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2018年11月28日00:58

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ドイツの学校事情について(あくまでも僕が知っている限りですが)

今日は、題名のとおりドイツの学校事情について、僕が知る限りのことを書きます。いつものように長文ですが、興味のある人は最後まで読んでみてください。(苦笑)


日本の学校には、校内暴力、学級崩壊、いじめなどの諸問題があるが、ドイツの公立学校ではそのような諸問題がそんなに深刻ではないと言われている。

ドイツの学校制度というのは、僕が知る限りでは、グルンドシューレ(日本の小学校)、ギムナジウム(日本の普通科の中学と高校。ドイツでは中学、高校一貫教育)に大きく分けられる。ギムナジウム以外にも、レアルシューレ(日本の実業学校)、ハウプトシューレ(成績の悪い生徒が通う学校)がある。ハウプトシューレに通うことになると、大学進学はまず不可能になる。

だが、ドイツは入学は簡単で卒業試験が難しいから、ハウプトシューレに通っていても、成績がいいとギムナジウムに編入されたり、その逆ということもあるという。また、実業学校のレアルシューレに一度入っても、
「やはり、大学進学を目指すギムナジウムの方が自分には向いていると思う」
などと学校に申請すると、ギムナジウムに編入されることもあるという。日本だと入学試験が難しいので、高校以上では、その高校が自分に向いていないと思っても、簡単に他の高校に転校することなど出来ないが、卒業試験が難しいドイツではこのような利点がある。

そして、ドイツの小学校、中学校、高校というのはほとんどが公立であり、日本のように受験対策を集中的にする私立学校というのはほとんどない。全寮制の学費が高い私立学校も何校かあるけど、あまり人気がない。僕の2人のドイツ人の友達は、まだ30代なのに大学の准教授と教授だが、有名進学校から大学に進学したのではないという。彼らが言うには、
「ドイツでは日本とは違い、進学校、塾、予備校に通って大学に入学する生徒はほとんどいないよ。公立のギムナジウムの中に、大学進学コースとそれ以外のコースがあって、オレは大学進学コースに進んで大学に行ったんだよ。俺たちはけっこう成績が良かったから18才でアビチュア(高卒の証明で大学入学資格)に受かったけど、あまり勉強しない連中は20才を越えてアビチュアに受かる」
とのことだ。

そして、荒れる公立中学校ということが日本では大問題になっているが、ドイツのギムナジウムはほとんどが公立なのに、校内暴力、いじめ自殺などの問題は日本ほど深刻ではない。もちろん、全くないのではないだろうが。

ドイツでは勉強に嫌気が差した不良生徒というのは、学校に来なくなり、不良仲間と一緒に遊び始める。家出をして仲間と一緒にバイク、電車などに乗ってヨーロッパ各地を転々と旅をしている連中もいる。全く奇妙なことに、親も先生もこういう家出少年、少女を注意することは滅多にない。ヨーロッパ人は、
「ギムナジウムは22才ぐらいまでに卒業すればいい。どんな人間も勉強に嫌気が差し、人生に迷うことはあるから。35才ぐらいまでに経済的に安定して、家庭を持ってくれればそれでいい。それに、ギムナジウム、大学を出ていなくても幸せな人生を送っている人はたくさんいるから、本人が幸せならそれでいいと思う」
というふうに考えている人が多いという。日本とは全く違う、徹底的な個人主義である。

だから、日本の金八先生のように、学校に来ない不良生徒の家を担任の先生が家庭訪問して、
「3年B組の生徒みんなで頑張ろう!人生を捨てるな!みんなと一緒に卒業しよう!」
などと涙ながらに生徒に訴える先生はあまりもいないようだ。なぜなら、学校に来るのも来ないのもその生徒の“自由”であり、そして、同級生と一緒に卒業するか、自分だけ落第して留年するかというのも、その生徒の“自由”という考えらしい。日本のような村社会と違い、ドイツでは高校は18才で卒業しないと世間体が悪いということはないから、22才くらいでやっと高校卒業試験に合格する人もかなりいる。だから、20才なのにまだ実業学校の生徒でも全く焦ったりしてない。

ヨーロッパの先生だったら、無断欠席が続いている不良生徒がいても、
「A君はもう15才だろう。学校に来るか来ないかは本人の自由だよ。先生はそこまで責任は持てないね。単位が足りなくて留年しても、それはA君が勝手に決めたことだから。まあ、ギムナジウムを中退したとしても、他の進路もあるから、自分でよくよく考えるんだね」
などと突き放す先生が多いらしい。親の方も、
「自分のペースで勉強すればいいだろ。それに、勉強して大学とか上の学校に行かなくても生活できる道はいくらでもある」
という感じで子供を追い詰めることはしない。

僕が思うに、結局、日本の学校というのは、落ちこぼれ生徒を作らないためにあるのだと思う。勉強がいやになった不良生徒が落ちこぼれるか落ちこぼれないのかは、その生徒の自由意志なのだというのがヨーロッパ的な発想らしい。もちろん、日本では、学業からドロップアウトした少年たちに学校以外の行き場所がない、入学試験が難しいので自分に合っていない学校、大学の学部に入ってしまっても簡単に転校、学部変更が出来ないという制度にも大問題はある。

しかし、学校に来ては先生と他の生徒に暴力を振るったり、授業の妨害をしたり、弱い者いじめをするような生徒などは学校に来ても迷惑なだけだから、
「そんなことをするのなら学校に来なくてもいい。他の生徒たちからも、“勉強に集中出来ない”と苦情が出ているから。それとも、不良生徒だけが通う学校(少年院みたいな学校)があるから、そこに転校してくれないか」
などという通達を、公立学校の方から生徒とその親に出してもいいのではないか?僕が知る限りではドイツではそのようにしているという。


最後に、先に書いた大学准教授と教授のドイツ人の友達だが、日本のエリートに見られるような傲慢な態度はあまり見られない。
「オレは、有名大学にほぼ全生徒が進学する○○高校を優秀な成績で卒業して、××大学に進んだんだ。学生の頃は、毎日、勉強が大変だったから、睡眠時間4時間ぐらいだったんだ。まあ、そのお陰で弁護士試験にも一回で合格したけどね。オレが学生だった頃に比べると、今の学生は本当に勉強していないね。情けないよ」
などという、嫌味なことも言わないし、
「有名進学校から有名大学に進んで、30代で大学教授なんて、本当に優秀なんですね」
などと周りの人から言われて、喜んで笑っているということもあまりない。

ヨーロッパ人のエリートがこのように謙虚なのは、プライベートで友達と遊んでいる時間に、仕事、勉強の話などをすると、場の空気が白けてしまうということをよく知っているからだろう。週末、休暇で遊んでいる時は、友達、知人同士はファーストネームで呼び合って、勉強、仕事の悩み事は忘れて楽しむのが、ヨーロッパ流の遊び方のようだ。

あと、ドイツ、ポーランドなどの大きな本屋を何軒か見たが、日本でよく売られているような中学生、高校生向けの入学試験のためのマニュアルとなる学習参考書、「〇〇大学の過去の入試問題集」、「有名進学塾の先生たちが一押しの参考書」などという大学入試のための参考書は見たことがない。まあ、向こうの大学は在学中に自分でどれだけ論文を書いたか、どれだけ実習をしたかで卒業できるかが決まるから、日本のような学習参考書を作っても全く意味がないのだろうけど。

PS;このドイツの学校に関する記事は、僕が知っている限りのことを書いただけです。実際にヨーロッパに長年住んだことがあり、ヨーロッパの公立学校に通ったことがある人は、全く違う経験をされているかもしれません。もしそういう人がいたら、遠慮せずに意見を書いてください。(苦笑)

こちらのサイトで日本とドイツの大学生活を詳しく比較しています。

https://tobitate-german.com/jp-uni_vs_ger-uni


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