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2018年10月14日13:55

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蒼き地獄に堕ちた勇者ども58:ハリウッド史上最高のガンマン、その名は〈シェーン〉

「人を1人でも殺したら、後戻りはできないものなんだ。一生消えない烙印を背負う」


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西部劇、特に挽歌系の作品が好きだ。

挽歌系西部劇とは、銃と自警を肯定した弱肉強食の時代から平和と民主主義の時代へと移り行く中で取り残され、あるいは去っていく人間たちを描いた映画たち…例えば「ワイルドバンチ」、「リバティ・バランスを撃った男」、イーストウッドの「許されざる者」などだが、このジャンルの金字塔が「シェーン」と言える。流れ者シェーンが銃を捨ててある一家の世話になるが、その一家が悪い地主に追い立てられ命の危険が及んだとき、再び銃を取る…というシンプルこの上ないストーリーだが、描かれている要素はとても多い。

まず、シェーンというキャラクターが秀逸だ。とにかく強そうに見えない(笑)背は168センチ、体格も華奢だ。カウボーイに絡まれても、最初は何も言い返すことなくすごすごと逃げる。ところが2度目に絡まれた時は、多勢を相手に殴りかかり決して倒れず戦い続ける。そのタフさ、格好良さ! しかし、その行為が純粋な少年に悪い影響を与えてしまうのではと危惧する優しさもあるのだ。

家族ドラマとしての素晴らしさも忘れてはいけない。スティーブンス監督は元来西部劇の人ではなく、ヒューマンドラマの才人というイメージの人。ゆえに、少年ジョーイの憧憬や母マリアンの複雑な心の揺れなどが巧みに描かれる。シェーンに妻を取られるかもと内心不安を抱きつつも、強い信念と家族への愛情を忘れない父ジョーの姿も素晴らしい。また、大戦に従軍したスティーブンス監督のもう1つのテーマとして、銃が持つ危険性や怖さを訴えることがあったそうだ。これは銃声が必要以上にデカイ点や、シェーンのさりげない銃管理描写にしっかり表れている。
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アクション映画としてはどうか。西部劇の売りであるガンファイトはただの一度。耐えて耐えて、最後に銃を抜くという射精のようなカタルシスは最高だ。しかも悪役ジャック・パランスの造形が見事。悪役が強烈であるほど対決は盛り上がる。

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…今回のBlu-ray、やはり暗い画面での鮮明さが特徴。パブリックドメインの非正規DVDはもう処分だな。画質が雲泥の差だよ(笑)

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