随分と可愛がってもらった
料亭の女将
もう15年も昔
素人の私が
身の程知らずの大きな食品店を始めたのだから
女将にしたらハラハラドキドキしたにちがいない
自分で言うのも変だが
私の取り柄はフットワークの軽さと
絶えることない笑顔である
これは金のかからない
営業マン最良の武器でもある
分厚いマニュアル本より
高度な知識を持つ
偉い先生方のレクチャーより
動く笑うは
遥かに高度なテクニックだと
私は思っている
私を可愛がってくれた女将から
ある日
食事に誘われた
貴方は必ず成功する
他人には無いなにかがある
漠然とした会話の中
私が女将に問うた
女将さん成功の、秘訣は?
今まで誰にも話したことが無いけど
不思議と僕には言いやすかったのか
女将さんが
私ら夫婦は満州からの引き揚げ
文字通り裸一貫…なんにもない
焼け野はらの大阪にたどり着いた
行く当てもなく上町台地…今の上本町6丁目辺りから
大阪市内を見下ろしたら
焼け跡の町に煙突だけが残ってた
何とか借金して煙突を買い
銭湯を始めたのがきっかけで
パン屋
建て売り建築屋
寿司屋
麻雀屋
全てが当たって商売が上手く行った
これはね…商才ではなく
アンタが持っている
行動力
これがビジネスに於いて必要不可欠
能書きと理屈と言い訳は
夢の中で言いなはれ
上手く行かなくても
行動の中から
必ず何かが生まれてくるから
ビジネスでなくて人間同士の輪も広まる
近頃…もう15年も前の女将の話が
自分のものとして感じるような気がします
行動と笑顔
誰にでも出来そうで出来ない私だけの武器かもしれない
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