辞令が出た。朝礼の時に少し言葉が詰まってしまった。
昼前に会社を出て東京に向かっていると、
あのハルビン大卒の才媛がLINEしてきた。
「朝礼で寂しそうな話し方、伝わってますよ」と。
役者にはなるのはなかなか難しい
もう下を向くのはやめよう。今日で終わり。
こういう時こそ発想の転換だ。
私の異動先は安全保障貿易部。
私がいま持っている海外営業課と安全保障貿易課のうち
後者が執行役員直轄の「部」に昇格した形になる。
昨年の経済産業省からの制裁で会社が外為法に関して
本腰を入れ、
そのど真ん中の責任者に私を据えると判断した。
言うなれば、私はフォワードとディフェンダーの兼務から
ゴールキーパーに移ったようなものだ
それならそれで構わない。もう決めた事だ
私がミスれば次はもうない。3年間の輸出停止。
会社の業績も株価もダダ下がり。新聞にも載るし
書類送検の可能性すらある。
この緊張感は、逆手に取れば仕事で最大のパフォーマンスを
発揮する媒体にもなる。やり甲斐もあるし逆にゾクゾクする
部下は38名から7名に減る。
これも、今までより一人一人をもっと良く見てやれると
思えばいい。次の目標は、海外営業部から安全保障の
仕事を引き取ってやる事だ。その為には倍の14名は欲しい
教え子の彼らを側面からサポートしつつ、外為法のプロになる。これが当面の目指すべき道だろう
会社が必要としてくれるなら、
今まで我が儘を認めてくれた分の恩義を返そう。
これから何ヵ月もかけて、米国支社から戻ってくる後任に
引き継ぎもしないといけない。発つ鳥跡を濁さず。
さよならの準備をはじめよう
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