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2019年01月15日00:33

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平成26年最高裁判決の刑法175条1項頒布概念と間接正犯の実行の着手

平成26年最高裁判決の刑法175条1項頒布概念と間接正犯の実行の着手
                 弁護士 岡本 哲

間接正犯の実行の着手時期で判例秘書で検索するとでてきました。上告趣意書が引用されていないのでどうもよくわからないのですが、被利用者基準で被害者ダウンロード時を特定するよりは頒布概念をゆるやかにしたということでしょうか。
起訴状の書き方の問題もあるけど、利用者にのっかった起訴状や判決文だったんでしょうか。日時的には離隔があまりないのでそうそう問題にはなりにくそうですが。上告理由にはできそうですね。

わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管被告事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷決定/平成25年(あ)第510号
【判決日付】 平成26年11月25日
【判示事項】 1 刑法175条1項後段にいう「頒布」の意義
       2 顧客のダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用してわいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録,保存させる行為と刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の頒布
【判決要旨】 1 刑法175条1項後段にいう「頒布」とは,不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいう。
2 不特定の者である顧客によるダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用した送信により,わいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録,保存させることは,刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たる。

【参照条文】 刑法175−1後段
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集68巻9号1053頁
       判例タイムズ1410号79頁
       判例時報2251号112頁
      
【評釈論文】 法曹時報68巻10号315頁
      
       主   文
 本件上告を棄却する。
       理   由
 弁護人鶴田岬の上告趣意は,単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論に鑑み,職権により判断する。
 1 原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,(1)日本在住の被告人は,日本及びアメリカ合衆国在住の共犯者らとともに,日本国内で作成したわいせつな動画等のデータファイルをアメリカ合衆国在住の共犯者らの下に送り,同人らにおいて同国内に設置されたサーバコンピュータに同データファイルを記録,保存し,日本人を中心とした不特定かつ多数の顧客にインターネットを介した操作をさせて同データファイルをダウンロードさせる方法によって有料配信する日本語のウェブサイトを運営していたところ,平成23年7月及び同年12月,日本国内の顧客が同配信サイトを利用してわいせつな動画等のデータファイルをダウンロードして同国内に設置されたパーソナルコンピュータに記録,保存し,(2)被告人らは,平成24年5月,前記有料配信に備えてのバックアップ等のために,東京都内の事務所において,DVDやハードディスクにわいせつな動画等のデータファイルを保管したというのである。
 2 所論は,サーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへのデータの転送は,データをダウンロードして受信する顧客の行為によるものであって,被告人らの頒布行為に当たらず,また,被告人らの行為といえる前記配信サイトの開設,運用は日本国外でされているため,被告人らは,刑法1条1項にいう「日本国内において罪を犯した」者に当たらないから,被告人にわいせつ電磁的記録等送信頒布罪は成立せず,したがって,わいせつな動画等のデータファイルの保管も日本国内における頒布の目的でされたものとはいえないから,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪も成立しないという。
 3 そこで検討するに,刑法175条1項後段にいう「頒布」とは,不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいうと解される。
 そして,前記の事実関係によれば,被告人らが運営する前記配信サイトには,インターネットを介したダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能が備え付けられていたのであって,顧客による操作は被告人らが意図していた送信の契機となるものにすぎず,被告人らは,これに応じてサーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきである。したがって,不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても,その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によってわいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録,保存させることは,刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たる。
 また,前記の事実関係の下では,被告人らが,同項後段の罪を日本国内において犯した者に当たることも,同条2項所定の目的を有していたことも明らかである。
 したがって,被告人に対しわいせつ電磁的記録等送信頒布罪及びわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪の成立を認めた原判断は,正当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 大谷剛彦 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大橋正春 裁判官 木内道祥 
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