時代が違うんだよ。

書店へ行こう 読者に呼びかけ
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本屋へ行くのは好きだったよ。それはそれは好きだった。
活字を読まねば３日で死ねると思うくらい好きだった。
紀伊国屋とかへ通いつめた挙句にすっかり顔パスで、
『今月のハヤカワの新刊を、全部』っていう買い方をしていたくらい好きだった。

けど最近はほんとダメ。
大きいところでも品揃えがあまりに悪い。

いや、違うな。

定期的にいい作品だけが並ぶ時代じゃなくなったんだ。
ちょっと長い文章が書ければ本になる。若人向けのあっさりしたものがどんどんあふれてくるから、スペース的に限りがある書店の棚には置ききれなくなるのは当然。

必然的に、並ぶのは常に新刊。よほどの規模でないと少し前のものは返品されて店頭から消える。

いつ入荷したのかわからない様な掘り出し物を見つける……なんて楽しみは、もうできないと思って間違いない。

あとね。随分前に『古本を捨てるという意見には反対』ってのを書いたと思う。

たしかに、作家にお金は入らないよ。

だけど、どこかの誰かが古本屋に本を売ってくれたおかげで、諦めかけていた絶版本と再会することが出来たんだよ。

捨てるあなたにとっては要らない本かもしれないが、その本を探し回っている人も居るかもしれないって事までは、考えてないんだろうね。
読み終えたものを全て捨てちまってたら、後世にのこるものもないわけで。

ああ……読みなおす気にもならず、欲しがる人もおらず、話題にもならずで捨てても別段、構わない程度のものしか読んでないのかい？