《階段 03-4》
お遊戯の停電
幼稚園児の運動会となると、メインはお遊戯と相場が決まっているが、俺の通っていた幼稚園もやっぱりお遊戯がメイン。教室の中、みんなで輪になってお遊戯の練習をしていたわけだが、その日は台風だったのか、とにかく外は荒れ狂っていた覚えがある。
雷こそ無かった気がするが、日中とは思えない暗さに足して雨がザバザバ。風がビュービューと聞こえ、幼稚園向こう側の樹木がブオンブオンと揺れていた。
当時の主な音楽装置といえばラジカセ。時代の風に流されてしまったカセットテープを使用し、なんだかの音楽に乗ってちょこまかと踊る。
…と、そんな中、全員でジャンプしてそのまましゃがみ、1〜2秒後に再び高くジャンプする場面があったのだが、今と変わらぬ真面目な俺は、外の光景に目を奪われてしまい、しゃがんだ状態で『すごい雨だなぁ…』とか、ぼんやりと見入ってしまった。
そんな中の、俺を除いた全員の大ジャンプ!
その時、事件は発生した…。
俺を除いた全員が空中に舞う間に、突然の停電。
当然、ラジカセも機能を停止し、音楽が途絶える。
教室は闇と化し、ただでさえ暗い、悪天候の中に存在する僅かな光だけが差し込む事で、辛うじて『人が居る』と認識できる教室を醸し出した。これが映画の世界なら確実にモンスターが壁を突き破って出現し、室内がパニックになるシーンだ。
お遊戯が中断されてざわつく『すみれ組(クラス名)』。唐突の出来事に、しゃがんだままの状態で硬直する俺。
そして、全てを見ていた先生が言った。
『あ〜あ、てぃーちゃんが飛ばなかったから…』
薄暗い中のささやかな冗談は、外から漏れ聞こえる猛烈な悪天候の『音』によって恐怖を演出する。
僅かな時間、黙りこむ園児…。
その後、誰かが言った。
「そうだよ、あそこはみんなで飛ぶところだったんだよ!」
「なんでこうちゃん、飛ばなかったの!?」
「音楽止まっちゃったじゃんか!」
…なんか知らんが、停電は俺が呼び起こした事になっていた…。集団って怖いなぁ。
もちろん、当時の俺は俺で悠長な思いに浸ってられない。
必至の抵抗!
「ごめんなさ〜〜〜〜いっ!!」
…などある筈なく、すんなり受け入れる。人生稀に見る大泣き。
そして理解。
そうか、みんなと一緒の事をちゃんとしないと、電気がぜんぶ消えちゃうんだな!
一つ賢くなった。確実に…。
もちろん、以後は窓の外の天候に気を取られる事も無く、たくさん頑張った自分が居た。…らいいなぁ。
《ちー+! 33》
第一章 勇者志願見習い(笑)2-18
【ネメス南部大平原】
※※ 王宮騎士団第三部隊特殊任務専行隊 第三回 緊急会議 ※※
特別ゲスト 勇者志願(仮)チータス・レジエン
道中の休憩時間。
部隊はゲストのチータスを交え、スケク経由ではあったものの、チータス本人の申し出を参考に今後の方針を検討していた。
今回の内容は、
『無視できない仕来たりと、無視できないゲストの願い』
について。
チー「…なんかさー、最近この流れ多くない?」
ラウ「いけません。いきなり本題から逸れる作者事情を交えた話など」
スケ「でも実際問題、毎日3時間足らずの間にアレコレしてると考える暇は無さそうですね」
アッ「考えはどんな時でも溢れているらしいですよ。問題は書き込む時間かと」
ダー「会話進行って楽だよな。背景の説明が要らない」
チー「でも5人同時にって、なかなか無理ない?」
ラウ「そうでもなさそうですな。適当に流して繋げれば良いようですので」
スケ「『適当』言わない」
アッ「…まあ、根詰めて書いたものは、後日無かった事になってますからね」
ダー「そりゃ時間がもったいない。…でも、無理に考えりゃ自然じゃなくなるもんな」
チー「この物語の場合、あたし側(主人公側)の登場人物がマイミクだけなんだ。だから本人の感じるままに書いた方がいいんだろうけど、そうなるとこういった会話シーンに集中しちゃうんだよね」
ラウ「密接な付き合いを持っていたからこそ可能な話ですな」
アッ「キャラの性格を考える必要が無いですね」
ダー「そこは同感だ」
スケ「それにしても、過去のマイミクの全てを登場させるという考えは無謀ですね」
チー「あ、ソレ、昔の話(クエストオブチータス)でも言ってた。マイミクが増える度に登場人物が増える事になるから、それなりに混乱したって」
ラウ「先を考えない性格ですかな?」
チー「きっとそうだね。人生思い付きが全て」
4人「む〜ぅ…。思い付きかぁ…」
ラウ「ところで、我々の活躍の場はどの辺まで続くものですかな?」
チー「聞きたい?」
アッ「聞きたいですね」
スケ「気になります」
ダー「教えてもらえますか?」
チー「もうちょっとで終了とか」
4人「…………………え?」
チー「なんかね、あんたたち4人は付き合いの期間がそれぞれに短くって、実は深く性格を読み取るまでに至らなかったとか。まあ、悪気がある訳じゃなくて、どうにか活躍の場を考えた結果、もっと後で登場する段取りをグググっと手前に引っ張って来て、こうしてメインパートナーたちが登場するよりも前に活躍中! …みたいな?」
ラウ「それは本当ですか?」
チー「まじまじ。本当!」
アッ「しかし、それにしては我々の登場回数が多い気が…」
チー「物事の流れってヤツでね、単にそうなっちゃっているだけの話なの。でも、少ないよりはいいんじゃないかな?」
スケ「言いたい事が理解出来ないのですが…」
チー「うーん、アレだよ。今現在が『オープニング』という感じ?」
ダー「『オープニング』!? 長すぎやしませんか!?」
チー「確かに。…でも、『まだ全然戦っていない』って言えば、…ちょっとピンとこない?」
4人「…………あ……」
※※ 王宮騎士団第三部隊特殊任務専行隊 第三回 緊急会議 ※※
特別ゲスト 勇者志願(仮)チータス・レジエン
…仕切り直し要請(作者より)。
《あとがき》
少し前の青空に関する話の延長ではないが、晴れ空の天候の明るさは、多分、今現在と異なったと思う。いや、これを書いていて思ったのだが。
何と言うか、表現に困るが、霞まない…といえばいいのかな?
一見何も無いように見える空気中にも排気ガスやら埃やらが舞っている訳だが、今と比較して格段に排気ガス量が少なかったため…か、どうかも知らんが、多分、光を遮断する物質が少なかったと思うんだな。うん。
そんな理由からか、昔の晴れの日の明るさは今に見るものとは違い、それこそ『自然光』そのものだった。
…でも、今だって自然光…。
伝えるって難しいね。海外の島国行きゃ、きっとわかる筈。
以上。
あ、いや、違う。
まあ、そのくらいの明るさがあったもんだから、悪天候時の暗さって、どれも怖さみたいなものがあったんだよね。とにかく明暗の落差が激しく、そしてとにかく暗く感じる。
だから悪天候時に思った事はといえば、いつもこの世が消えてしまいそうな不思議な感じだったな。ドカンと消えるのではなく、少しずつ流され、溶けるように消えるような…。
その思いは怖さではなく、本当に不思議な感覚。…まあ、そう書いたところで理解できるわけないか。
同じ空なのに、どうして日によって、時間によって変化するのかとけっこう気にしたものだ。
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