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2019年03月16日05:54

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小説 紅蓮 67

小説 紅蓮 67
 そう言えば、都城市で店を出すと行った時、佳代子はすんなりと受け入れた。俺がすることなすこと反対ばかりで、俺と言う人間を否定し、生きている価値のない人間と扱っていたのに、なぜ文句ひとつ言わなかったのだろう?自分が独立しろと言ったのだから当然か?
 ともあれ、俺は独立してすぐに失敗させようと思っていた形だけ佳代子に従い、すぐに店をつぶしてどこかへ逃げようと思っていた。社長も冗談のように言っていたのだ。
「孝君、半年待てばええんやろ?あんまり借金でけへんうちにやめてーな」
「わかりました。でも、鹿児島に帰ることは出来ません。インドネシア辺りに出店してくれますか?」
 インドネシアかフィリピンあたりにアンテナ店として海外出店することを、俺は考え出していた。コーヒーの産地である地域に店を出し、農園主らとつながることで、産地実態を正しく掴もうと思っていた。農園の実情を知ることで、品質向上の工夫が出来るかも知れないし、日本流の接客が異国で通用するかどうかも試したい。そんな野心を持ってもいた。
 佳代子は俺がそんなことを考えていたことなど知るはずも無かったし、店が連れたら再雇用すると社長が言っていたことも知らない。素人目には、現金が毎日入る水商売であり、店を作れば客が来るものと思っているようだった。
 ともあれ、俺は当時の常識破りの店を作った。出店する場所次第で成功か否かが決まると思われていた時代で、事実、不動産屋で「喫茶店をやりたい」と、土地探しの相談をすると、必ず人口密集地を提示された。街仲だったり、大学や会社などが近くにあったりの場所を選ぶのだ。
 ある馬鹿正直な不動産屋の親父さんは
「都城はよそ者を歓迎しない。どうせなら宮崎市に探さないか?」
 とアドバイスし、都城の名の知れたコーヒー屋に連れて行って、立地やメニュー構成を見せてくれたりした。(続く)

獅子座クウネルのつぶやき獅子座
 昨夜雨がぱらついたのか、所々道路が濡れていました。新聞を配り終える頃には風がぴゅーーぴゅー。点呼不順が続いています。首痛がまだ止まらず困っています。写真は先日の観音池公園のハクレン。
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