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2018年09月10日01:34

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元気の塊女子大生

元気の塊女子大生

すき屋を思い返す上で忘れるわけにいかない存在の一人が彼女。自らのネーミングセンスを褒め称える訳ではないが、なかなかに当てはまった名称であるとは当時から思っていた。
とにかく元気。元気という表現は間違っていないが、正確には甲高い声が通るタイプというのがしっくりくる。そういった理由で何かを言葉にすれば、それだけで際立ってしまうのが彼女だ。一言にはムードメーカー。

体育会系でもある事から行動力も備わっており、身長の高さも手伝ってとにかく目立つ目立つ。
こちらがちょっかい出して『ちょっと、やめてよ!』みたいな会話に誘導すると、その言葉を待っていたにもかかわらず、高過ぎるトーンが不必要な『早まる鼓動』を作り出すくらいに『声』そのものが突き刺さる。けっこう驚かされた。

体育会系に多い多感性と表現すべきか、結構な感動屋でもあり、同時に行動性重視の実践型タイプでもある。そのため、冗談半分で進言する案をも安易に受け取る場面がそこかしこで確認でき、社会的目線で言えばこれ以上の不安要素もなかなか無いものだ。

彼女自身は『善』であり『明』であるが、対局する『悪』と『暗』を知らなさ過ぎる。そんな理由から、見ず知らずの男から名前すら明記されていない携帯電話番号をドライブスルーで手渡され、ウキウキ気分で『貰っちゃいましたぁー♪』と表現する彼女は…先行き不安だ。ソイツはぁ、…どう考えても裏ルートの入り口の可能性が高かったため、そうぼんやりと告げても理解し切れない彼女。なので極端な説明をする。

『良くてAV勧誘、悪くて人身売買や臓器売買の素だ』
…と。

まあ、極例ではあるが、聞いた限りの手際良い慣れた渡され方や、姿や顔をはっきり認識させない車内と店内のやりとり、何よりも恋愛じみたセリフが皆無なところからまともな誘いとは到底考え難く、仮にありきたりな理由を並べようとしても、体目的の通り風程度の思考の持ち主だ。『ヤレればラッキー』みたいな。
少なくとも表立って胸を張れる生き方をし、それを望む輩ではない事は確かだ。そしてこの考えが外れていたとしても、元気の塊女子大生との性格が一致する事はまず無さそうな相手でもある。

男女構成のみの世の中とは非常に単純で厄介だ。そこに金銭の概念が加われば、ある種の目線からすれば人間なんて『金の素』でしかない。他人を殺して自分が生きる。これこそが人間の本来の持ち味であって、犠牲にならないように生きる為には、行使しなくとも自らが『悪』と『暗』を知るしかない。とか教えた。

まあ、根が単純であって同時に理解力が高い彼女は、こう言った教えを伝えるのは楽で好ましい。ただ単に素直なだけだが、その素直さや単純さが悪用されない事を密かに願ったりもしていた。
そんな彼女の判断し易い面が、計算苦手な部分。なんでも社会科の教師を目指すため数学的知識は必要無いと言い切っていたが、足し算引き算の問題はもっと違う観点で重要なような気もする。まあ、冗談で言ったのだろうが。

多感性に優れる彼女は涙もろいようで、ちょっと褒めたり、ちょっと現実離れした冗談なんかですぐに泣いてしまう。
実際に泣かれてしまった事は2回、グズつかれた事が数回。こちらを想ってくれての態度なのは嬉しく、もちろん理解できるが、なかなかの感動屋さんは時に場に困ったものだ。…でもまあ、正直には嬉しかったな。
別ルートの情報でもあった事だが、なんだかこんな俺を好いていてくれたらしい。世代層が同じであって、俺が未婚だったら違った人生のルートも存在したかも知れない、そんな相手が元気の塊女子高生だ。そんな場合は俺の人生観も喜怒哀楽がもう少し具現化した、忙しくも明るい方面に突き進んだ事だろう。一体俺は、生まれた時期を何度呪えば報われるのだろう? とか、こんなところで考えてみたり。

ところで、『眠い』を連呼したとある業務日に『歌でも歌ってれば?』と提案した事があった。
返答は『何を歌えばいいのか分からない』と言う事だったので、気まぐれに『森のくまさん』を提案。
するとそれをたらんとろんと歌いながら業務突入する彼女。…なんだろう、あの妙な感覚は? 舌足らずな口調の歌い方はまるで幼女。…でも、20歳。…当然のギャップ。でも、なんか似合ってたりもする。

『裏切られない期待感と、それに準じた結果』が楽しいのだが、彼女は結構な割合でそんな俺の期待感を満たしてくれた。
未だに記録を破られる事の無い、一つの内容に絞ったメール送受信は遠隔ながらに笑い合った楽しい思い出だ。内容はディズニーキャラのドナルド・ダック。
そんなドナルドのぬいぐるみを巡ったバカな言い合いだったが、既に忘れていたかに思えた子供時代の純粋で、それでも無意味な笑いを思い出させてくれたものだ。

決して器用ではなかった元気の塊女子大生だが、多感故に様々な分野に興味を持ち、それを正直に打ち明ける姿は人として素晴らしく感じ、学ぶ部分はそれ以上に多かった相手だ。
そして、そんな彼女の退職が近づくにつれて、互いの自然な笑顔は次第に薄れていった事も実感していた。
色々と俺なりに送るべきエールは存在した筈だが、結局は何も伝える事が出来なかった苦い思い出も彼女には含まれてしまった。
もう少しばかり俺に『純粋さ』が残されていれば異なった結末も準備出来たのだろうが、彼女の純粋を見れば、俺ほどの汚れ役は近付かないに越した事は無い。
既に汚れてしまった俺の言葉とは、この先の彼女に余計な闇を生むばかりであって、俺のような望まない道への扉を用意する行為に当たる。ならば、そういった扉の存在は知らない方がいい。

向こう側の見えない未来に対し、元気の塊女子大生は怯えていたように見えた。
そんな表情を過去の自分と照らし合わせると、そこには全く同じ自分の姿があった。
とにかく色々と同じ接点を持ち合わせていたのが元気の塊女子大生だった。
そんな元気の塊女子大生には、社会的に立派な兄と、厳格にして基本に忠実な母親が存在する。その不安が過去になるのもそんなに遠い未来ではないだろうと感じていた。


てぃーのの視野

昔の自分と瓜二つ。考え方や行動方針と言う意味合いで、元気の塊女子大生とはそんな存在だった。
深夜フォロー開始当時に急激に仲が良くなった原因はそこにあったと今でも思う。
行動の立ち止まりを確認すれば、考えている内容の全てが透けて見えるようで、助言を促せば『どうして分かるんですか!?』とよく驚かれた。
単純だ。俺ならそう考えている場面なのだから。そこに、それまでの経験を持つ俺と、年齢的に経験を持つ事に無理がある彼女との差があるだけの話だ。
つまり、順当に進めば約十年後の彼女は今現在の俺の思考となる。そう確信する相手に出逢うのもなかなかに珍しい事かも知れない。
かつてのヒロが彼女と同時に俺を気にしたのも、そういった表には出る事の無い内面をどこかで感じ取ったからだろう。

先にも記したが、元気の塊女子大生は『善』と『明』に位置する存在だと思っていた。故に対局位置の実態を知らず、それ以前にその分野に対する知識が全く無かったところが非常にネックであり、分かり易く言えば、いつでもどこでもタイミングさえつかめば簡単に悪い方面に『善』という、騙した形で引きずり込む事も可能な相手である。
幸いだったのが、俺がどちらかと言えば『悪』と『暗』の立ち位置だった事だろう。
悪や暗の存在は善と明の比較ではない。なぜならば、『正解』と呼ばれる回答が常に一つという事実に対し、『不正解』とはその他全てを指してしまうのだから。
彼女の知り得なかった『世の中』の一部ではあるが、そんなものを教える事が出来たのは個人的に嬉しい結果だった。不意に現れる、一見した喜びが、実はとんでもない落とし穴の可能性を秘めた存在と言う事を、可能性として理解してもらえれば幸いだ。
普通に生きるのであれば知る必要も無い内容ではあるが、人が生きる世の中を歩く行為とは、それだけで様々な思考の間を掻い潜る行為となる。
知らないと知るとではそれだけで自らの防衛能力を高めるのに役立つのだから、全くの無知識と比較すればその影響差は計り知れないものとなるだろう。いつかのドライブではそんな事ばかりを話していた気がし、彼女は彼女で飽きることなく耳を傾けていた。

今どきの教育は人をとても素直に育てている。もちろん、一概にではなく中にはひねくれた存在も居るのだろうが、少なくともすき屋荒川沖店の学生クルーに対してはそういった思いしか出て来なく、自分と比較すれば『よくもまあ…』と、その表現を捜すのも苦労するほどだ。
中でも、ゆー・アラレ・あべし等はその例に外す事が出来ず、その筆頭を進むのが元気の塊女子大生だ。
いずれも自分を中心に置く事を苦手とする考えの持ち主であって、同じく自分を中心におく事が出来ない俺が良く理解できる面々でもある。
『素直』の正体は実は知っている。自分の考えに自信を持つ事が出来ないからこそ、他人の言う言葉に真実性を見出してしまう思惑の結果こそが安易に肯定する事となる『素直』なのだ。表現を変えれば甘えであり、他力本願ともなるだろう。

自分らしさとはどういった事か?
力強さとはどういった事か?

俺を含め、こういった人材の永遠の謎であり、テーマと言うモノが、きっとそんな物事に対する回答なのかも知れない。

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