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2019年01月03日01:51

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過去に関心がないおばあちゃんの映画

先日ヴィヴィアンウエストウッドのドキュメンタリー映画、最強のエレガンスを観て来ました。
日記を書くのも随分と久しぶりですわ。

正直ヴィヴィアンウエストウッドのことはピストルズの衣装を手掛けていたデザイナーさんだった
ぐらいの浅い知識しかないので、デザインの専門用語が飛び交っている映画だったらちんぷん
かんぷんだろうしと思ったのですが、そうではなくて彼女の思想とか生き方に付いて触れる
映画でした。

世間ではどうもピストルズを踏み台にして成り上がったデザイナーみたいに思われてるような
所が一部にありますが、この映画を観るとそれが如何に事実と異なるかよくわかりました。
ピストルズはジョニー、マルコム、このヴィヴィアンに曲を創ったグレンなど才能に溢れる
人達が偶然寄り集まったユニットで、音楽が好きな若者がバンドとして結束していたのでは
ないのがこの映画を観ると見えて来ます。


今現在77歳になるおばあちゃんなんですが、ピストルズのジョニーと一緒で労働者階級出身
で貧しい地区での生い立ちだったのも関係してるせいか口が悪く映画で話している最中の
ほとんどが悪態付いてるんですよ(笑)

しかし真面目で非常に聡明で自分の信念を絶対に曲げない強さがある方で、ドキュメンタリー
映画ですからインタビュー形式で話しが進むんですけど、最初から過去には興味がないの!
さっさと終わらせましょうと一発かますんですね。

これボクシングとか格闘技の選手が試合前に大口叩いて注目を浴びるあれと同じかと思いきや
映画を観てるとそうではなく本当に前しか向いてない人で、様々な逆境をすべて自分の力で
一つ一つ変えていく非常にパワフルな女性でエリザベス女王にデイムの称号までもらっていて
さえもそれにさほど興味もないらしく新たなデザインの洋服を創ることだけではなく環境問題に
まで取り組みこの人いつ寝てるんだ?と思いながらスクリーンを観てました。


女王にデイムの称号をもらってデザイン界の女王に君臨しているはずなのに、自分の服を
売るお店を拡大することよりも細部にまで自分まの意向が行き渡るようにファッションショー
ですら本番中に自分がデザインしていないスタッフが手掛けた部分が気に入らないとその服
をショーで披露するのも急遽取りやめたりと自分なりのやり方を終始貫いているんですね。


こうやって書くとコントロールフリークの我儘なおばあちゃんのように思えるかもしれませんが
そうではなく自分の会社を大きくすることしか関心がない大企業とは真逆で、ロンドンの自分の
お店から帰宅する際だってこんな世界中で名が知れてる超有名人ですから、ぶっちゃけ
お抱えの運転手が運転するロールスロイスが入り口に止まりドアを開けてくれたってまったく
不思議じゃないのに、何と彼女はこれネタバレになるから書いちゃ拙いかもしれないですが
自分が運転する普通の自転車に乗って帰るんですよ。80に近い年齢の世界的な成功者の方が
ですよ!あれ観て正直ぶっ飛びましたね。地に足が付いてるし浮かれた所がまったくなく
謙虚で誠実に生きてるんですね。

僕はデザインには疎い素人なので、彼女のデザインが今でも第一線でも価値のあるデザイン
の洋服を創れているのかまではわかりませんが、女王様から称号までもらったデザイナーが
天狗にもならずに奢らず何事も人任せにせず自分流を貫き続けるのって相当体力も精神力も
ないと出来ないと思うんですよ。

僕も自分が溺愛していたアーティストが歳を追うごとにかつての力を失い失速していく姿を
観て天狗になっちゃったんじゃないの?と内心は軽蔑したりしてた部分はあったのですが
凡人の自分でも体力も気力も衰えが感じられる若いとは言えない年齢になって来ると
さすがに若い時のまま突っ走り続けたり理想を追い求めることが非常に困難であることが
アホはアホなりにわかって来たんですが、彼女は自身が追い求める理想に向かって邁進
し続けていた姿を画面を通して見せつけられたので、こういう自分が進むべき前しか向いて
ない人って世の中にいるんだなあと感心させられましたよ。もう眩しかったの一言です。

ぐうの音も出ないとはこういう時使う言葉ですな。過去には興味ないと、かましてたのも彼女に
取っては当然のことを言ってるだけで映画的に面白いこと言おうとかを意図してのことじゃ
ないのがよくわかりました。

正真正銘の純度100%のパンクスがスクリーンに映っておりました。モヒカンにして怒鳴り
散らしているその辺の若造では微塵も歯が立たない破天荒でカッケーおばあちゃんが
そこには映ってました♪
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