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2019年02月02日23:48

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《こんな事もあるさ…》《ちー+! 087》

《こんな事もあるさ…》

油断した訳じゃないけど、作業ミスが多発した。
先入観というか、確認不足というか…。

ミスは3つ。全て取り違い。

まず1つ目は飲料。
ジンジャーエールとコーラゼロの間違い。コイツは並びが隣同士でめまぐるしく動く商品で、いつでも誰かが間違えている。販売元も同じメーカーで、それらが隣り合っているというのも問題といえば問題だ。
まあ、業界のあるあるだな。

2つ目。味噌とジャスミンティーの取り違い。これだけ言えばアホくさい間違いだが、この商品は背中合わせだ。
ちゃんと順番通りに進めば間違える事のない組み合わせだが、逆走しながら取った場合はうっかりミスの発生が否めず、これまた誰もがやってしまう失敗のひとつ。
慣れた作業ほど変なミスが出てくるものだ。

で、最後の3つ目。…ゼリーのパウチ飲料と、何故かインスタント味噌汁…。
…何故??? しかも、商品の設置位置はとんでもなく離れている場所なのだが…。

もちろん、ミスまでの記憶なんて無い。記憶があれば、それはわざとという話になるが…。

でも、なんだろうね、この間違い。


《ちー+! 087》

第一章 仲間たちとの行進曲 3-49

【拠点ネメス・ネメス城下町北区域】
『冒険者通り』

午後を少し回った頃、チータスたち2人はまたもタバチと合流すべくあじさいを出た。
 昨日の付き合いの延長という事で、タバチが再びギルドに同行してくれるとの申し出を受けたのだ。
 午前中の流れではそのままギルドに直行する流れの予感もにおわせたが、両替したとはいえさすがに銀貨100枚を持ち歩く事に抵抗を感じ、また、同行を申し出て来たとはいえタバチにも準備する事があると考えた2人は、民宿に一回戻り、必要最低限の持ち合わせに整える意味も含め午後を選んだのだった。
「…あ! そんな所に…! 中に入っていても構わなかったんですよ!」
 ペットショップの扉が開き、やはり元気なタバチが外で待っていた2人に駆け寄ってきた。
「いえ、正規の客でもないのに何度も出入りしては迷惑でしょうし…」
 挨拶代わりの返事をナルミが述べ、合流した3人は早速ギルド方面へと歩き出す。
 少しばかり厚みのある雲が程良く日光を遮る涼しい昼だが、人の密集する場所という事もあってか、感覚的な暑苦しさがどこかにあるもので、この思いは少なくとも村や城兵と共に移動した馬車の中で感じるものではないものだ。
 ナルミとタバチが何やら話し込む中、チータスはチータスで相も変わらず周囲に見える様々な看板に目を移していた。
 何度も思った事だが看板は作り主の性格が表れているようで、その凝り方に比例した店内の拘りがあるようだった。
 看板が拘っていれば店内の作りにも拘りが備わっているようで、その取り扱う商品の内容のほとんどは理解できなくても見ていて楽しいものだ。
 その反面、簡素な看板であれば店内も簡素に思えるもので、様々な商品と表現するには程遠い品数が目に付くかに感じた。
 こうして比較すると、タバチとその家族が運営する『クルリダ=エイシェン 旅の友』とは、その用途こそチータスにはさっぱり理解出来ない物ばかりであるが、実はその手の人間からすれば充実している店だという事が伺える。
 考えてみれば看板の見栄えも華やかに思えた。文字だけの看板ではあるが、一文字一文字の色が異なるその描き方は見ていて楽しさを思わせる。
 そんな事を考えつつ看板に夢中になっているうちに…。
「ん? アレってもしかして、武器屋ってヤツ?」
 まだ少し離れているが、進行方向の店先に剣や斧などが飾られている店を発見するチータス。
「あ、そうですよ! 昨日は商品が飾られていなかったから見落としたんでしょうね!『ライフキラー』って言う武器屋なんです!」
 チータスの目線の先にある店に気付いたタバチが答える。
 なんでもネメス城下町には10店舗前後の武具店があるというが、北区域では冒険者通りに2ヶ所存在し、その内の1つが目の前の『ライフキラー』という店という話だ。
「せっかくですから入ってみますか? ギルドはまだランチタイムですから食事客が残っている頃ですよ」
「そうだねぇ…」
 タバチの案にチータスは考える。ネメスのあくびにはもしかするとアキが来ているかも知れないが、他の客が居るとなると落ち着いて話は出来ないだろう。もちろん、ボーセスとも。
 昨日のボーセスの話では、まだ自分が勇者志願という身分を明かす事は避けた方がいいともあり、どうせ話をするなら昨日のように関係者だけが存在する空間が好ましいだろう。…となると、客が居ない時間を狙うには少し時間を調整する必要がある。
 また、近い未来に手に付ける予感が濃厚な『クエスト』に関しても、戦闘が発生しないとは限らない。
いや、『冒険者』と名乗ったアキの慣れた戦闘スタイルを思い出せば、むしろ戦闘を避けられないのが『クエスト』なのかも知れない。チータス本人はさらさら戦う気なんか無いが、そうは思っても護身用の道具があるとないとでは大違いという事くらいはさすがに理解できる。
色々と考えると次第に面倒になってくるものだが、いずれ入り込む店なのであれば、せめてその内容だけでも見ておいて損は無いだろう。
「入っとこっか」
 実際問題、興味など引くわけもない店舗ではあるが、『念のため』という意味合いで入店を決めたチータスだった。


『装備屋ライフキラー』

 武器屋に足を踏み入れるなり、チータスもナルミも言葉を失った。
 これまでの人生の記憶で物騒な体験がほぼ皆無の2人にとって、意識的に武器を目にした事は当然のように無かった事だが、こうして当たり前のように商品として並べられている様々な刃物の数々を目にすると、これまでの無頓着さが異常にすら思えるものがあった。
「コレ、切られたら痛そう…」
 目に付いた剣をまじまじと眺めて当たり前の思いを口にするチータスは、そもそも『剣』の存在理由を考えた事が無い。
 これに対し『何を当たり前の事を…』とでも呆れた声でナルミが返事しそうだが、ナルミもまた、もともとの平和主義から『武器』に対して考えを持った事が無かったのだ。
 従って、実際の返事は『本当だね…』である。
 そんな2人の様子を背後から黙って見ているタバチは、初々しさ満載のやり取りを楽しんでいた。
 偶然とはいえ2人に出逢い、好意というよりも何となくこうして行動を共にしているわけだが、自分も数年前はこんな感じで店に足を踏み入れた事を思い出していたのだ。
 その時に一緒に来たのは両親だった。
もともと戦術知識を備えた親の助言は、さすがは親といったところだろうか、調べるまでもなく熟知した娘という事もあってか、あれよあれよと自分の標準装備を整えられた事をタバチは覚えていたのだ。
 残念なのは、タバチが2人に教えられる程の戦闘知識を備えておらず、同時に様々な武器に詳しくないため助言が出来ないところか。
 しかし、そういった事は時間が経てば自然と知識に入ってくるもので、今現在は扱った事の無い武器のノウハウよりも、まずは目で知る武器の形といったところだろう。
 全てはそこからと考えると、タバチはこれといって声を挟む事もなく、驚きと不安の声ばかりを上げる2人の背中を後から追う事に専念した。


《あとがき》

ミスはどんな内容であってもミスであり全てが結果論だが、抑えようと意識すれば限りなくゼロに近付くのがミスであって、それでも決してゼロになる事が無いのがミスでもある。

という、自分に言い訳乙。

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