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2019年01月11日11:13

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まど みちお 半端ないって

昨晩詩集など読んだのですが、『ふしぎなポケット』『ぞうさん』等の童謡で広く知られるまど みちおさん(享年104歳)は、満五歳の時に家庭の事情で祖父母の元に置き去りにされたらしい。台湾にいた家族に引き取られるまで四年間、家族と離れ離れ!!
最初に父親が台湾へ渡り、仕事が軌道に乗り始めたところで家族を呼び寄せたそうなんだけど、次男坊のまどさんだけ置き去り。

「みんなで行ってしまうと、親父が徳島の爺さんに送金しないかもしれない、と、いわば人質のように私が残されたんだろう、というんですねどね…」
それにしたって。
『目覚めたら、母、兄、妹の姿がなく、しーんと静まりかえっていたその日の朝のことを、まどはいまでもよく覚えている』
これきつい。トラウマですよ。
そんな寂しさと悲しさと切なさの中で、自分の楽しみを見つけて成長していったまどさんが作った詩はどれも易しい言葉で深く胸に届くわけですが、優しく温かい詩がある一方でヒヤリとするような怖さを含んだ詩もある。

『どうしてだろうと』
どうしてだろうと
おもうことがある

なんまん なんおくねん
こんなに すきとおる
ひのひかりの なかに いきてきて
こんなに すきとおる
くうきを すいつづけてきて
こんなに すきとおる
みずを のみつづけてきて

わたしたちは
そして わたしたちの することは
どうして
すきとおっては こないのだろうと…

これは こわい。
あとこれも。

『さかな』
さかなやさんが
さかなを うっているのを
さかなは しらない

にんげんが みんな
さかなを たべているのを
さかなは しらない

うみの さかなも
かわの さかなも
みんな しらない

こ わ い 。

どこまでも深く静かに対象を見つめ続けた人だからこその言葉、表現…
そして、幼いころから一人で好きなものを見つめて過ごす中で
培われていった感性は、実に優しい楽しい詩を生み出している。
 
『カニ』
カニがカニッとしているのは嬉しい
カニがそれを気づいてないらしいので
なおさら しみじみと…

ああ こんな私も私っとしていることで
だれかを喜ばせているのかもしれない
私がまるで気づかないでいるとき
いっそう しみじみと…

そう思うこともできるんかなあ
と私は私を胸あつくさせた

これ好きです。犬は犬っとすることで、猫は猫っとすることで、
肉は肉っとすることで、誰かを喜ばせているw
最後に一つ紹介させていただきます。

『ミカン』
つややかな 
つぎめひとつない きんのかわを
ひきむきながら おもう
― こんなに ぞんざいに
 ミカンを ひきむいてしまって…と

うつくしく 
キクのはなびらたちのように
身をよせあった ふくろの わを
ひきわりながら おもう
―こんなに らんぼうに
 ミカンを ひきわってしまって…と

ひとふくろ
口に ふくんで
そのはるかな あまずっぱさを
のみくだしながら おもう
―こんなに かんたんに
 ミカンを たべてしまって…と

色々自分なりに二次創作してみたくなる詩が多いなぁ…。

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