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2019年01月13日17:51

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宮田雪脚本『ルパン三世』覚書

90年代における「江戸しぐさ」の世界観形成に間接的な影響を与えた宮田雪さん(拙著『オカルト化する日本の教育』で言及)は第二期『ルパン三世』のシナリオをいくつも書いているけどだいたい世界観が壊れている。

「怪盗ねずみ小僧現わる」
(第24話・1978年3月20日)江戸時代の日本で開催された第一回国際泥棒選手権大会(ドロリンピック)の顛末をめぐる因縁話
「吸血鬼になったルパン」
(第34話・1078年5月29日)キリスト日本渡来説を下敷きにイエスキリストの双子の妹が吸血鬼だったという秘史もの
「ジンギスカンの埋蔵金」
(第37話・1978年6月19日)モンゴルへとジンギスカンの埋蔵金を探しに行ったらいつのまにか日本の平泉にたどり着いていた…元ネタは当然、成吉思汗義経説
「かぐや姫の宝を探せ」
(第41話1978年7月17日)謎の美女の依頼で探す宝はヒマラヤの雪男の涙、人魚の鱗、龍の肝…ルパン一味のUMA狩り
「クラシック泥棒と九官鳥」
(第70話1979年2月12日)ボニーとクライドの老ギャングカップルとルパン一味の出し抜きあい、つまりは『俺たちに明日はない』パロディ
「スケートボード殺人事件」
(第72話1979年2月26日)エラリー・クィーン(名探偵ではない)所蔵の宝石を狙うルパンと宝石を守るコロンボ警部の息子ボロンコとの知恵比べ
「星占いでルパンを逮捕」
(第77話・1979年4月2日)ルパンの行動を100%予測できるという占星術師の美女が登場。彼女が使うトリックは占星術以上にオカルト的かも
「謎の夜光仮面現わる」
(第86話・1979年6月4日)怪人夜光仮面は乱歩的なキャラクター、ICPO顧問としてミステリ作家コナン・ドリル登場
「怪奇鬼首島に女が消えた」
(第105話・1979年10月15日)平家の残党が瀬戸内海に秘密基地を作っているという伝奇ネタ
「迷画 最初の晩餐の秘密」
(第114話・1979年12月17日)聖母マリアの遺産の隠し場所を示す絵画を伝えるユダの子孫とルパン一味の対決
「108つの鐘は 鳴ったか」
(第116話・1979年12月31日)魏の曹操が七福神から手に入れたという黄金の宝船を狙うルパン一味、舞台はなぜか日本の京都
「フランケンシュタイン ルパンを襲う」
(第120話・1980年1月28日)15世紀にフランケンシュタイン博士が設立した赤い幽霊団が怪物フランケンシュタインをさしむける。怪物の弱点は賢者の石
「ルパン逮捕頂上作戦」
(第134話・1980年5月5日)
「ルパン逮捕ハイウェイ作戦」
(第151話・1980年9月8日)
南ア産ダイヤの価格操作を行う巨大組織が登場。内容的にはルパンと銭形の知恵比べ


以上、14作が宮田脚本。もっとも全155話の長期シリーズの上、宮田さんとは別の方向で世界観が壊れている脚本も多くて(なにせ浦沢さんがまともに見えるほど)通しで見ている時は意外と気にならなかったりする
「吸血鬼になったルパン」と「迷画 最初の晩餐の秘密」は同じ先品世界で同じシナリオライターが同じ題材(『ダ・ヴィンチ・コード』ブームに30年以上先立つキリスト秘史テーマ)で書いているのにまったく整合性がないというあたり、いかにも昭和。

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