたかった。どんな店なのか?いつできたのか?と興味を持たせるのもまた印象を強める。黙っていても客が来るものだ。その店が便利だとかくつろげるとかの必要性を感じたら定着するのだ。
 俺の誤算は、立地の場所を決めた時、車の通行が少ないと思っていた農道が、通勤用道路として使われていたことだ。通勤時間帯の渋滞を避けて利用する者が多かった。しかも人は習性を簡単には変えれない。客と離れすぎず近づかない距離感や、味へのこだわり、イベントを打つことなどを無意識にやってしまう。根底には店は客の物であり、経営は維持することだと言う信念を変えることは出来ない。
 店名のユニークなことと相まって口コミで存在を知られたようだ。店名のとうりメニューがコーヒーだけというのも話題になったようで、一度来た客はたいてい知り合いを連れて来る。冊子風に造ったメニューを、いくらめくってもコーヒーしかないことでたいてい慌てる。普通、スパゲティかカレーは置いてあるし、ランチセットなどがあるはずだが一切なく、価格も500円だったり700だったり1000円だったり。自分が連れて来た友人が慌てる様子を見て楽しむのだから、人は案外意地悪なものかも知れない。
「マスター・・コーヒー以外に無いですか?ランチは?」
 俺に助けを求めても「店名がこーひーのみですから」と涼しい顔をする俺。俺も変わっているが客も変わっている。意外と定着したことは、ある程度は必要な店で会ったのだろう。
 入店時に雨が降っていたらコーヒー半額とか、カップルで来店したら男性とマスターがじゃんけんをし、客が勝ったら女性のコーヒー代はただとか、ばかばかしい遊びも話題になったようでテレビ取材が入ったりもした。(続く)

獅子座クウネルのつぶやき獅子座
 明日はまた雨のようですね。微妙な気圧変化で左右されるクウネルの身体は、昨日は寝ることを望んだようで、配達後ひと眠りし、昼飯食べてまた眠り、晩飯食ってまた眠り・・一日を寝て過ごしました(汗)疲れるほどの仕事をしていないのに、やたら眠く、本能に従うとそうなりました(笑)テレビも見なかったし小説の続きも書かなかったし写真も撮らずです。ほんと困った男です(笑)


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