Y: この間、睡眠時間を売買する話をしたじゃない。
M: のび太が儲かる話?
Y: 3時間の睡眠時間を買うことにより、3時間眠ったことになる。
M: 買った人は、実際に3時間眠るわけじゃないんだよね?
Y: これは睡眠時間を買うってよりは、癒やしを買うに近い。
M: のび太は癒やしを売っているのね。
Y: 癒やしを売る人には、お金と一緒に疲れを渡す。
M: 癒し系も大変だね。
Y: 例えば、3時間いつもより多く寝たら、
3時間睡眠で回復できる分の、他の人の疲れを肩代わりできるよね。
M: 理屈の上の理屈の上ではね。
Y: 優秀な売人は、他の人が5時間睡眠で回復させる疲れを、
3時間睡眠で回復させたりできる。
M: 年寄りの疲れを、若手が引き受けたら、そうなるね。
Y: 気疲れに対しても、売人はいる。
M: セラピー?
Y: セラピーセラー。通称セラセラ。
M: ブルセラみたいね。
Y: セラセラに対しては、気疲れ、すなわちストレスを渡す。
M: ブルセラに対しては、脱ぎたて、すなわちラストオフドレスを渡す。
Y: 映画みたい。ちゃんとストレスになってるけど。
M: もらったストレスをセラセラはどうするの?
Y: 他人がストレスと感じることも、セラセラにとってはストレスではない。
だから、瞬時にストレス解消。
M: A型のストレスは、B型が引き受ける感じ?
Y: 血液型セラピーセラー。ケセラセラの語源はこれ。
M: Que sera, sera. スペイン語だよ。
Y: 疲れだろうが、ストレスだろうが、相手に渡すには、
何らかの方法がいる。
M: どうするの?
Y: なんてことはなく、人間同士を線で繋ぐ。
M: 赤い糸ならいいんだけどね。
Y: 最初の頃は、売買する人が1対1で繋がっていた。
M: それ以外になにかあるの?
Y: 最近の情勢はn対nの繋がりになってる。
M: ネットワークの歴史のようね。
Y: 僕はボランティアで多くの人々の疲れを一手に引き受けてて、
いつも物凄く眠たいわけだ。
M: そうなんだ。
Y: 人々があまり眠らなくても元気なのは、
僕がその分寝ているからと言ってもいい。
M: 誰もあんたに頼んでないよ。
Y: 僕が会議で寝るのは、むしろ感謝が必要。
M: ボランティアなら感謝を求めてはいけない。
Y: このセラピーネットワークは、とある機関が管理している。
M: 機関ですか。
Y: その機関によって、有能な人材の疲れやストレスを、
無能な人材に押し付けるということがなされている。
M: あんたは、無能なわけだ。
Y: 僕はボランティアだよ。
M: でもそれなら、無能な人でも、エネルギーとしてや
ストレスのはけ口として世界の役に立つんだ。
Y: そう。仕事してる人がいるのに、飲みに行ったりするのも、
機関のコントロールだから、特に問題はない。
M: ないの?
Y: この機関が機械に乗っ取られたケースが、映画「マトリックス」。
M: 全ての人間をエネルギーにして、機械が動く世界?
Y: そんな世界ではいけないと立ち上がるのが、
キアヌ・リーブスが演じるネオ。
M: うん。
Y: ネオの有名な描写に、銃弾のスピードでスローモーションで感じ取り、
状態を反らして銃弾を避けるというものがある。
M: あるね。
Y: あの体勢に似たものが、実は現実にある。
M: 昔の武富士のCMのダンサー?
Y: 違うよ。荒川静香のイナバウアー。
M: 言われてみると。
Y: 来たるべき機械との戦いのために、
機関は荒川静香にかなりのエネルギーを投入したのではないだろうか。
M: だから金メダルを取れたの?
Y: 荒川静香も、ファンの皆さんのおかげ、と言ったりしてると思うよ。
M: まあ、少なくとも、爽健美茶のおかげではないと思うけど。
Y: 機械が勝ったら、さらに疲れを引き受けることになるだろうから、
彼女には頑張ってほしいね。
M: あんたの妄想に付き合うこの疲れは、どこに引き受けてもらえばいい?
Y: ケセラセラ。
M: おやすみ。
Y: おやすみ。
ログインしてコメントを確認・投稿する