夕べは町の公民館へ、SPA BANDライブに出かけました。
一番隅の席に着くと女性スタッフがきて「お席ずらして頂いていいですか。目の不自由な方が壁際の方が良いので」というので「はいどうぞ」と私。
その方はスタッフと世間話をしているところを見ると知り合いのようだ。
ここでもう一人の自分が顔を出して
（チャントヤレヨナ 紳士的ニダゾ）
そうなのだ。こいつはいつも私がピンチとか、苦手なことに直面したときに顔を出して、意地悪に私をせっ突く嫌な奴なのだ。
「何かあったら言って下さい」と私。「はい、ありがとうございます」
（ソウ、ソレデイィゾ）と態度のでかいもう一人の私。
終演まで交わした言葉はそれだけ。街で女性に声をかけるなんぞ、大の苦手な私なのだ。
三十代だろうか、若い。白杖を持っていない所を見ると、全盲ではなさそうだし、終わったら、すぐに知り合いスタッフさんが来るだろうと楽観していた。
ライブはサックスとキーボードのノリノリアドリブソロに、観客全員手拍子で答えるなど、大いに盛り上がって終了。観客がぞろぞろと退席。ところが、迎えに来るだろうスタッフが来ない。出口でお客さんの誘導で忙しいのだろう。
（お前、黙ッテ帰ルノカ、ソンナニ冷タイ人間カ）に、思い切って
「あのぉ、サポートできることありますか」
「いえ、あ、はい、では出口までお願いできますか」
ところが、どうサポートしてよいのやら、ちょっと戸惑う。
話は変わるが、親友田中の奥方Ｋさんは、やはり目が不自由。でも明るければ一人で行動できる程度だし、川越の街を案内したり、森林公園で遊んだことを思いだした。
田中に「手、つないで歩けよ。なんだよ照れるなよ」などと言っていたが、全盲でも腕や肩に触れているだけで歩けるそうだ。
と、隣のその方が私の右の二の腕に手をまわした。不意なことにビックリ。そして柔らかくて温かい。うろたえているのを悟られまいと私は、音響の関係で壁が屏風のようにくの字に曲がっているので、「右は壁です」と言って歩き始めた。
「あっ段差です！」
しまった！ ドアーの敷居１０�仟�らずだが、伝えるのが遅れた。
（遅インダヨ馬鹿ッ！ ナンノタメのサポートナンダヨ！）とお怒りのもう一人の私。まったくもってそのとおり。しかし彼女はつまずくことなくクリアー。ふ〜、、、
（モシ転ンデ怪我サセタラお前 懲役刑ダカラナ！）は、はい、すみません、汗。
エントランスホールに出た。
「ここで結構です。あとはタクシー呼んで帰れますから」「じゃ気を付けて」
たった１０ｍちょっとだが、とてつもなく長いような、あっという間というか、とにかくサポート完了。こんな経験生まれて初めてだ。
私の二の腕には今も、ほのかな感触が残っている。なんだか恋人同士みたいだったなぁ。
（マッタク馬鹿ダネ〜 自分ノ歳カンガエロヨ。お前ハジジィダカラ、男トシテ対象外ナノサ〜(#^.^#)
ありゃ、そゆこと！？
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