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2018年11月01日18:03

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「原発雑考」第364号    脱原発の原点と焦点  わが家の停電など

「原発雑考」第364号の転載です。

2018・ 11・5
発行 田中良明
転載自由
連絡先 豊橋市富士見台二丁目12-8 E-Mail tnk24@tees.jp



脱原発の原点と焦点

 脱原発政策を提言する専門家グループである原子力市民委員会が『原発ゼロ社会への道2017』という冊子を出している。その内容、つまりは脱原子力政策のありようについての意見交換と、この委員会の座長をしている大島堅一さんの講演がセットになった集いが10月6日に名古屋であった。
 大嶋さんの講演は、原発が電源として劣等であることを主としてコスト面から分かりやすく説明したもので、私の考えと大部分が一致する内容だった。
 意見交換のほうは時間がなくて行われず、残念だった。そこで私が問題提起したかったことを以下に記すことにする。
 原発はなくすことができるだけでなく、なくさなければならない。そうしなければ、過酷事故発生の危険性が残るだけでなく、世界的な流れであるエネルギー大転換に遅れをとって日本の社会と経済に深刻な打撃を与えることになる。脱原発はそういう新段階に入っているのではないか。
 その観点からは、「原発は危険で怖い。だから反対」では不十分であって、積極的に原発をなくすための戦略性を持った取り組みが必要だ。原発ゼロ法案はその意味で評価できるが、法制化のためには議会で多数派を形成しなければならず、現状を考えると、そのためには社会における圧倒的多数派の形成がまず必要だ。それには、原発の危険性は認識しつつも、「発電コスト、電力安定供給、脱温暖化対応などを考えると原発を放棄することは難しい」と思っている人たちへの働きかけが最重要である(発電コスト、電力安定供給、脱温暖化対応で再エネ発電が原発に優っていること、原発は脱温暖化社会には席がないことは、本誌でくりかえし指摘したとおりである)。
 言い方を変えれば、原発問題の原点は安全性の問題であるが、現時点での焦点は原発と再エネ発電の電源としての優劣であり、脱原発の早期達成のためには、安全性問題に閉じこもるのではなく、電源としての原発の劣位、再エネ発電の優位を積極的に発信しつづけることが肝要ではないか。


わが家の停電

 先月号で北海道の大停電を取り上げたら、その号をまだ送信していない9月30日の夜に台風24号の暴風雨で愛知県東部と静岡県西部は大停電に見舞われた。豊橋市は山間部がほとんどないので比較的早く復旧したが、それでも今月3日までかかったところもあった。
 私と連れ合いは、戦後に日本に上陸した台風では上陸時の勢力が最強といわれる1961年に関西を襲った第二室戸台風を大阪で体験しており、今回の台風の風雨の強さはそれに較べると2ランク下といった感じだったが、なぜか大停電になった(塩害もひどかった)。
 わが家は午後10時半頃に停電した。朝になって晴れておれば、太陽光発電を自立運転に切り換えて電気を確保し、いくつかの家電機器を動かすことにしようと考えて、就寝した。自立運転については、2009年10月の台風18号で停電したときに行った経験があり(本誌256号参照)、心配はなかった。
 翌朝6時起床。快晴だった。まだ太陽光発電は起動していなかったので、動かしたい機器の消費電力を調べた。冷蔵庫は冷却96W、霜取りヒーター155W。2槽式洗濯機は洗濯305W、脱水145W。テレビは135W だった。冷蔵庫の消費電力は意外に少ないのである。給湯器とパソコンのケーブルモデムも動かすつもりだったが、消費電力が小さいことは分かっていたので調べなかった。
 6時45分に太陽光発電が起動したので、ただちに自立運転に切り換え、太陽光発電の電気の取り出し口であるパワコンのコンセント(1つしかない)からコードを繋いでまず冷蔵庫に給電し、冷蔵庫を動かした。これによって収蔵食品は冷凍品を含めすべて救われた。前日に連れ合いが停電に備えて氷をたくさん作っており、それも冷却力の維持に多少の効果があったかもしれない。冷蔵庫はこのあと繋ぎっぱなしにした。
 9時ころには太陽がかなり高くなり、太陽光発電の発電量も増加していると思われた(自立運転にすると発電量は表示されなくなる)ので、冷蔵庫に加えて洗濯機を動かすこともできるだろうと判断し、コードをややこしく繋いで洗面所まで伸ばし、洗濯機に給電した。洗濯機も問題なく動いた。
 洗濯しながらさらにコードを繋いでケーブルモデムに給電し、パソコンを開いてインターネットで停電についての情報を集めた。そこで豊橋はほとんど全市停電に近い状態であることがはじめて分かった。わが家はかなりの郊外にあるので、その日のうちの復旧は難しいだろうと考えた。
 洗濯が終わり、コードを繋ぎかえて給湯器に給電し、給湯器を動かした。
 これで一段落したので、居間のテレビをつけようとしたのだが、そこで問題が発覚した。前回の自立運転時以降にテレビの配線を変え、2階にある別のテレビにまず電気を流さなければ居間のテレビは映らない仕組みになっていたのである。2階まで給電しなければテレビは映らないということである。そうするにはコードが足りず、テレビは諦めるほかなかった。
 昼近くになり、電子レンジが使えたらということで消費電力を調べたら、750Wだった。これなら行けると考え、コードを繋いでスイッチを入れたら、電子レンジは一瞬動いてすぐに止まった。その瞬間、セットしてあった電力計は1200Wくらいを示していた。750Wは定格消費電力で、起動時には瞬間的にそれより多い電力が必要なのだが、それだけの電力がなかったので止まったのである(この起動時に流れる大電流のことを突入電流というらしい)。電気が足りるかどうかの計算には、定格消費電力ではなく、起動時電力を使う必要があったのだ(しかし起動時電力は使用説明書には表示されていない)。
 電子レンジも諦め、携帯電話の充電をセットして、給電作業は終わった。
 暗くなると太陽光発電はダメになるから、飯は早く炊く必要がある(ガス炊飯器だが、電気が必要)などと連れ合いと話をしつつ、昼飯を食べ、日課の昼寝をした。1時過ぎに目覚めると、電気が来ていた。すぐに自立運転から通常の連系運転に戻して、家中に複雑に伸びたコード類を片付けた。
 太陽光発電を設置している人たちのなかには、停電すれば自動的に自立運転に切り替わり、かつその電気を住宅内のどのコンセントからも取り出せると誤解していた人がたくさんいたらしい。現状はそうなっていないのである。 
 これから電気自動車が普及すると、停電時には自動車のバッテリーに蓄えられた電気を取り出して使うことが可能になる。これなら夜間や悪天候でも電気を得ることができ、停電抵抗力は飛躍的に高まる。ただしいまの太陽光発電の自立運転の場合のようにバッテリーから機器に直接給電するやり方では、給電する機器までいちいちコードを延ばさねばならず、非常に不便だ。使える電力も1500Wまでなので、普段どおりの電化生活を営むことはとうてい無理である。停電時に太陽光発電や自動車バッテリーなどの自立電源を有効に活用するには、それらから供給される電気が住宅内のいくつかのコンセントから取り出せる仕組みにしておく必要があるだろう。
 余談だが、台風のしばらく前からCDプレーヤーが不調になり、うまくCDの再生ができていなかった。それが停電のあと復調した。停電時に長時間通電しなかったことで、正常な作動を妨げていたノイズが除去されたためらしい。そうだとしたら停電による思わぬ恩恵である。


雑 記 帳

 過日、連れ合いと食料品店に行った時に、「甘酒を買う」と言われ、いまどき甘酒なんか買ってどうするのだろうと思いながら付いていったら、鮮魚コーナーで生鮭を買った。生鮭の語頭の「な」が「あ」に聞こえたのだ。
 後日には、連れ合いが「(庭に居たネコが棚に)登った」と叫んだのが、「(ネコが家に)戻った」と聞こえるということもあった。
 このように他人の発した言葉の子音が消えて聞こえたり、別の子音に聞こえたりすること、要するに聞き取り・聞き分け分けがうまくできないのは難聴の一つの症状である。難聴には騒がしいところでの聞き取りがいちじるしく困難になるという症状もある。これらの症状は中年以降に発症することが多く、その場合は加齢性難聴といわれる。
 私の場合は子どもの頃にこれらの症状があり、青・壮年期にはかなり改善していたのだが、老齢になって再発したようだ。
 ただし毎年受けている人間ドックの聴力検査の結果は、いまでも「正常」だ。静かな環境で高音と低音の機械音を流し、どこで聞こえるようになるかを調べるだけだから、上で挙げたような症状はチェックできないのである。

 家の前の公園のナンキンハゼが9月30日の台風による塩害でやられ、大半の葉が枯れ落ちた。けっこう見事に紅葉する樹だったので残念だ。

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