大阪。泉谷朝子は、ある写真展で一人の青年と知り合った。彼の名は麦(バク)。他人の目も思いも気にしない、とことんマイペースな奴だが、どこか憎めず愛おしい男だ。朝子は出会った瞬間から恋に落ち、身も心も麦に捧げる決意をする。が、ある日突然、麦はふらりと出かけたまま姿を消してしまう。朝子に「必ず迎えにくる」と言い残して…
2年後、朝子は東京の喫茶店で働いていた。ある日、コーヒーの出前で向かいの酒造会社を訪ねた際、大阪から赴任してきたばかりという社員・丸子亮平と出会い、驚愕する。彼は身なりも話し方も髪型も違うが、麦と瓜二つだったのだ。麦を忘れられないまま、亮平に惹かれていく朝子。亮平も朝子に関心を抱くようになり、やがて二人は周囲も羨むラブラブの恋人どうしへとなっていく。そして同棲して5年の月日が経った頃、思いもよらない事態が起きてしまい…
「寝ても覚めても」。公開は去年ですが、テアトル新宿でリバイバルしてまして、運良く本日鑑賞。
以下、ネタバレても覚めても。


東出昌大は飛び道具のような役者である。いや、ただの飛び道具ではなく、闇サイトで格安値で手に入れたトカレフみたいな存在だ。見た目は頼もしく安心感があるが、本当に弾が出るのかわからない。なんなら、引き金引く前に暴発する可能性すらある。ならば撃たずにケースに入れて、飾ってメでるだけにしよう。…実際、飾っておくだけでもまぁまぁ楽しいのだ。「overdrive」のように、誰がやっても良い役にお飾り的に立ってるだけでもサマにはなる。キチンと手入れしたら、グルーピングはダメダメだけどとりあえず弾は飛んだ、という「聖の青春」や「GONINサーガ」みたいな映画もあった。しかし大抵は撃ったらピンが折れてて弾が出ないってな役ばかりだ。「寄生獣」や「散歩する侵略者」あたりがその系統。そして、見事に大暴発した「ヒーローマニア」という自爆案件もある。
ワケわからん喩えでしたが、まぁつまり、東出昌大が出ているというだけで、観るのがかなりスリリングなわけです。
さて本作。
東出昌大の代表作と呼んで間違いない一本でしょう。トカレフ、快調に作動してバシバシ的に当たってる、そんな感じ。正しい東出昌大の使用法がこれを見ればよく判るという作品でした。
イケメンだけど不気味。演技が下手なのか自然なのか読めない。笑顔を浮かべて何を考えているのかわからない。それが東出昌大のイメージなんですが、そんなイメージを具現化したキャラを、二人演じているんです。二役なんですね。お腹いっぱいですよ。
ヒロインの朝子が、これまた女版の東出昌大で、何考えてるんだか判りそうで解らないという複雑かつ直情かつ内省キャラ。可愛い&ウザいの二乗みたいな子なので、観ていて飽きませんでした。
東出昌大を卒論のテーマに選んだ人にはマストな映画。東出昌大に関心がない方には、不条理メロドラマとして、どうぞお楽しみください。俺は結構好きだなぁ。
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