mixiユーザー(id:66710014)

2018年10月31日11:45

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宇宙よりも遠い場所

 衝撃でした。

 私の中でアニメ作品のみならず、映像作品としてもトップにランク付けされてしまうほどには。
基本的に1話完結型の爽やかな終わり方、物語の構成力、王道青春物語かと思いきや細かいところで変化球を投げまくってくる新鮮さ。
特筆すべきは12話のあの演出、あの衝撃を作るために入念に準備された布石
心の底から感服しました。
9話の南極についたときのしらせ反応は私達をいい意味で裏切り、とても新鮮で、爽快感のあるものでしたが、それが独立した単体の演出ではなく12話に至るまでの重要な心理描写になっているのは本当に見事としか言いようがありません。

 ただ私のようなファンが冷静にならなくてはいけないのは、万人受けするようでいて実は結構尖った作品で自分の熱量をそのまま相手に押し付けちゃうと嫌われちゃう可能性があることですね。
私の作ったMADを見てくれた方の9割が男性、20〜40代の男性がほとんどでした。
https://www.youtube.com/watch?v=48KXKq0HeBU&t
イベント会場でも男女比はそれくらいだったようです。

 1つだけ違和感があるシーンがあります。8話の海が大きく荒れているのに甲板に出たシーンです。
結論としては物語上8話は盛り上げるのが難しく、甲板に出るシーンが必要だったし正解だったと思います。理屈を抜けばあのシーンは私の大好きなシーンの一つで2個めのMADを作りたい、このシーンを入れたいと思えたほど素敵なシーンです。

 ただ、この物語の出発点はしらせの母貴子の死というのが非常に大きなキーワードになっていて、希望に満ちていたはずの南極民間観測隊が彼女の死によって一気に旗色が悪くなってしまった背景があります。このバックボーンがしっかりしてるから良作であり、8話の違和感につながります。
4話でも「早いよりは正確な方がいい」というふうに「安全」にというのが一貫して描かれてたと思います。
 一瞬の不注意で大切なものを失い、民間観測隊の存続さえ厳しい苦境に立たされてからの意地の2回目の南極観測ですから、彼女らの軽率な行為はもしかしたらすべての大人たちの計画に止めを刺し関わった者たちを深く傷つけ、貴子の死からの教訓を無駄にすることにもなるのです。

 当時、というか今現在でも作品を是々非々で語れる友達はほぼいないので5ちゃんにその感想を書いたら袋叩きにあいました。「この作品は私にとって映像作品の中で最も優れていると思っている、ただ一つだけ小さな違和感がある」といったくらい柔らかいニュアンスで伝えたつもりですが、いつの間にか「道徳の問題」にすり替えられたり、最後にはアンチスレに誘導までされました。
 
 アンチである私が作ったMADが今やニコニコで15万再生に届こうとしています。
私をアンチ扱いした人たちにいいたい、ざまーみろ!

っていうのは冗談で、じっくり考えたら彼らは彼らで疲弊してたみたいなんですよね
この作品はアンチがそれなりに多く、少しの矛盾でもすぐにアンチが湧いて嫌な気分にさせられていた背景を考えられなかった私の落ち度です。

 あと私にはよくわからないのですが脚本家の花田さんには一定のアンチがついているみたいなんですが、私の深読みかもしれませんが、3話で「俺ならこうすると思ったやろ?」みたいなメタ演出を感じてしびれました。
ラストの演出も正直12話の時点で13話はきれいに着地するだけで称賛の嵐だった作品なのにそこでもまた変化球を投げる勇気…
彼だけの作品ではもちろんないわけですが、クリエーターになるべくしてなった才能の持ち主なんだろうなと、凡人では超えられない壁をやすやすと超えられるのは、失敗を恐れない才能なのかなって思いました。


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