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2019年02月10日00:35

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「ラブ・ネバー・ダイ」(日生劇場)2/2マチネ

東京へ行くスケジュールと、見たいキャストの組合せがうまいこと重なって、見に行くことができました。
「オペラ座の怪人」の10年後の物語。冒頭からファントムのソロ曲でクリスティーヌへの愛を歌い上げますが、そこから先が色々と予想外の展開というか、「オペラ座」とは随分と違った様相を呈してきてびっくり。話の内容を知らなかったから、ひたすらびっくりの連続のストーリー展開(笑)。パリのオペラ座の雰囲気と比べると、ニューヨークのコニーアイランドは随分と猥雑で俗っぽい感じで、「見世物小屋」といった様子。それは貴賎というわけでもないけれど、それでもなんだかとても遠いところへ来てしまったような雰囲気が冒頭から。そして俗っぽいといえば、酒とギャンブルで持ち崩したラウルに、名声は得たようだけど金のために歌うクリスティーヌ・・・いきなり夢をぶち壊しに来てます??(笑)あともっとびっくりした、ファントムとクリスティーヌの再会、「月のない夜」の二人のデュエットがなかなかに衝撃的でした。歌詞の内容もそうだけど、からみあうような二人の歌声がとても艶っぽくて、この二人絶対「何かあった」という雰囲気を醸し出してて。ええー?いつのまに!?いや、正直、至上の芸術やら美しさやらを求めてた人たちと思っていたのが、いきなりただの男と女になっちゃった感というか・・・。終始そんな感じ。
そうやって、つながってはいるけれど、あまりに違う世界観にちょっと戸惑いつつ、物語的にもツッコミどころは満載というか。全体の印象としては、「公式による壮大なる二次創作」感・・・。音楽はいたるところに「オペラ座の怪人」のメロディーがさしはさまれて、そのメロディーにはいちいち耳が反応してしまったりして、それはそれで楽しかったりもして。
そして、その世界を彩るのが壮大なメロディーとともに、スケールの大きな舞台セット。舞台からはみ出さんばかりのそのセットに、客席もまるごとコニーアイランドになっている雰囲気。そして、複雑な構造のセットが、盆がくるくる回ったりあっちこっちが動いたりして、実に見事に転換していき、その中を登場人物たちがあっちからもこっちからも出たり入ったりしていて、見ているこちらがどんどん迷宮に迷い込んでいくよう。そうしてその世界に引き込んでいくのは見事としか言いようがありません。1階後方からの観劇だったので、そういう全体感が見えるのはとても楽しかったです。この感覚は客席の空間でないと感じられないだろうなあ。

ファントム:石丸幹二さん。四季時代にラウルなさっていて、今回はファントム。超越してるかと思いきや、意外に人間くさい感じが絶妙なバランスに思いました。そして歌声の迫力と説得力は超越してましたね。いっぺんで、コニーアイランドを支配してる感が出ます。

クリスティーヌ:濱田めぐみさん。クリスティーヌの歌ってとにかく高音がすさまじいんですけど、それをこれでもかと聴かせてくれるめぐさんの迫力が素晴らしいなと思います。「愛は死なず」は圧巻。まさにクリスティーヌのステージを見ているかのようでした。その一方で、女性としての揺れる心みたいなものも、息子への母としての愛も、いろんな面で強い女性に見えました。この世界を支えているのは実は彼女なのかな、なんて思えてくる。だからなのか、最後、残された男たち、このあとどうすんの?って思っちゃう(笑)。

ラウル:田代万里生さん。せっかくクリスティーヌと結婚して幸せになったかと思いきや、こんなダメダメ夫になり果てていて、この10年の間にラウルに何があった!?と思わずにいられません。とりあえうダメなものはダメなんだけど、後半あたりからはだんだん気の毒に思えてくるのは、やっぱり一途に愛してるって気持ちだけは嘘じゃないんだろうなってところ。そんなひたむきな愛情みたいなものは万里生さんから見え隠れしているような気がして、そういう雰囲気は好きかも。だから、最後に昔のように薔薇を一輪、そこへ「リトル・ロッテ」のメロディーだなんてずるいわー。ふたりが一番純粋だった頃の象徴みたいじゃないですか。万里生さんの歌声の端正さがそういうところで一気にこっち側に引き寄せにかかってくるのが上手いというかなんというか。というか、単に好みなだけなのか?とも思ったりもしますが(笑)。

メグ・ジリー:夢咲ねねちゃん。オペラ座ではクリスティーヌの友人で、コニーアイランドで歌っているのはそのオペラ座とはまったく違った世界。それでもひたむきにステージに立ってファントムに認めてもらいたいという気持ちがいじらしかったのに、それが次第に崩れていくのが怖かったです。愛らしいからこそなおさら。

グスタフ:熊谷俊輝くん。とりあえず歌声の美しさに度肝を抜かれました。男の子の清らかな歌声って本当に心が洗われるようです。このくせもの揃いの物語の中だから余計に。

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