先月末からニコニコ動画の菊地成孔のチャンネルに入会して、音楽理論講座のコンテンツを見ているのですが、今日見た動画は、目から鱗が落ちるような話だったので、書いておきます。
黒人音楽のブルースには、ブルーノートと呼ばれる音が入っている、というのは基本中の基本なんですが、このブルーノートが入ると、2つのキー(調)が同時に存在しているような状態になるとか。
専門用語では、デュアルキー、デュアルトニック、デュアルトニカ、などと言うそう。
具体例で説明すると、
例えば、Dメジャー(ニ長調)の場合、その音階(構成音)は以下の通り。
D E F# G A B C#
ブルースの場合、ブルーノート(3度と7度が半音下がった音)が加わるが、これを、3度・7度の音と置き換えると以下のようになる。
D E F G A B C
これは、Cメジャー(ハ長調)の構成音と全く同じなので、Cの音を強調すると、Cメジャーのように聴こえる。つまり、転調してないのに、全音下(長2度下)の長調に転調したかのような印象を生み出す。
菊地氏は、ビートルズの「I Am the Walrus」をテキストにして、上記の解説をしていたのですが、あの曲の摩訶不思議なテイストの一因は、ブルーノートにあるというわけです。ビートルズの中でも、ボクが特に好きな曲でもあります。
上記の話は、7〜8時間にわたる楽曲分析の一部なんですが、この曲の肝であると同時に、いまだに定説化されていないブルース理論の肝でもあるようです。ブルースというと、「レッド・ツェッペリンやローリング・ストーンズはブルースだ」というような表層的な理解ばかりであり、その本質や影響力の大きさは、まだ世間(音楽関係者)にきちんと認知されていないとのことです。
ちなみに、「I Am the Walrus」の場合、この他にも、ユニークなところがたくさんあるそうです。
● ギターが使われていない。
● 使われているコードは、すべて白鍵だけで、A B C D E F G の長3和音の7つ。
● メロディーの構成が、3小節×5=15小節になっている。
● 曲の最後は、A → G → F → E → D → C → B → A と、7小節単位の無限ループになっている。
――菊地氏の講座は、超初心者向けと、最上級者向けの2コースがあって、楽曲分析は後者にあたります。ボクは、楽器もできないし、楽譜も読めませんが、それでも8〜9割は理解できるので、音楽理論の知識だけは、アンバランスなくらいにあるみたいです。お酒は飲めないけど利き酒師、みたいなものか。(笑)
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