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2019年01月04日09:47

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12月の読書記録

とりあえず11月よりは読めたな。今年もなるべく本を読むようにしよう。

2018年12月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
読んだページ数:5497ページ
ナイス数:141ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■チボー家の人々 (2) (白水Uブックス (39))
一時は永遠と思われた愛や友情も実はこの上なく儚い。また儚いと思われた物に永遠的な何かがある…ついそんなことを思わされた。恐らく反抗の限りを尽くしているのだろうと想像していた少年園での生活は無気力で受身的なものであったことに驚き。そして、その実態を隠蔽するかのような園長フェームの快活さが何とも言えず不気味。少年園から戻ってきた時、チボー氏がジャックに見せた暖かい対応にはちょっとホロリときた。そして、本書のクライマックスともいうべき、フォンタナン家での描写は、人間の善悪は単純に割り切れないことを教える。
読了日:12月31日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/537941

■チボー家の人々 (1) (白水Uブックス (38))
思春期特有のあのヒリヒリする感じ。無軌道で、無分別で純粋。人に理解されたいと渇望しながら、同時に人からの理解を頑なに拒んでしまうという矛盾した思い…自分自身の過去と被る所は皆無なのにも関わらず、つい嘗ての自分を重ねて読み進めることに。それと同時にカトリックとプロテスタントの敵対関係や、フランスのブルジョア社会のあり方が垣間見られるのが興味深い。とりわけこの当時カトリックで禁書とされる書物の幾つかが挙げられているのは、ちょっとびっくり。こんな本まで読んではいけないとは、とてもこの時代では生きていけないな…
読了日:12月30日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/537939

■聖母マリヤ (岩波新書)
興味深い内容ではあったけれど、なぜか今一つのめりこめなかったというのが、正直なところ。ただ、キリスト教信仰におけるマリアの存在の大きさを再認識させられたが。いみじくも巻末でルター派がマリア信仰を捨てたことに言及しているが、マリア信仰が培ってきた豊穣な霊性は決して無視できないもので、それを捨ててしまったことで、プロテスタントがどれだけ大事な物を損なってきたかということは、改めて問題にされてしかるべきではないか?という気がする。正史には登場しないマリアの実像は、深い信仰によってこそ、その姿を露わにするのかも。
読了日:12月29日 著者:植田 重雄
https://bookmeter.com/books/191127

■勉強の哲学 来たるべきバカのために
若干眉唾なものを感じつつ手にとってみたが、想定外に刺激的で示唆に富む一冊であった。また、本書は単なる勉学のためのノウハウ本ではなく、そうとは明確に書かれてはいないが、昨今の反知性主義や右傾化への警鐘となっているようにも思える。自分が堅固と信じていた立場や思想が実は危ういものである可能性を考慮に入れる。そしてスタンスから様々な知識を吸収して、複眼的な物の見方考え方を身につけながら、自分の立場を自己批判的に確立していく…こういうプロセスが勉強するということではないか?と。さしあたり、できることからやるか?
読了日:12月28日 著者:千葉 雅也
https://bookmeter.com/books/11606771

■つまり、読書は冒険だ。 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義5
大学から文学部をなくすことがどれだけ愚かで、世界的に見て恥ずかしいことか?ということを改めて認識。これだけ日本の文学作品が海外で読まれ、評価され、研究されているのに、当の日本でそれが真っ当に扱われなくなるとしたら…それはともかくとして、それなりの読書歴があると思っていても、それがどれだけごく一部のものであったかを今更ながらに痛感。それは自分の無知を認識するだけでなく、新たな興味への開眼と知的興奮に連なっているのが、本シリーズの魅力。これで終わるのは勿体ないな…時間をおいてまた新たな展開を切に希望する。
読了日:12月22日 著者:沼野 充義
https://bookmeter.com/books/11617052

■読書と社会科学 (岩波新書)
口述という形をとってはいるが、かなり読み応えのある一冊。読むことそのものが目的化した読書から一歩踏み込んだ本当に身につく読書とは?という問いに示唆を与えてくれる。個人的には読書会の難しさについて述べた第一部がとりわけ興味深かったか。特に読書会においては、話し上手より聞き上手であることが重要であるという指摘は示唆に富む。また、経済学をどう学ぶかについて語った第三部は門外漢にとってはややとっつきにくい内容。だが、じっくり読んでいくと、経済学というだけではなく、社会科学一般を学ぶ上での視座が見えて来る。
読了日:12月20日 著者:内田 義彦
https://bookmeter.com/books/499146

■愛読の方法 (ちくま新書)
予想外に読み応えのある一冊。それと同時につい多読に走りがちな自分の読書傾向を省みることを余儀なくされた。単なる楽しみのための読書というのも当然あってしかるべきだとは思うが、ここで説かれる古典と対峙する読書の価値とその実践の困難さには頭を垂れる他はない。文字の価値を疑った師ソクラテスの言葉をあえて文字に残さねばならなかったプラトンの複雑な立場は、こうやってネット上でいくらでも文字を書き綴ることができる未だこそ考え直さねばならないのでは?また、デカルトの超人的な天才ぶりと、それに対峙したアランも印象的だった。
読了日:12月20日 著者:前田 英樹
https://bookmeter.com/books/13116504

■生きる場の哲学――共感からの出発 (岩波新書)
本書が出て早40年近く…ここで幾度となく終末観が語られているのは、一笑にふすべきか、それとも現代への警鐘と捉えるべきか?ついそんなことを考えてしまう。市民運動が下火になり、その行動して否と応えることが常識とさえなりつつある昨今において、声にならない声を聞き取ろうとすることの意味を本書は現代に生きる我々に問いかけているのではないか?マルクス主義者でありながら、宗教への共感も隠さない著者のスタンスは、非常に微妙ではあるが、示唆に富むものである。あえて論文の体裁を取らないのが、著者なりの哲学的表明なのかも?
読了日:12月17日 著者:花崎 皋平
https://bookmeter.com/books/173764

■コルセット
藤沢という同名異人を軸にして綴られるオムニバス形式の短編集。一見平穏に映る家庭に蠢く性愛を巡る様々な思いや葛藤、矛盾…そこに更に因習や、しがらみ、力学が働き、一層作品を起伏に富んだものにする。著者後書きにもあるように収録された四篇共「わたし」という一人称で綴られているが、著者自ら「三人称を感じる」と述べているのが妙。そこは各作品で重複する登場人物の繋がりを一つ一つ検証して、その意図を確かめるほかないのかも?二百頁強という比較的小部の作品だが、思いの外しかけが多く、その時によって違った読み方ができるかも…
読了日:12月16日 著者:姫野 カオルコ
https://bookmeter.com/books/452309

■リアル・シンデレラ
これがシンデレラ?と突っ込みたくなるが、主人公泉のひたすら無私で献身的で私利私欲な性格に憧憬と苛立ちが相まった不思議な感情に捉われた。恐らく彼女の周囲にいた人間も多かれ少なかれ似たような感情を抱いたのではないだろうか?シンデレラというからには、最後に大逆転ともいうべき、王子様的な男性が現れて…という結末を予想していたのだけれど、いくら読み進めてもそういう展開にはならず、想定外のラストに「あれ?」でも、それがどこか浮世離れした彼女の最後に相応しいのかも?個人的にはやはり小口と結ばれて欲しかったけど…
読了日:12月13日 著者:姫野 カオルコ
https://bookmeter.com/books/497656

■新・学問のすすめ 脳を鍛える神学1000本ノック (文春文庫)
概ね興味深く読めたのだけれど、注意深く読まないと話が細切れに思えて、断片的な知識しか頭に残らなくなるので要注意。恐らく、本書を一度ざっと読み通して、本書で紹介された本に当たってみた後で、改めて本書に帰って知識を整理するという読み方が理想的なのかも?個人的に驚いたのが、講義に出席した学生のレベルの高さ。佐藤人気に触発されたのだろうけれど、よく勉強しているな…と。後、いつになくカトリックに対して辛辣なのが気になる。確かに問題があるのはわかるけれど、カトリックの霊性についてもう少し理解を示してもいいのでは?
読了日:12月12日 著者:佐藤 優
https://bookmeter.com/books/12880859

■風は西から
ここまで人を幸福にしない会社社会って一体何なのだろう?理想を謳う会社の理念とは裏腹に、社員は駒扱い、出来る限り搾り取って後はポイ捨て。問題が起こればひたすら詭弁を弄し逃げるだけ…フィクションとはいえ、似たような事情はどこの企業にもあるのだろう。外から見れば、理不尽極まりないことでも、中にいればそれが普通に思えてくる…そうなるまでの過程を思うと、人間ってそして組織って怖いな…と改めて認識する。そして、この作品のハッピーエンドとは反対に国そのものがブラック化している現状に暗澹たる気持ちにならずにいられない…
読了日:12月10日 著者:村山 由佳
https://bookmeter.com/books/12713472

■ツ、イ、ラ、ク
中学生男子というのは、かくも馬鹿で、無神経で、汚らしい生き物だったのか…読み勧めていくうちに、様々な黒歴史的エピソードが思い出されて、つい恥ずかしさに身悶えしてしまった(笑)。それはともかくとして、本書で印象的だったのは、主人公である筈の準子の人物像が今一つつかめないこと。ルックスも頭も平均以上であるのは分かるのだが、どこかあえて具体的描写を避けているか?というさえ思えてくる。それにしても、こういう変に早熟した女子生徒というのは、他の女子からするとかなり嫌な存在なのだろうな…結末はちょっと強引だったかな?
読了日:12月09日 著者:姫野 カオルコ
https://bookmeter.com/books/464671

■結婚しよう (新潮文庫)
男とはかくも身勝手で子供じみてしょうもない生き物なのか?人妻とのダブル不倫。その事情が妻に知られることになっても、双方とセックスを続けるという優柔不断さ。こうなると殆どどっちもどっちだな。ある意味開けっぴろげでいいとも言えるけれど、大方の日本人には理解できない感覚にちがいない。それから個人的に呆れ果てたのが、何度も啓示を受けたと言いながら、それを覆すこと。啓示ってそんなに軽いものだったのか?でもそんな茶番すれすれのストーリーが妙に愛おしく、二組のダメ夫婦もなぜか憎めない。特にリチャードが意外にいい奴。
読了日:12月08日 著者:岩元 巌,ジョン アップダイク,John Updike
https://bookmeter.com/books/66094

■桃
中学校教師とその女子生徒との許されざる性愛を軸にしたオムニバス短編集。中学という多感で猥雑で、ある意味とてつもなく鈍感で無知な時代が否応無く思い出され、場面によっては身悶えするような既視感を覚えた程(笑)。ただ、本書でもとりわけ異彩を放っている「世帯主が〜」は主人公の醜悪さはともかくとして、多くの中年男性がどうしても纏わずにはいられないある種の悲しさや報われなさについみにつまされることに。それから一番長い「青痣(しみ)」は話の流れが若干つかみにくくて、読了するのがしんどかった。『ツイラク』も読まねば。
読了日:12月04日 著者:姫野 カオルコ
https://bookmeter.com/books/452307

■池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」
確かにかなり分かりやすく『資本論』を解説した良書だといえるが、果たして高校時代の自分が本書を読み通せたか?と問われると、正直応えは微妙(笑)。これは読解力ではなく、社会経験によるものでもあるけれど。それと個人的に驚かされたのが、引用されている『資本論』の文体の晦渋さ。以前読んだ『資本論』では、逆にその文章の巧みさに驚いたのだけれど…そして、何より問題なのは、『資本論』から140年の月日を経ても、『資本論』を超える資本の分析が出てこず、とどまるところを知らない資本の動きに対する対策が生まれていないこと。
読了日:12月04日 著者:池上 彰
https://bookmeter.com/books/503570

■近所の犬
長らく生まれ故郷を離れ、独り身のまま五十台を迎える…その寄る辺ない生活の中で、多少なりとも心に灯りをともしてくれる犬猫。何とも身につまされる。ただ、著者の犬への執着心は聊か度を越していてて、正直引いてしまうところがあるけれど(笑)。後、気になるのが何かにつけ自分を卑下するところ。これもまた自分に当てはまるところでもあるのだが、つい「そこまで言わなくても…」といいたくなる。いみじくも巻末で「自分を嫌いなさい」という教育を両親から受けたと告白しているくらいだから、その自己否定の傾向は相当に根深いのだろう。
読了日:12月03日 著者:姫野 カオルコ
https://bookmeter.com/books/8289130

■昭和の犬
先に読んだ『謎の毒親』の別ヴァージョンと言える作品。『謎の〜』ではひたすら理不尽で怖い存在だった主人公の父親が、本作ではなぜか犬には懐かれるという意外な一面を見せるのが、妙味と言えるか。それと巻末で主人公が「自分の人生もそれ程捨てたものではない」という境地に至るのは、読者の心をちょっとだけ暖かくさせる。ただ、個人的にはそこまですんなりと自分の人生を肯定できるものかな?という思いも抱いたが。こうやって自分の中にある毒素を小説にすることによって自己浄化できるものなのか?後、文体が橋本治に似ているのが印象的。
読了日:12月02日 著者:姫野 カオルコ
https://bookmeter.com/books/7263032


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