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2019年02月15日07:16

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「バハールの涙」

女性弁護士のバハールは愛する夫と息子に恵まれ幸に暮らしていたが、ある日、クルド人自治区の故郷の町でIS襲撃を受け、男性は皆殺されてしまう。数ヶ月後バハールは人質にとられた息子を取り戻すため、女性武装部隊「太陽の女たち」のリーダーとなり、最前線でISと戦う日々をおくっていた。同じく小さな娘と離れ、戦場で取材を続ける片眼の戦場記者マチルド目を通し、再び我が子を抱きしめる日を夢見て、内戦を生き抜くバハールの姿が映し出されていく。

現在のリーダーとしてのバハールさんとISの襲撃を受けた以降のバハールさんの回想シーンが交互に映し出されていきながら映画は進むのだけど内容があまりにハードで映画始まって20~30分でこの映画無理だと正直思いながら観ていました。
ISの襲撃を受けた男性は皆殺し、女性と少女たちは性的奴隷として売買を繰り返され、少年達は(3歳から)「小さき獅子たちの学校」と呼ばれるIS戦闘員の養成校へ強制的に入れられてしまう・・・
そんなエピソードと現在パートの戦闘シーンをまあ、非常に緊張感ある劇伴(時に脈拍のような音や聞いていて不安を煽るようなビートやらと色々なバージョンで刺激してきてもう怖くて大変さ)にエッジの効いた映像で紡いでいきながら進んでいく・・・そしていつの間に感動している自分がいた!。
現在パートと回想パートの組み込み方がとても上手くそこら辺の編集の緩急が素晴らしいしどちらのパートか”映像”で分かるようになっている。これは劇中全編に溢れている緊張感。いつ地雷が爆発するんだろうか!!?いつどこで死んでしまうのか!!と感じさせるような画作りが本当に凄いと思う。これは美術さんいい仕事してるって事ですね。
パンフレットに書いてありましたが クルド人元兵の方が撮影現場でたまにどこに地雷があるか見まがう程だったそうな!そら映像に現れますわ!!。それに加え面白いのが唯一戦場で観客目線代わりになる戦場記者の武器を持っていないマチルドさんの戦場での行動が今、前に行かないと危険だし留まるのも危ない!そんななか。今進むんだ!とか!これが観ていて緊迫感を増幅させていて上手いな〜と!。

いいシーンの連続なんですが奴隷として暮らしているバハールの脱出シークエンスがまた素晴らしい!ハラハラドキドキなんてもんじゃないっす‪(╥﹏╥)‬怖くて緊張感というより恐怖すら覚えるような感覚にクラクラさせられた。からの翌日・・・壮絶な国境を越えるシーン!産気づいた妊婦を抱え「人生で最も重要な30メートルよ!!」 と言うバハールさん!本当に名台詞!もうこれだけで5億点出ましたよ!さらに!見事国境越えそして・・・出産シーンなんて!!力強く手を握るバハールさん!なんなんだこのエモーションは!?いくつものボーダーライン名シーンがありますが屈指のボーダーライン名シーンがここに誕生しました!。まさにこのシークエンスは「太陽の女たち」が言っている「女 命 自由!!」だ!それが全て集約されている!!。

息子救出劇の中で援護空爆しているアメリカのミサイルがその建物を攻撃する(この援護空爆がバハール達を攻撃してしまうのをしれっと入れるとか上手すぎる)・・・序盤の空爆の煙。そして土に汚れたバハールの顔(最初にISに捕まった時に顔を土で汚したバハールと対になっていて意味合いが変わり面白い)・・・それが終盤に来るとは思わなかった。
そして息子を片手で抱え右手にライフルを持っているバハールさん!格好良いんですけど!もうランボーか!。
あれだね「太陽の女たち」は「ワンダーウーマン」だ!復讐映画でありヒーロー映画であり戦争映画である。
そしてラストのマチルドさんがトラックの荷台に乗りバックショットからのマチルドさんのモノローグ・・・劇中あまり多くを語らないマチルドさんだっただけにこの演出はにくいっす!この長回しもまたかっこ良かった!ベストエンディングでした!。
そしてこれだけのハードな内容で胃がキリキリする映画なのに年齢制限無いんです!そう以外にも過激な暴力描写も無いしゴア描写も無いのにこれだけ恐怖を感じるし映画全体を覆う緊張感。逆に直接的な映像が無いだけにこちらに想像させるような台詞や見せ方!この映画全体に言える事ですがそういうところのセンスの良さ本当に要らないシーンが無いしテンポがあって魅入ってしまう編集の巧みさね。
序盤と観賞後こんなに見方が変わってしまう映画だったとはこれもこの監督さんによって上手く手の上で転がされてるのかも知れない(´^∀^`)

因みに1つ気になったのが自爆兵のことを「カミカゼ」と言っていたので調べてみたらフランス語で自爆テロを「カミカゼ」と言うそうな!あと英語、ドイツ語でも自爆テロを「カミカゼ・アタック」と言うみたいです。これには驚きました!!知らなかった・・・日本人からしたらちょっとショック・・・。

111分、ほぼ全編にわたってこんなに緊張感が続く映画も珍しいかと。いやはや素晴らしい映画体験をありがとうございました!
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