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2018年11月11日10:00

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日曜の朝は、芸術の朝。

名曲アルバム』という番組で「青春時代のモーツァルト」という特集をしていた。15分足らずの番組で、しかし、どれもなかなか良い曲だった。演奏家の方々に訊くと東京フィルなどは聴くに堪えないと言っておられるが、さほど(私の)耳に(は)差し障りがあるとは思えなかった。
 それは同時に映し出される映像の力によるものかも知れない。

1曲目は、交響曲25番ト短調、モーツァルト17歳の時の曲。
 ちょうど私が当時親しかった人に誘われるままに訪れた季節のサルツブルクで、その人は、私よりも年上だったが、リセの教師で、諸事情がありミュンヘンに来ていた人である。
 そのときに通った町の空気の香りなどが蘇ってくる。
そしてあの凍てつくような川。そして聖堂。

2曲目は、モーツァルト
がサルツブルクを去ってやってきた芸術の都ミュンヒェンで再会したと言う友人に捧げたオーボエ四重奏。
 こちらも影像は、ミュンヒェン市街地。私が長く住み、今でもよく訪ねていく町である。
当時私のアパートは、大学のすぐ近くにあり、ボヘミアンの集う地域としても知られていた。
 そこでのいろいろな出会いを思い出す。
 大学の学食で知り合った三菱の重役の長男だという世界一周旅行中の男。
彼は妙に調子の良い男で、父親からは灯台に行けない都下なり手厳しく罵られていたようで、不思議な人格になっていた。その彼に誘われて塩野城郭の町(?)の外れにあるモダーンなアパートに住んでいたアベックの家にしばらく居候をしたことがある。
 その不思議な二人、親切だったけれど、日本語、英語、ドイツ語、朝鮮語、中国語などが生まれついての言葉であるように操る秀才達で、芸術への造詣も深かった。しかし、この二人は私たちがミュンヘンに戻った夜に自宅で何者かに殺され、その翌朝、惨殺体で発見された。
 葬儀の場所さえ知らされることはなかった。

 そして、第三番目の映像クリップは、ギリシャ文明発祥の地の一つとされるクレタの影像。

 まだ若かった私は、数年に及ぶ世界放浪の旅の時夫と立ち寄った、当時のユーレイルパス、インターレイル・パスではブリンディシかユーゴスラビアから入るギリシャは、もっともアジアに近いところだった。(Eurailでは陸路は無理だったかも知れない。当時は。)

 雨が降ることのないギリシャで星空や広がる海を見つめながら、岩の上で、カフェで、一泊数百円の安宿の屋上で語り合って親しくなった友人達。
 その多くがなぜか、南ドイツの思索的な同年代、あるいややや若い男達で、彼ら一人一人がそれぞれの理由で私を酷く気に入ってくれて、是非自分の家に来てくれ、何ヶ月でも居てくれて良いから、ずっと語り尽くそう!と誘われるままに、私は、その後、南ドイツに向かったのだったっけ。

 それぞれがそれぞれの州を代表する秀才達で、そう、先日の医学番組では、そのときに大学の学生寮の彼の部屋に彼の不在中ずっと泊めてくれた医大生がちらっと顔と名前が紹介されていて、驚いた。
 もっともこの宿は、隣室のカップルの轟音が凄まじく、私は帰宅時間を遅くして、ベルリンの町を飲み歩いた者だったっけ。いや、あのころは、アジアの茶が流行っていて、東伯林の茶店で以後を現地の青年達と撃っていたのだったっけ。確かに、彼は、ベルリン大学の医学部でも知られたテンサイだった。

 あ、そういえば、あのとき、ローマでも会って語り合った男は、その後、ベルリンの医大生になり(東大理科三類のように超難関)、その秀才ぶりは有名だった。その後、いろいろありご母堂(スウェーデン王家の末裔)からの依頼もあり、いろいろとあったが、つい先だってベルリンに行ったときに何気なく新聞を見ていて、彼の訃報を見たのだった。そのときもまたカフェで会おうと思っていただけに、周りの景色が一瞬、完全に静止した。誠実な男(ではないかもしれないが)だった。

 などといろいろな記憶が蘇ってくる。

 彼らの家に行くと、まず、濃厚なコーヒーが出てくる。これがまた美味しい。
そして、夜は、無造作に置かれたワインをひょいと取って、これを飲む。

 と言うわけで、今朝は、先日戴いたワインと先日戴いた缶詰のオリーブで、昔の思い出に耽る。

 テレビでは、家光の茶器が大写しにされている。
大叔父とその親戚は、「最後の殿様」だと言っていた。(先日、テレビで最後の殿様の特集があったが、彼のことではない。)
 その武家の親類達が語っていたことがいろいろに思い出される茶器。

 芸大で陶芸を教えていた大叔父もこの家に連なる人だったから、彼の焼く茶器にも似ている。あ、しまった!録画が切れていた。残念。
 五島美術館に行って、見てみるか。ごーとーけーたの収集品か。

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