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2019年03月01日08:42

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2月の読書記録

先月も6千頁を超えたな。ナイスも180までいったし。
後、たいていは月の前半は快調で、後半になって失速するというのがパターンなのだけれど、先月は前半体調不良で今ひとつ読書が進まなかったけれど、後半から自分でも不思議なくらいに読書が進んだ。今月も頑張って読もう。

2019年2月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:6191ページ
ナイス数:183ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■燃える波 (単行本)
最近パワハラ夫絡みの作品が続くな…でも、そこは著者の持ち味であるギリギリでベタにならない絶妙な伏線の張り方と、これも最近の傾向である、これまでにない文章のキレとでグイグイと引き込まれるようにして一気に読ませるのはさすが。特に気をてらったわけではない表現でも、なぜか「ああ、こんな言い方ができるんだ」と驚かされたことが少なからずあった。それにしても、作者が描くパワハラ夫はどうして、こうもリアルなのか…男の嫌な部分を思いっきりデフォルメしたかのようなその醜悪な姿は、同じ男性にとってはある意反面教師かもしれない?
読了日:02月28日 著者:村山 由佳
https://bookmeter.com/books/12938180

■こわいもの知らずの病理学講義
何となし人を食った題名が気になり読んでみた次第。平易な文体と、医学に関する裏話的なエピソードが面白くてほぼ一気読みしたが、理解の程はかなり怪しい。改めて中高時代に理数系をお座なりにしたことを軽く反省。著者も後書きで述べている通り、専門用語に対する理解がないとどうしようもないところがある。それはともかくとして、今更ながらに医学を含めた科学って結局水物なんだな…ということを痛感。ノーベル賞を受賞した研究成果が後で覆されるなんてことが結構あるのだから驚き。だから、この本も眉に唾をつけて読む必要があるかも…
読了日:02月27日 著者:仲野徹
https://bookmeter.com/books/12274022

■吉本隆明〈未収録〉講演集2 心と生命について (シリーズ・全集)
概ね興味深く読めたが、一応テーマが設定されているものの、内容はかなり幅があるため、感想をまとめるのはちと辛いというのが正直なところ。個人的には国家と天皇制及び平和憲法への言及が興味深かったか。改憲反対論への懐疑は、後の反核異論にも通じるものがあって、吉本の一貫性を感じさせる。一方、ヴェイユ理解もそれなりに興味深かったものの、どこか食い足りなさを感じたのも確か。時代的制約もあったのかもしれないが。それと驚きだったのは、ルソーの幼少期のエピソード。あんなにトラウマ続きだったとは…『告白』が読みたくなった。
読了日:02月26日 著者:吉本 隆明
https://bookmeter.com/books/8988994

■ドン・キホーテ〈前篇2〉 (岩波文庫)
小説というより漫画的というだけでなく、架空の作者を設定したというメタ文学的な構成も現代的だな…つい、『人間失格』を思い出した。それと本巻で気付かされたのは、キホーテの実は明敏な頭脳。それまで読んできた騎士物語の詳細を記憶し、それを元に自分の考えを理知的に語るその回転の速さは、狂気に蝕まれなかったら、相当なものだったに違いない。てか、そういう才気を長年騎士道物語を読むのに費やすというのもある意味人生の無駄遣い(笑)。それと、ある程度常識人的要素もあったサンチョがキホーテの狂気に感染しているのが印象的。
読了日:02月21日 著者:セルバンテス
https://bookmeter.com/books/457400

■ドン・キホーテ〈前篇1〉 (岩波文庫)
元祖スラップスティックコメディか?と思ってしまった。これは殆ど小説というより、漫画。それこそ主人公二人の会話に作者がツッコミをいれるという感じで漫画化したら、面白いと思うのだけれど…そういえば、主人公二人が死んでもおかしくないような攻撃にあっても、わりにすぐに回復するのも漫画的。この辺りにリアリズムを求めるのは、野暮なのかも?そんな荒唐無稽さはラブレーにも通じるような気もした。それからキホーテが抱えた狂気は、今日の精神分析学的にみたら、どのように分類されるのか?百パーセント著者の想像の産物とも思えないが…
読了日:02月21日 著者:セルバンテス
https://bookmeter.com/books/457399

■認知症フレンドリー社会 (岩波新書)
今後、ますます進行する高齢化社会において、認知症について考えるヒントにはなるが、実際高齢者施設で働く者にとって実践上はあまり参考にならないな…というのが正直なところ。ただ、これまでの行政による縦割りによる対応ではなく、ある程度垣根を取っ払った柔軟なスタンスによって問題に取り組むことによって、様々な可能性が見出せるということは理解できたか。それに福岡県大牟田市のような斜陽といえるような地域で認知症フレンドリー社会を実践しているという事実は、今後の地方再生の可能性を模索するうえで、大きな示唆となるのでは?
読了日:02月19日 著者:徳田 雄人
https://bookmeter.com/books/13246177

■白痴 4 (光文社古典新訳文庫)
複雑な…というか、身も蓋もない言い方をすれば面倒臭い性格の男女四人。互いに強く惹きつけられながら、でも最終的には相入れることができないゆえに、その話の顛末はまさに悲喜劇的なものとならざるを得なかった…また、本書でも決してその話の筋を追うことは、決して難しくはないはずなのに、各々のエピソードが微妙に有機的に結びついておらず、読了後、「あれ、こんなエピソードがあったんだ?」と驚かされることが少なくなかった。このあたりはある意味著者の面目躍如かもしれない。また、訳者後書きが非常に示唆的で、再読への誘惑となる。
読了日:02月19日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/13126198

■白痴 3 (光文社古典新訳文庫)
客観的な時間の流れを完全に無視したかのように、物語の流れはありえないくらいの濃密さで進み、読者を圧倒する…決して脈略がないわけではないけれど、時折「あれ?!こんなエピソードもあったっけ?」と驚かされることも少なくない。改めて作者が織りなす世界の奥深さに感服。メインの男女四人だけでも、十分に濃いのに、本書では傍流であるはずのイポリートがメインに匹敵するまでの重要なキーを担う。こういう重層的なストーリーを紡ぎ上げるのは、まさに天才の仕事。終盤での公爵と二人の女性を巡る愛憎を孕んだ葛藤には教えられるところ大?
読了日:02月17日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/12596647

■白痴 2 (古典新訳文庫)
解説にもあるように、一部に比べると、話の流れがややもたついている感があるが、それでもその濃密な世界に圧倒されてしまう。圧巻はやはりほんのしばしの間の公爵とロゴージンとの邂逅、その後の対立。この男性陣二人と女性陣二人との違いに対照的でありながらも、でもある部分ではどうしようもなく似ているという複雑な関係は、幾通りにも解釈が可能ではないだろうか?そして、終盤における公爵への誹謗中傷を孕んだゴシップ記事を巡る騒動の記述も圧巻。何かにつけ他者を攻撃したがるという人間の醜さがリアル。今日のネット社会にも通じる。
読了日:02月17日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/11543762

■白痴 1 (光文社古典新訳文庫)
二十数年ぶりの再読だが、読み進めるにつれて「あれ!こんなに面白かったっけ?」と驚かされることしきり。白痴とも言われる純粋無垢な公爵を軸に、一癖も二癖もある登場人物が織りなす人間模様。些細なことで、態度を変えたり、掌を返したり…と人間が抱えるどうしようもない面倒臭さをこれでもかと書き込んでいるのが圧巻。とりわけ印象的なのはナスターシャ、極度にあばずれで蓮っ葉な面と、純粋無垢で傷つきやすい面、気まぐれで激昂しやすいかと思えば、冷静で理知的な面を見せるというその複雑な魅力は、ファムファタルの一つの典型かも?
読了日:02月16日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/9983220

■幸田文のマッチ箱
幸田文という物書きがいかに特異な才能の持ち主であったかを再認識させられた。本書でも言及されている夥しいまでの犠牲音がおりなす独特な文体、瑞々しい感性と鋭い洞察力に基づいた精緻な観察…以前読んだ文章の断片を本書で再度目にすることで、当たり前だが「ああ、かなわないな…」と思わせられることしきり。また、三人兄弟の真ん中で、自らみそっかすと称する自己卑下の感情と、それでも父露伴の最後を看取ったという経緯とが不思議な対称を見せることに驚かされる。そして、作者が幸田から貰ったというマッチ箱のエピソードが素晴らしい。
読了日:02月15日 著者:村松 友視
https://bookmeter.com/books/404335

■東京大学で世界文学を学ぶ
あまりにバカみたいな感想だが、改めて「世の中には自分が読んだことのない面白そうな本がたくさんあるんだな…」ということを再認識。また、小説に関しては、中国より日本のほうがその歴史が長いという指摘には、色々と考えさせられるものが。それと、明治における言文一致、口語体的文体を確立するまでの試行錯誤のエピソードは、既知の事実だとはいえ、現在ごく普通に使っている文章体が先達の苦労の賜物であるかを再認識させられる。個人的には『ドンキ・ホーテ』が新たな興味を抱いたのが収穫。あそこまでぶっ飛んだ内容は最早超モダンかも?
読了日:02月13日 著者:辻原 登
https://bookmeter.com/books/652035

■キリスト教史 (講談社学術文庫)
単なるキリスト教史というだけでなく、キリスト教思想史や、社会学的視点による記述、それに加えて、やや晦渋な文体のため、予想以上に読了するのに難渋。それはともかくとして、敬虔や謙遜、清貧が尊ばれる筈のその教えにもかかわらず、傲慢や強欲、権力欲が蠢く歴史に、宗教的実践の難しさ、そして人間のどうしようもない弱さを痛感。また、二つの世界大戦を経て、資本主義の興隆と世俗化が蔓延する中で、福音を告げ知らせ実行することの難しさについて考えさせられた。佐藤優による解説が良い。これは手元に置いて繰り返し読むべき一冊。
読了日:02月11日 著者:藤代 泰三
https://bookmeter.com/books/12406072

■みみずくは黄昏に飛びたつ
いやあ、面白かった!!村上春樹という小説家の特異性を改めて認識させられた一冊。そして、自分は小説家になれないということも改めて痛感(笑)。とりわけ驚かされたのは、創作の過程で、村上自身が頭をひねって考え出すというより、自然と様々なアイデアや発想が出てくるというエピソード。本人も示唆しているが、これは殆ど神がかりとか、イタコレベル。こういうスタンスで締め切りなどの制約なしで、好きなように小説を書き続けることができるのって、村上くらいだよな…後、村上が自身の作品についての記憶が殆どないというのも驚かされた。
読了日:02月08日 著者:川上 未映子,村上 春樹
https://bookmeter.com/books/11756410

■吉本隆明〈未収録〉講演集第1巻 日本的なものとはなにか (シリーズ・全集)
理解の程は甚だ怪しいが、吉本隆明という思想家の懐の深さ、思考の奥行きに改めて感じ入った次第。恐らく今日からすれば突っ込みどころは多々あるのかもしれないが、それでも「日本的なもの」についてここまで深く思索を重ねてきた人は稀有であるまいか?個人的には日本の詩歌についての話は、ある程度本を読んでも、未だに苦手意識が消えないので、今一つのめりこめなかったけど。その一方で、とかく辺境という括り方をされがちな琉球が日本の文化と深い関わりがあるという指摘は、今後の日本と沖縄、及び日本の歴史を語る上で重要なものだと思う。
読了日:02月05日 著者:吉本 隆明
https://bookmeter.com/books/8651046

■ある男
他に類を見ない吸引力で一気に読了。三百数十頁という分量に、これでもか!!と言いたくなるくらいの重層的で濃密な内容を詰め込んでいるという感じ。これまで生きてきた人生の重み、生い立ちへの愛憎を孕んだ複雑な思い、嫌いにはなりきれないけれど、でもわだかまりを抱える夫婦関係、右傾化する世相への懸念…といった様々な要素を駆使して、複数の「ある男」を巡る真相に迫るそのプロセスはスリリングという言葉では到底言い尽くせない重みを湛えている。登場場面はさして多くないが、独特の余韻を残す悠一の描写が秀逸。ラストが泣けた…
読了日:02月05日 著者:平野 啓一郎
https://bookmeter.com/books/13070212


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